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昼休みに君と。

朝から降っていた雨は昼になってようやく晴れた。

水たまりの中の小さな青空を白い飛行機がすうっと横切っていく。



この窓際の席は、外が見られて退屈しない。

雨がやんだ途端に校庭に走り出てきて、サッカーをしている生徒たち。

職員室の外でぼんやり煙草を吸ってる先生は、授業中より老けてみえた。

掃除のおばさんはせっせと花壇の水やりをしてる。

雨、降ったばっかりなのに。


ね、やっぱり退屈しない。


それに何よりここからはあの人が見える。

校庭の隅っこの名前の分からない大きな木の下でうずくまってる、あの人。


あんなとこじゃ雨宿りできないこと、私は知ってる。大きい割に葉が少ないのだ、あの木は。

たいして丈夫でもないくせに、というか風邪ばっかりひいてるくせに、くだらないやせ我慢しちゃって、馬鹿なやつ。

後で風邪ひく位ならおとなしく教室入ればいいのに。

ほんと意地っ張りなんだから。

しょうがないなあ。


しょうがないから、お弁当を食べ終わったら迎えに行こう。


それで二人で先生に謝って、教室に戻ってこよう。

意地っ張りなあの人は謝るのが下手だから私も一緒に謝ってあげよう。

意地っ張りでその上照れ屋なあの人は、多分嫌がるだろうけどそんなことは私に関係ない。

だってあの人が風邪をひいたら、毎日毎日プリントを届けるのは私だもの。

テスト前の大事なときにそんなことになったら迷惑極まりない。

自分が悪いんだから、せいぜい恥ずかしがればいいんだ。少しは懲りるかもしれない。


嫌がるあの人の顔を思い浮かべたら、何故だか笑えた。

そして最後の一口を口に押し込んで、私は席を立った。



 

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