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153/167

今日から僕は 153

「じゃあ失礼して」 

 明華が回りに普通の声で挨拶する。

「総員注目!」 

 大声で島田が叫ぶと、土鍋を前にしてじゃれ付いていた隊員達が明華に向き直る。

「保安隊隊員諸君!今回の作戦の終了を成功として迎える事ができたのは、貴君等の奮闘努力の賜物であると感じ入っている!決して安易とは言えない状況下にあって、常に最善を尽くした諸君等の働きは特筆に価するものである!私は諸君等の奮闘に敬意を、そして驚愕の念を禁じえない!」 

「いつもの事ながら上手いねえ」 

 はきはきとした口調で隊員に訓示する明華を眺める要。

「西園寺さん。普通これは隊長の台詞じゃないんですか?」 

 ニヤつきながらラムのグラスを進める要に声をかける誠。

 慣れた島田の段取りから見ても、この部隊の最高実力者が明華であることは明らかで、こういった席でも仕切るのは彼女だとわかった。

「今回の作戦では警備部に二名の負傷者が出たのが残念であったが。二人とも軽傷であったことは幸いであると言える。今後、予想されるさまざまな状況の変化に対応すべく諸君等は十分に・・・」 

「長えな」 

 ぼそりと嵯峨が呟くのを見て、明華は切り上げる決意をした。

「実力を発揮して保安隊の発展に寄与する事を期待する!では杯を掲げろ!」 

 誠、要、カウラ、アイシャ、シャムが杯を掲げる。他のテーブルの面々もコップを掲げている。嵯峨もめんどくさそうに猪口を持ち上げる。

「乾杯!」 

『乾杯!』 

 全員がどっと沸いて酒をあおる。

 シャムがテーブル全員のコップと乾杯をすると、さらに明華達のテーブルに出かけていく。

「大丈夫か?」 

 コップを空にした誠が、要の声に気づいて、その視線の先を見た。

 カウラが一息でコップの中のビールを空けていた。誠、要、アイシャはじっとその様子を観察している。

「大丈夫みたいだな」 

「舐めるな西園寺、別にどうと言う事はない。なるほど。これがビールか」 

 ごく普通に立っているカウラ。

「肉、煮えたんじゃないの?」 

 アイシャはそう言うと土鍋の中を荒らす。

「オマエは野菜を食え!」 

「要ちゃんが食えば良いじゃない」 

「肉を入れたのはアタシだ」 

「取ってきたのアタシだよ!」 

 シャムが手を上げるとその後頭部を小突く要。

「テメエは隣の鍋で食ってたろ!」 

 三人はいろいろ言い合いながらも、土鍋をつつきまわしていた。

「じゃあ春菊入れますね」 

「神前、気が利くじゃないか?それと豆腐も入れろ!」 

「要ちゃん、豆腐苦手じゃなかったの?」 

「馬鹿言うな!鍋の豆腐は絶品なんだ!っておい!」 

 要はカウラを指差して叫んだ。自分用に注いでいたラム酒を一息で空にしたカウラ。

 エメラルドグリーンの髪の下。白い肌が急激に赤くなっていく。 

「なるほろ。これがラム酒ろいうものなろか?」 

 ろれつが回っていないカウラが出来上がった。



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