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貧しい村の村長に懇願される

乾燥野菜は予想以上に売れた。


保存が利き、栄養価もあり、調理も簡単。

しかも形の悪い野菜でも問題ない。


この国に必要とされていた要素が、すべてそこにあった。

気がつけば、近隣三村の乾燥野菜を一手に取り扱うようになっていた。


そんなある日、一人の老人が、ボロボロの服をまとって門を叩いた。


「……お願いがあります」


彼は、近隣で最も貧しいとされる村の、村長だった。


「うちの村も救ってもらえませんか?」


俺はとりあえず詳しく事情を知るために、村へ向かった。


今回もなんとなく、整理整頓でなんとかなると思ったので、道中こう言った。

「だいじょうぶ。きっとなんとかなりますよ」


村へ向かう道すがら、屋根の抜けた家々や、空き家に干されたボロ布を見た。


あれ……?これ本当に大丈夫?俺詰んでない?


村は想像以上に荒れていた。


「ほれ見ての通り。この村は貧乏だ。そして年寄りばっかりじゃ。

なんの資源もない。だからこの村を再生するなんて無理じゃ」


うちの村を救ってもらえませんか?と来たくせに、いきなり諦めモード。


なんなんだ、このジジイは? ……とは思ったが、それは口に出さなかった。


俺は目を閉じて、精霊タンに呼びかける。


「ってことなんだけど。なんか整理整頓でなんとかならない?」


「おいおい。ちゃんと説明しろよ。……ま、いっか。

この村を救うのに整理整頓でってことだね。うん。


不用品ってさ、どんな貧乏な家にでもあるけど、人それぞれ不用品が違うんだ。

それを上手く組み合わせれば、村を動かすことができるよ」


「おーそっか。ありがとう精霊タン。それで行くよ」


俺は少し考えたふりをして、村長に語りかけた。


「村長がおっしゃるのであれば、そうなのかもしれません。

でも“なんの資源もない”は間違いです。


ひとつお願いがあります。

村人たちに、壊れたものでもなんでもいい。

“いま使っていないもの”を広場に持ってきてほしいんです」


村長は訝しげに眉を寄せたが、しばしの沈黙のあと、口を開いた。


「……まあ、言うだけならタダじゃ。やってやろう」


──3日後・村の広場──


壊れた鍬、欠けた皿、片方だけの靴、古びた布、錆びた鍋――


一見、使い道のなさそうな“がらくた”たちが山となっていた。


俺は集まった村人たちに向き直り、声を張った。


「皆さん。ここにあるのは、皆さんの家で“もういらない”とされていたものです。

ですが、他の人にとっては、“今、欲しかったもの”かもしれません。


よろしければ、見てください。

“これがあれば何かできる”と思ったら、どうぞ持って行ってください」


一瞬の静寂。

しかし、誰かが古い木箱を持ち上げて言った。


「……おお、これ。直せばうちの孫の道具箱に使えるわい」

「これ、うちの修理中の井戸にピッタリや。もらうぞ」

「おい、この布……縫い合わせれば売り物になるぞ!」


声があちこちで弾ける。


人々が手にするたびに、“がらくた”は“資源”へと姿を変えていく。


最終的に、広場には何ひとつ残らなかった。


村人の誰もが、何かしらを手にし、満ち足りた顔で帰っていった。


その日を境に、この貧しい村は変わった。


村人たちは“捨てる”ことより“活かす”ことに目覚め、

互いの技術と持ち物を見直し、交換し合い、

村は“資源の循環”という新たな価値観で、再び動き始めたのだった。


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