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鬼の双子

こちらの作品は「元の世界に帰るために本探してみた!」の番外編です。 よければ、本編も覗いて見てください。

ここはトヤヘリノからかなり離れた大陸。

その大きな大陸に、小さな村があった。

鬼たちが暮らす小さな村。

そんな村に双子の兄妹が生まれた。


しかし、この村では双子は不吉なものとして扱われた。

双子の母親には重い選択が課された。

”片方を殺す”か、”両方を殺す”か。


長考の末、母親が出した答えは両方を殺すというものだ。

”片方だけ”を、母親は選ぶことができなかったからだ。


母親は台所から包丁を取り出し、双子に向ける。

まだ生まれて間もない赤子が、静かに眠っていた。

母親の目から、大粒の涙があふれる。

いつの間にか包丁を置き、双子を抱きしめていた。

我が子を殺すことは、母親にはできなかったのだ。


母親は双子を隠れて育てることにした。

小さな家の狭いふすまの中に双子を隠し、一生懸命育てた。

双子は死んだとして、この問題は幕を閉じた


しかし、母親は”双子を生んでしまった者”として周りから虐げられてしまった。

母親には頼れる者もおらず、日に日にやつれていく。

一人で、二人の子どもを育てるのには、限界があったのだ。

けれど、母親は諦めなかった。

愛する二人のために、全力を注いだ。

双子はすくすくと育ち、五年が経った。


母親は畑仕事から帰ると、静かにふすまを開ける。

双子は母親に抱きつく。

母親は双子の顔を見ると、今日あったことを双子に話す。

畑の根菜がもう時期収穫できること、山菜がたくさん取れたため、今日は山菜粥を作ること。

母親は双子が見ることがない世界を共有した。

双子は母親の話を聞くのがとても好きだった。


日が落ち、ろうそくに日を灯す。

母親が作った山菜粥を食べ、三人で一つの布団に入る。

まだ寒さは残っているが、三人でくっつけば温かい。

こんないつも通りが、いつまでも続けばいいと三人とも思っていた。


今日はいつもと違う。

なんだか外が騒がしい。

不思議に思った母親は、少し様子を見てみることにした。

双子は、布団の中で母親の戻りを待つ。

いつも二人で待っている、だから大丈夫。

しばらくすると、母親が慌てた様子で帰ってきた。

母親は双子をふすまの中に入れ、布団をかけた。

すぐ戻ってくるからね、と一言だけ残し、優しくふすまを閉めた。


双子は母親を信じて待っていた。

いつも二人で待っている、だから大丈夫。

しっかり手をつなぎ、体を寄せる。

布団には、まだ温もりが残っている。

双子はそのまま眠ってしまった。

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