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この町のネコ、やっぱりおかしい  作者: 大西さん
そして発見された記録たち
41/41

内閣官房 国家安全保障局 特別事案対策室

文書番号:NSS-2024-SP-0331-祢古


機密区分:特定秘密

配布先:限定配布リストA-7参照

作成日:2024年3月31日

最終更新:2024年5月15日


件名:祢古町事案に関する政府統一見解(第3版)


1. 現状認識


2024年3月1日以降、いわゆる「祢古町現象」により、確認されている行方不明者は全国で127名に達した。ただし、この数字は「公式に行方不明届が提出された者」のみであり、実数は推定400〜600名と考えられる。


本事案を単なる集団ヒステリーとして処理することは、もはや不可能である。


2. 歴史的経緯


機密解除文書(1957年)より抜粋:


昭和32年4月、音無神社地下にて発見された「繭状構造体」に関する調査は、同年4月20日をもって中止された。調査団12名のうち、11名が「種族認識障害」を発症したため。


当時の報告書には「被験者は自身を猫科動物と認識し、四足歩行を試みる」と記載。ただし、これを単なる精神疾患として処理したことが、その後の事態を悪化させた。


3. 科学的知見


防衛医科大学校・特殊事例研究班の報告(2024年3月25日)によれば:

影響を受けた者の脳波に特異なパターン(7.83Hz基調)

松果体の異常活性化

染色体の一部に「理論上存在しないはずの」配列

これらは既知の病理学では説明不可能。


4. 対応指針


4-1. 情報統制


マスメディアには「都市伝説」として処理するよう要請済み

SNS上の関連投稿は可能な限り削除(ただし、完全削除は逆効果)

学術研究は届出制とし、成果は非公開


4-2. 物理的封鎖


祢古町推定地域(座標は別紙)の封鎖完了

ただし、封鎖の効果は限定的(後述)


4-3. 医療対応


「種族認識障害」の診断基準を策定

ただし、治療法は未確立

患者の隔離は逆効果(集団化を促進)


5. 重大な懸念事項


5-1. 地理的拡散


当初、祢古町という特定地域の現象と考えられていたが、現在では全国73箇所で類似現象を確認。これらの地点は地下で連結している可能性。


5-2. 感染性


直接接触なしに「影響」が伝播する事例を確認。インターネット、特に画像・音声ファイルを媒介とする可能性。


5-3. 不可逆性


一度「変化」した者を元に戻す方法は発見されていない。むしろ、彼らは「元に戻った」と主張する。


6. 機密情報


以下、閲覧レベル5以上のみ

実は、これは初めての事例ではない。


平安時代:「猫又騒動」として記録

江戸時代:「猫檀家」事件

明治時代:「猫神村」消失

約1000年周期で発生。そして今回は、過去最大規模。

さらに重要な事実:影響を受けない者には共通点がある。


強固な一神教信仰

特定の遺伝子配列

あるいは...既に「完成」している者


7. 最悪のシナリオ


現在のペースで拡散が続いた場合:


3ヶ月後:影響者1万人

6ヶ月後:影響者10万人

1年後:社会機能の部分的崩壊


ただし、これは「人類にとって」最悪のシナリオ。 「彼ら」にとっては、最良のシナリオかもしれない。


8. 提言


もはや「封じ込め」は不可能と判断する。

今後は「共存」の可能性を探るべき。


なお、一部の研究者から「これは侵略ではなく、帰還である」との指摘がある。 人類の一部は、元々...


[以下、黒塗り]


添付資料1:関係省庁への指示事項


厚生労働省


「種族認識障害」を新たな疾病分類に追加

ただし、一般には公表しない

患者への対応は「経過観察」のみ


文部科学省


関連研究への予算配分を停止

知りすぎた研究者のリスト作成


警察庁


行方不明者の捜索は形式的に継続

ただし、発見しても「保護」はしない

彼らは、もう人間ではないから


防衛省


自衛隊による物理的封鎖は継続

ただし、隊員の心理状態を毎日確認

「猫を見た」と報告した隊員は即座に配置転換


添付資料2:Q&A(部内限定)


Q: 祢古町は実在するのか?

A: 地理的な場所としては存在しない。しかし、ある種の「状態」として遍在する。


Q: なぜ猫なのか?

A: 不明。ただし、猫は人類と共生してきた唯一の非家畜化動物。


Q: 対策はあるのか?

A: 現時点では、ない。


Q: 我々も影響を受ける可能性は?

A: [回答は削除されています]


添付資料3:ある研究者の手記(参考)


※正式文書ではないが、重要な示唆を含むため添付


もしかすると、我々は間違っているのかもしれない。

「人間」という状態が正常で、「猫化」が異常だと考えている。 しかし、逆だとしたら?

人類の歴史は、せいぜい数万年。 一方、「彼ら」の歴史は?

祢古町は病気を広めているのではない。 治療しているのかもしれない。 「人間」という病を。


文書改訂履歴


第1版(3月20日):現象を「集団ヒステリー」と分類

第2版(3月25日):「原因不明の集団失踪」に変更

第3版(3月31日):現在の見解


※内閣官房国家安全保障局特別事案対策室は2024年5月20日をもって解散

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