VS盾男決着
「チワ、今から言うことを実践してほしい。いいか」
この作戦は賭けだ。だが、この方法しか思いつかない。
作戦をチワに小声で話す。奴は遠くから攻撃するため離れている。
何かしゃべっていることはわかるが、内容までは分からない。
途中で投げナイフが俺の方に飛んできたが剣で弾いた。
「チワ、弓だ。弓を取ってきてくれ。いい作戦を思いついた」
そう、大きな声でチワに指示を出す。恐らく盾男にも聞こえているだろう。
チワが近くに落ちている弓と矢を取りにチワから見て右側に走る。その結果、俺の背後が開く。
近くといっても、それはチワの感覚でだ。
10メートルは離れているだろう。俺は自分から見て、左側を主に警戒をする。
その結果、俺の右側とチワの左側が、2人の視界に入らなくなる。
それを盾男が見逃すわけもなく、姿を現し投げナイフが飛んでいくだろう。チワが弓矢を取る。
その時に俺が体をずらす。その横を投げナイフが空を切る。おれは投げナイフを避けたのだ。
「なっ!」
盾男が驚く。そらそうだ。背後からの奇襲のはずが避けられたのだから。
そして盾男が驚く隙を使い、弓と矢を拾ったチワが矢を放つ。
矢は男の投げナイフを投げる利き腕の肩にに刺さった。命中精度すご過ぎじゃねーのか?
「ぐあぁぁぁ!!!!!」
盾男が叫び、肩を押さえる。やはり臆病者は痛いのを嫌がる。
だから消えたまま近づき首を刺して殺すという手段を選ばない。
そして場所がわかればこちらが有利だ。盾男は魔法を使い、逃げようとするが痛みで集中できていないため消えない。
隠れても血の跡で分かるがな。
「クソッ!なんで……なんで!」
それがさらに盾男を焦らせる。やればやるほど失敗する。
俺はその間に《火球》の詠唱をする。盾男はそれに痛みで気づいていない。
気付いた時には既に遅く、魔法で使うはずだった水をありったけ《火球》にぶつける。
互いに消滅する。火球と魔法で集めただけのただの水で威力は相殺だ。
奴の方が魔法業は上であることを明確に示す結果となった。
だが今はそんなことは関係ない。いくら技能が上とはいえただ水を《火球》にぶつけただけ。
距離も関係して、盾男が吹っ飛ぶ。
俺とチワが盾男にも迫る。チワの方が離れているはずだがいつの間にか追いつかれていた。
盾男は起き上がれない。俺は剣を男に向ける。チワは反対に回り短剣を男の首に向ける。
「さて、知っている情報をすべて話してもらおうか」
ドスの効いた声で盾男に問う。
「…………」
盾男は何も喋らない。
「そうか。なら俺の火で喋るまで全身火傷にしようか?」
奴には火にトラウマみたいなのを抱えているはずだ。さっき、魔法属性を聞いたときに否定しなかった。
「わ、わかった話す。だ、だからそれだけは、それだけはやめてくれ!」
口調が変わった。さっきのバカにしたような口調は見下していたのだろう。
俺たちのことをEランクってバカにしてたし(Eは一番下だから無理はないけど)。
「そ、その前にどうやって消える原理がわかったり、ナイフを避けたりできたんだよ?教えてくれ!」
本来なら教える必要は無いが、何も分からず死ぬのは嫌だろう。聞かせてやるか。
「……まあいいか。まず、ナイフを避けれたのだが……お前心臓しか狙わないじゃん。だがら場所さえわかれば見えなくても避けれる。タイミングは攻撃した時、お前場所がバレるだろ。だからチワと一番離れていないと1人やったとしても反撃される恐れがあるから一番離れた時、つまり弓矢をチワが取ったときだ。そこにタイミングを合わせて元の心臓の位置からずらせば当たらない。なぜお前がどちら側にいるかを分かったのは、弓矢の置き場所だ。遠い方が弓の命中精度は落ちる。そう考えると、俺は考えた。ここまでは分かっただろ」
続ける。
「俺をお前が狙うと思ったのは3つある。まず、チワよりも動きが遅い。次が、俺がいい作戦を思いついたって言っているのは聞こえただろ。俺を頭と思って作戦を潰すため俺を優先すると思った。だって魔法原理とか見抜いたのは俺だからな。なぜ見抜いたかは秘密だ。最後に俺の魔法属性だ。お前にさっきも言ったけど火傷がトラウマなんだろ?なら俺の方がお前から見たら作戦で重要な弓矢を取ってこいと言いそれを取ってくるチワよりも俺を早くに排除したいと思う。そう思ったんだ。ちなみにいい作戦なんて本当は無かったし、ハッタリだ。強いて言えばこれが俺の良い作戦だ。お前が警戒してくれて助かったよ。お前が攻撃してくれなきゃ俺たちが終わっていたな。マジで賭けだったよ」
「……さて、じゃあそっちの情報を喋って貰おうか。こっちは話したんだ。嫌なら火炙りの刑だ」
火を出し脅す。
「待て。俺はすべて正直に話す。だから命だけは命だけは助けてくれ。王都の騎士団に引き渡して奴隷にでもしてくれた方がましだ」
「はぁ!お前何都合いいこと言ってるんだよ!あの人たちはお前が魔物化させた猪に殺されたんだぞ。お前が殺したも同然だ。お前はあの人たちが助けてと言った時助けたのか?助けてないよな。そのくせ自分は助けてくれ?ふざけんじゃねーぞ」
声を張り言った。盾男は萎縮する。
「そうだな。……それは話の有益さによるな。後から決める。お前の情報が自分を助けるんだ。いい条件だろ?」
自分で言っておいてあれだがさっきから俺の方が悪いみたいに見えてくる。
そうそう、こう言っておけば自分を助けるためペラペラ喋ってくれるだろう。
盾男の身柄は……まあ、どっちみち引き渡す予定だった。
生かすわけないとか言ったがあれもハッタリだ。決意もしたが、日本の倫理観はすぐには抜けない。
いざとなれば俺は人を殺すことができないだろう。
「何から知りたいんだ?」
「まずは……そうだな……」
何から聞こうかな?先生?それとも試験?……てかそれよりも動物を魔物化させたのかだろう。
「動物を魔物にどうやってさせたんだ?」
「……動物を魔物化させるには……」
ボッ!盾男が急に燃え始めた。
「なっ!」
「ぐあぁぁぁ!!!!!」
そのまま盾男は燃え尽きた。俺たちは勝利した。だが何1つ謎はわからないままだった。




