バレンタイン
昨日の場面転換の印×××に統一またその他編集しました
朝、ケータイの着信で目が覚めた
すごく眠い
「はい」
「あー私だよ」
「なんだよ」
あくびをしながら話す
「何、今起きたの?」
「そだよ。てか今何時だと思ってんだよ」
僕もまだ時計見てないけど。朝起こされたせいで少し機嫌が悪い。声にも出ていたが彼女は気にした様子はなかった。
「何言ってんの?もう12時だよ」
「えっ?」
本当だ。時計の針は11:58を指していた。
「昨日、遅かったの?」
「あーうん」
「勉強でもしてたの?」
「そうだよ。宿題でも終わらせようと思って」
「ふーん」
嘘ではない。昨日遅くまで宿題をしていた。だが、眠れなかったのは今日のことを考えてたからだ。
「あーそだ。今日遊ぼうね。2時くらいにそっち行くから」
「あーえっと」
「じゃあね」
ツーツー
…言いたいことだけ言って切るなよな……
じゃあまず飯でも食べるかな
×××
もう完全にただの昼食を済ませ、着替えたりなんやりをした。
時計を見れば、もう1時半前……もうすぐ彼女がやってくる。
昨日遅くまで考えても彼女とどうなるべきかわからなかった。彼女と並ぶだけのものをやはり持っていない。
そりゃ一応努力はしている。そこそこの進学校に通っているので、学力的にはレベルが高いのだが、2年なってからは定期テスト等ですべてトップだった。……だけどこんなものじゃない。こんなものじゃ彼女とは並べない。よく分からないが何かがそう思っている。
ピンポーン
呼び鈴がなる。時間的に彼女だろう。コートを持って玄関へ向かう。途中何か忘れ物がある気がして部屋に戻った。が、特に何もなかった。
玄関のドアを開ける。
「おっそーい!!すぐ出てきてよ!!」
「悪かったよ」
「しょーがないなー。特別に許したげる」
「そりゃどーも」
「じゃあ行こうか」
「ああ」
そう言い僕らは並んで歩き始めた。
ふと横目で彼女を上から下まで盗み見る。冬だと言うのにオシャレを意識しているのか端から見て寒そうだ。僕なんて適当にTシャツとか着てコートでジーパンなのに、オシャレとかに詳しくないのでうまく描写できないが、上着とかも可愛い感じだし、ミニスカートをはいている。目線を再び上に戻した。あっ、しまった。目があってしまった。
「どうしたの?」
「ああ、いや、どこに行くのかなーって」
「言ってなかったけ」
「ああ何も聞いてない」
「ほら、なんか最近、学校のもうちょっと行った所にでっかいショッピングモールできたじゃん」
「ああ、正月とかに色々言ってたな」
「できてすぐは人多そうだったし、そろそろ行きたいなーって」
「わかった」
×××
学校までは電車に20分ほど乗って、10分ちょっと歩く。今回の目的地は普段の二駅ほど先の大きめの駅のすぐ近く。電車で30分近くかかった。 着いた頃にはもう2時40分くらいだった。
「おおー。やっぱりこの辺まで来れば都会って感じだね」
確かに高い建物が多い
「そうだな。あっちはちょー田舎だな」
「でも別にそれが嫌って訳じゃないけどねー」
「ああ俺もだ。静かなほうが好きだしな」
モールの方へ歩いて行く。入り口の前はちょっとした広場になっていて時計台と噴水ぽいのがおいてある。すでに待ち合わせスポットとなっているのかおそらく待ち合わせをしている人が数人いる。
広場を抜けて中に入る。……まあ、やっぱりだいぶ人が多い。
「おい、結構人いるぞ。」
「しょうがないじゃん。日曜だし」
「そうだけど」
日曜というかおそらくバレンタインだからじゃないかと思う。モール内にはバレンタインっぽい装飾がなされ、カップルも目立つ。
ふとバレンタインについて考える。
バレンタインとは何の日だ?たしか誰かの命日だったはずだ。日本人は不思議なもので、知り合いの誕生日だけでなく他宗教のある方の誕生を祝うのにもケーキを食べる。なら誰かの命日にチョコを食べるのは普通か?いや、ちょこっとお菓子くないか……
まあ、楽しかったらなんでもいいのか
「別の場所がよかった?」
「いや、そこまで気を使う必要はない。それよりどこに行く?」
「服みたいなー」
え~…
「え~」あっ、声に出てた。
「顔にも出てるよ。そんなに嫌?」
どういう訳か僕の心も伺えるようだ……
「だって時間かかるじゃん」
「別に普通だよ。君のも見てあげるからさー」
とは言っても彼女の願いを断るという選択肢は僕にない
「じゃあ、少しだけな」
「やった」
まあ、この笑顔が見られるなら数時間付き合うなんてむしろ釣り合いがとれてない気がする。
×××
それからしばらく僕らはいくつかの店を冷やかした。いやもうほんとに冷やかしただけだった。
彼女は何やら色々手に取ってたまに試着までしているのだが、1着として買おうとしない。たまに「これ似合うよー」とか言って僕にも服をあてがうが、買う気などもちろんない。さっきはなんかサングラスかけられたんだけど……
「なあ、おい」
「なに?」
一つのコートを手にしている。彼女に声をかけた。ちらりと値札が見えたがかなり高い。
「何を買う気なんだ?」
「うーん、今日は買う気ないけど」
「は?」
「だって今日はじめてきたし」
「なあ、服屋とかでいつも思うだけど、何も買わないって罪悪感ないの?僕、コンビニとかスーパーとかだと申し訳なく思うんだけど」
「ん?そうかな」
「レストランなら絶対注文すんだろ。なのに」
「もー考え方が硬いなー。ケースバイケースだよ。レストランはレストラン、服屋さんは服屋さん」
「そういうもんか」
「そういうものだよ」
いまいち納得できない
「じゃあ、次行こう」
「まだ行くのかよ。てか、そのコートはいいのか」
「ああもういいや」
店を出て少し歩くと案内板が目に入った。本屋がある。それも結構大きい。そういえばこの前読んでた本の続編出てた気が……
「なあ本屋があるぞ」
「そうだねー」
「寄りたい」
「えー」
「おい、声にも顔にも出てるぞ」
僕もこんな顔だったのか?
「えーだって……」
「なにが不満だ。別にそんなに時間はとらせんのに」
「だって、私本とか分かんないし……それに 」
「それに……なんだよ」
「何でもない」
「たまにはおまえも本読んで見たら?」
×××
というわけで本屋に行き目的の本を買った
時刻は6時すぎだ。少しお腹がすいた
「何か食べないか」
「そうだね」
「どこがいい?」
「安いとこでいいよ」
「じゃあ、サイゼだな」
さっき案内板を見たときサイゼもあったはずだ
「うん行こう」
×××
店員に注文をした。少し時間がかかるだろう。僕はさっき買った本を取り出す
「ちょっと何してんの」
「え?本読もうと」
「常識的に考えて悪いとか思わないの?」
「だって、読みたいし」
「だから本屋行きたくなかったんだよ」
「え?」
「君は本に夢中になって私を見てくれないもの」
「それはすまない」
本を片付ける
「食べ終わったらもう帰るよね?」
「ああ、あんまり遅くなるのもあれだしな」
「じゃあ、食べたら話あるから」
「話?」
「うん、それと渡すものも」
「ああ、なら僕も話すことがある気がする」
すぐに店員が料理を持って来て僕らは食べ始めた。結構ゆっくり食べたつもりだったが料理はすぐになくなってしまった。
×××
その後はすぐにモールを出た。彼女はすぐに話をすると思っていたのだが、電車に乗ってもなかなか言わない。 とうとう最寄りの駅まで着いてしまった。
×××
日曜日の午後7時半を回ったあたり、もうみんな家に帰ってしまったのか。それとも単にこの駅の利用者が少ないのか。駅には誰もいなかった。
「おい 、そろそろ話さないのか」
先を行く彼女に声をかけた
「あっ、うん。そうだね。そうだ」
彼女は振り返ってひとつ頷いた
「じゃあ、これね」
カバンをゴゾゴソとして、取り出したものは小さく綺麗に包装された箱だ
「今年は結構頑張って凝ったもの作って見たんだ」
「そうか……ありがとう」
僕はそれを受けとる。小さくて軽いはずなのにそれはとても重かった……
…………
彼女は何を言うか口を動かし考えている。それは苦しんでいるようにも見えた。彼女が言ってしまえば今度こそこの関係は変わってしまうのでは?本当にわがままな理由だ。けど今のまま僕は願っている……
だから卑怯に彼女が口を開けた瞬間を見計らった
「あのね 」「別に無理して言わなくてもいいぞ」
「でも」
「言葉にするのは難しいから…努力して言った言葉も完全じゃなくて誤解を生ずる」
「でも、言わなきゃ伝わらない!」
「あのな、おまえが言いたいことくらい分かる。そして、それを言えば僕はそれを断る。そのくらいおまえも分かっているだろう?」
彼女は下唇を噛み締める
「分かるよ。そのくらい分かってるよ」
「だろ、ならそれを言ったところで意味なんてない」「そんなことない」
「そんことない。私は聞きたいんだよ。君の声を君の感情を…どうして断るのか」
「どうして断るのかだって?そんなもの分かりきっている。あの約束を僕は果たせていない」
「それは違うよ。君は嘘をついているよ」
その指摘はだいぶ苦しい
「去年はよかったんだよね。まだ一番の肩書きがなかったから。でも、今は一番勉強ができてしまっている。なのに私の願いを聞かないのはあの約束が理由じゃないってこと」
「それは違う。僕の一番はおまえのなんかと並べられない。うまく言えないけどおまえはずっと僕にとって一番なんだよ」
そうだ。そのはずだ。高々勉強ごときで彼女に並べない。でも彼女は続ける
「そんなの私だって同じだよ。君が一番で、君しかいないんだよ!」
それは思ってもないことだった
「君は私のこと分かるって言うけどそれは思い上がりだよ」
「そうかもな」
「でも、君はそれで知った気になってそれ以上進まない。壊れるのが怖いから」
「全くその通りだよ」
恋人になるのが甘えなんてのは嘘だ。僕はずっと甘えていた。この微妙な関係に…
「でもさ…それの何がいけないのさ」
「いけないよ。だって…私は進もうとしたんだから」
核心の部分を突かれた。
「君をもっと知って理解したいから。恋人になりたくなってしまった。それを隠すなんて…嘘はつきたくないの。なのに君は逃げたんだよ!」
一度言葉を止めてもう一度口を開いた
「それに君は…私が君を好きと思うのと同じように私のこと好きなんでしょ」
さすがよくわかってらっしゃる
「このくらい分かるよ……私嫌いなことから逃げるのは許したけれど、好きなものを避けることは許してないよ。それは悪いことだよ!! あの約束を言い訳にしないで!」
言い訳…そうだなあ。全くあのときから成長していない。また彼女に色々教えられてしまった。
「でもさ…やっぱりおまえはすごいからさ。何か僕も欲しかったんだ。おまえがどんどん先に行くのはさみしいから。でもそれは願ってはいけなかったんだな」
「ねえ、どうしても一番になりたいならさ。」
彼女は近づき耳元で
「私のこと一番に愛してよ」
「へ?」
彼女は出口のほうへ走りだし一度だけ振り返って
「私もそれ頑張るからさ」
と言って駅から出ていった
さすがに恥ずかしかったのだろうか。僕も今正常に話せる気がしないので助かった。
一番に愛する。それは簡単だけど、難しいんだろう。彼女をもっと知らなくてはいけない、今から踏み込んで。何かを失うかもしれない…ヘタレな僕には難しそうだ。
小さな箱を開けて中身を取り出す。口にしたそれはビターテイストなものだった。でも不思議と今は甘く感じられた
読んでいただきありがとうございます!
なんかだらだらとしてしまいました
この作品に結構時間をかけたので完結させられてよかったです
とはいえぜんぜんうまくまとまらなかったと自覚しております。今後精進いたします……




