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154/167

今日から僕は 154

 アルコール度数40度のラム酒をグラス一杯開けたカウラがふらふらし始める。

「神前!支えろ!」 

 要がふらふらとし始めたカウラを見てすぐに叫んだ。誠はカウラの背中に手を当て支える。

 カウラは緩んだ顔をとろんとした緑の瞳で誠を見つめる。

「誠君。気持ち良いのれ、ふらふらしちゃってますれす」 

 完全に出来上がっている。頬を赤く染めて、ぐるぐると頭を動かすカウラを見て誠は確信していた。

「大丈夫ですか、カウラさん」 

「大丈夫れすよ!大丈夫!おい!そこのおっぱい星人!これに何をれらのら!」 

「それはアタシのグラスだ!テメエが勝手に飲んだんだろうが!」 

「駄目よ要ちゃん。酔っ払いをいじめたら」 

 要は睨みつけ、アイシャはそれをなだめる。初めての状況だと言うのに二人は完全に立ち位置を決めていた。

 そして当然、誠は介抱役。 

「ベルガー大尉。しっかりしてくださいよ!」 

「誠君。ベルガー大尉ら無いのれすよ!カウラたんなのれす!」 

 そう言うと今度は急にしっかりとした足取りで立ち上がる。

「何!どうしたのって、まあ!カウラ。・・・西園寺!あんたでしょ!あの子に飲ませたの!」 

 騒ぎを聞きつけた明華、リアナ、マリアの三人がやってくる。

「姐御!アタシじゃねえよ!あの馬鹿が勝手に飲んだんです!」 

「カウラちゃんすっかり出来上がって。神前君、介抱お願いね」 

 リアナはそれだけ言うと、カラオケの方に足を向けた。

「どんだけ飲んだんだ?ベルガーは」 

「ラム酒をコップ一杯」 

「まあ同じ量でアイシャが潰れたこともあったしな。それにしても情けないな」 

 ウォッカをあおるマリア。こちらはまったく顔色が変わっていないのに驚かされる誠。

「許大佐!シュバーキナ先任大尉!お二人にお願いしたい事がありますれす!」 

 急に背筋を伸ばし敬礼したカウラ。要とアイシャはいかにも嫌そうな顔でカウラの動向を見る。

「何よ。言ってみなさい」 

 完全に面白半分と言うような調子で明華がたずねる。

「わらくし!カウラ=ベルガー大尉はなやんれいるのれあります!」 

「何言い出すんだ!馬鹿!」 

 要が思わずカウラを止めようとするが、明華はすばやくその機先を制する。

「そう。じゃあ上官として聞かなければならないわね。続けなさい」 

 いい余興と言った感じで明華は話の先を促した。



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