今日から僕は 147
「主賓が来なくちゃ始まらないじゃないの!」
医務室に来客が多い。今度は明華、リアナ、マリアの登場である。
「明華ちゃん。もうちょっと小さな声で!」
リアナに指摘され、入り口に門番のように立っているドムに白い目で見られて照れるように頭に手をやる明華。
「神経衰弱とは、少したるんでいるんじゃないのか?」
青いベレーに金の髪が映えるマリアが笑顔でそう突っ込む。
「そうか。じゃあ室内戦闘用訓練のカリキュラムでも作ってくれるのか?」
嵯峨もさすがにこの時ばかりはニヤつきながらマリアに仕事を押し付ける。
「ドクター!それじゃあ先行ってるんで!今回の主役はお前らだ!なんとシャムが先月取って来た猪肉が200kgもある!」
叫ぶ嵯峨。驚嘆する一同。
腰に手を当て無い胸を張るシャムの頭には猫耳が踊っている。
「牡丹鍋だ!」
島田が叫んだ。
「豆腐あるの?豆腐」
「アイシャ。オメエ、頭も腐ってりゃ、好きなものまで腐ってるんだな」
「なによ!豆腐は感じは腐ると書いても腐っているわけじゃ・・・」
「クラウゼ大尉!西園寺中尉!」
『ハイ!大佐殿』
明華の声にわざとらしく大げさに敬礼する二人。
「以上二名はガスコンロ等の物資をハンガーに運搬する指揮を執ること!ナンバルゲニア中尉!ラビロフ中尉!グリファン少尉!島田曹長!」
『ハイ!』
「以上は会場の設営の指揮を担当!以上!かかれ!」
『了解!』
全員が小走りで医務室を飛び出していく。
「僕とカウラさんはなにを?」
残された誠とカウラはベッドに腰掛けながら待っていた。
「ああ、あんた等は主賓でしょ?ただ待ってりゃいいのよ。マリアとリアナは飲み物の手配お願い。それと隊長!」
急に呼ばれてビクンと立ち上がった嵯峨。
禁煙の医務室にもかかわらず、その手からタバコが一本落ちる。明華はそのタバコを踏み潰した。悲しそうにそれを見送る嵯峨。
「隊長には私品の酒類の供出を求めたいのですが」
不気味な笑みを浮かべる明華。おずおずと頷く嵯峨。
「じゃあ神前君、カウラ。行くわよ」
そう言いながら、明華の口元には笑みがあった。
「うるせえなあ、うちの小姑は」
嵯峨がぼそりと呟くが、明華が一睨みすると、肩をすぼめて自室へと向かった。




