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134/167

今日から僕は 134

「アタシについてきな!新兵さんよ!とりあえず戦争の作法って奴を教えてやるよ!」 

 そう言うと要は機をカタパルトデッキに固定させる。

 誠は続いて固定装置をパージして後に続く。

「おい!サラ!出撃命令まだか!」 

 要が叫ぶ。

「作戦開始地点に到着!各機発進よろし!」 

 サラがやけ気味に叫んだ。

「んじゃ行くぞ!西園寺要!05甲式!出んぞ!」 

 リニアカタパルトが起動し、爆焔とともに要の機体が誠の視線から消えた。

 誠はオートマチック操作でカタパルトデッキに機体を固定させる。

『大丈夫だ。お前ならやれる』

『ちゃっちゃとついて来いよ。待ってんぜ』 

 カウラと要。二人の思いが誠に直接働きかける。

「神前誠!05乙!出ます!」 

 カタパルトが作動するが、重力制御システムの効いたコックピットは、視野が急激に変わるだけで何の手ごたえも感じなかった。

『宇宙だ』 

 誠は射出され、慣性移動からパルス波動エンジンの加速を加えながら目の前に広がる闇の深さに感じ入っていた。

『何、悦にいってるんだ?ちゃっちゃと移動だ。すぐ盆地胸も出てくるぞ!』

 目の前に光る点。

 要の思念通話が頭の中に響く。

『カウラ=ベルガー!05甲式!出る!』 

 カウラの機体も『高雄』を発艦した。

「まだ『那珂』からの発艦は確認されていません!速やかに目的地点の制圧を完了してください!」 

 赤い髪をなびかせてサラが叫ぶ。

「なんだ。近藤の馬鹿野郎、こんくらいのことも読めねえとはお先が知れるな」 

「戦力差を考えろ!」 

「わかったよ!隊長さん。ちゃんと指揮頼むぜ」 

 要は口元を緩めながら目的地点へと機体を向ける。

「敵戦力出撃!数22!作戦地点に向け速度200にて進行中!」 

 サラからの伝言。

 カウラは表情を曇らせる。

「火龍22機か。アタシ一人でで潰せると思うが、ボス。どう読む?」 

「西園寺。保安隊の出撃規約も見ていないようだな。現出動政令では敵の発砲がない限りこちらから仕掛けることはできない。防衛予定地点の制圧を最優先として展開」 

「はいはい分かりましたよ!距離1200……ってなんだか観測無人機が山ほどあるぞ。どうする?」 

 要のその声にカウラは少し悩んだ。

「観測機は外で待ってる諸外国の艦隊のものだ。無視しろ」 

「お客さんは大切にしろってことか。分かった。とりあえず制圧を最優先に進行する!」 

 要はそう言うと、ようやく後ろにへばりつこうとしていた誠の機体を振り切って加速をかけた。



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