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転生したからって、ざまぁされなくてもいいよね? ~身内との8年間、攻略対象達との3年間の駆け引き~  作者: 鶯埜 餡
13才編『攻略対象者3』

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 アリアが再び寝たのを確認した後エレノアとミスティア王女は、外に出た。

 部屋の外には、ディートリヒ国王がそこにいた。彼は出てきた娘を抱き上げ、

「シシィのところへ行っていなさい」

 と言い、頬にキスをして彼女の背中を押した。

「あなたはそんなことをする人だったのね」

 近くで見ていたエレノアは、いいネタが出来たと言わんばかりに、にやにや顔でそう言った。

「ああ。ティアにもいずれ政略結婚をしてもらわねばならない時が来る。それまでは、できるだけ甘えさせてやりたい」

 ディートリヒは一国の王ではなく、どこにでもいる父親の顔をして、そう言った。

「そう」

 エレノアはその言葉を聞き、目を細めた。

「で、私に用があるのではなくて?」



 国王執務室――――

 普段、公の場では臣下という態度を崩さない彼女だったが、今は少し年の離れた従姉という関係で座っていた。

「まだ伯父上の証文は持っているか?」

 国王自ら二人分の紅茶を入れ、彼も着席したところで、切り出した。

「王位継承権に関するのでしょう。持っているわ」

 エレノアは差し出された紅茶のにおいを嗅ぎながら、そう答えた。

「そうか、ならばよい(・・)。大切に持っておいて、後3年後にアリア姫に渡しなさい」

 ディートリヒはエレノアと目をあわせずにそう言った。

「何をする気?」

 エレノアは従弟の発言に目を細めた。

「まだ教えられん」

 ディートリヒもまた、目を細めた。二人は互いに視線の先がぶつかり合い、ぶつかったところで火花が散っているように感じられたが、どちらともなく、視線を逸らした。

「だが、一つ言えるのは、『王宮侍女』アリア・スフォルツァは今シーズンで終わりだ」

 ディートリヒは一度目を伏せた後に、エレノアの目を見てそう言った。エレノアはその言葉に、目を見開いた。

「すでにお前たちには言ってあるが、今シーズンからは本格的にスフォルツァ家当主代行の役割をアリア・スフォルツァに移行してもらう。そして、シーズン終わりには、登用試験に合格してもらい、『外務庁役人』アリア・スフォルツァとして働いてもらう事とする」

 ディートリヒのその発言には、エレノアは一瞬考えこんだが、

「そうね、そろそろ潮時かな」

 とほほ笑んだ。

「エレノアはどうかな。まだまだいけるんじゃないのか?」

 ディートリヒはエレノアをからかった。彼女はそうかしら、と笑った。しかし、従弟の言葉に、対抗心が生まれたことに、ディートリヒは気づいた。


「私はこれ以上、罪を見て見ぬふりはできない。だから、ここで、本来のあるべき姿に戻す」

 彼の言葉は今の時点では、絶対に無理があるのではないのだろうか、とエレノアは考えたが、深くは考えられなかった。

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