新しい出会い
端的に言えば、光る山肌には銀があった、実はこれを取るときに新しい出会いがあった、その時の話をしておこう、まずは朱雀にここら辺で一番光っている山肌へ案内され着いた所には岩だけでなくいかにも銀色に輝く鉱物部分が岩の表面にあったこれが何なのか白虎に鑑定して貰おうと頼んだら
「お任せ下さい」
白虎はそう言うと銀色の鉱物を手で掘り出した、どうやら手をスキル『金属化』にして掘ったらしい、鉱物を持つ手は白銀色になっていた、その手が液状化したかのように手の原型を崩して鉱物を包み込む
「ふむ、これは銀ですね」
どうやらこれで分かるらしい
「白虎、一体その手はどうなっての?」
「これは手を金属化した後に変形させた状態です、以前スキル『神獣化』を使用した時に変形の要領が分かりましたからこうして金属を取りこみ私の体が知っている金属と照らし合わせ判別しております」
「スキル神獣化ってな何?」
「以前妖精の気を引きつける為に私の全身が金属化して四足動物になったあれです」
「あ~あれか」
妖精三人の気を引き付ける為に派手にやったあの変身の事だね
「むっ?これは……」
「どうしたの白虎?何かあったの?」
眉をピクリと動かす白虎を見てちょっと不安になる
「いえ、すみません、この金属は銀で合っているのですが、少し元の世界とは違う様なのです」
「少し違う?」
「はい、魔力に晒され少し変質している様です」
「その変質で何か悪い事がある?」
もし何か問題があるのなら採掘は諦めよう
「いえ、何も問題無いです、ただこちらに来てから得られた知識ですので詳しく調べます少々お待ち下さい」
そう言って白虎は目を閉じ集中しだす
「うん、分かった」
こちらに来て数日しか経ってないし、スキルを使い熟せて無いし仕方ないね、それにしても銀か、しかもちょっと変わった銀、心が浮き足立つな、どうして金や銀とかって持つと嬉しくなるのだろう?
「むっ?ご主人様、神通力を目に纏いあちらをご覧下さい」
白虎を待っていると玄武が白虎が先程掘っ跡の窪みが出来た岩肌辺りを指さして話し掛けてきた
「え?分かったよ」
言われた通りに見てみる、そこには大きな鏡餅ぐらいはある醤油饅頭(?)っぽい何かがいた
目鼻口もなくただそこにいるだけ、それにしても神通力を使わないと見えないと言う事は高次元の存在である、もしかして鉱物を取った事に怒ってるのかな?まずいな、怒らせてはいけない存在なのに怒らせてしまったかも……
固唾を飲んであちらの反応を見る、顔にあたる場所が無いので何処を見ているのか何を考えているのか何も分からない、観察していると何となく悪感情は感じられない、それに、この高次元存在は創造神様に似た善の雰囲気がする、良かった多分怒ってない、少しほっとしたところでその存在がゆっくりと浮かんでふよふよと私の前に来た
「えっ!?あの、その私は揖保川命叡と言います、異世界から来ました、どうかよろしくお願いします!」
目の前に来た高次元存在に頭を下げる
『ムー』
「ご主人様!」
私は頭を下げていたので玄武が声をかけてくれるまで高次元存在が私に引っ付いた事に気付けなかった
「え!?どっ、どうして私の頭に!?!?」
高次元存在は私の後頭部に引っ付いている
下手に高次元存在なため払う訳にもいかずオロオロしていると
『ムー』
高次元存在が光りだし私を光りで包み込むと同時に私の中に入り込んだ、多分力をくれたのだと思う、護られている感じがして安心感で満たされる、得も言われぬ高揚感に浸っていると、色々な知識が湧いてきた、私は以前から知っていた事のようにすんなりとその知識を受け入れる
『ちゃんと大地精霊ムーの力を得られましたね、これであなた方の中で不足していた土属性の知識と力が得られたと言うことになりますので良いように使って下さい』
創造神様からお知らせが来た、成る程確かに四神獣達の属性は金・水・木・火、だから土属性が無かった、これで農作が捗る
「ご主人様、大丈夫ですか?」
「うん、玄武大丈夫、力を貰っただけだから」
さて、新たに手に入れた力で今出来る事がある、私は白虎が掘った山肌へ行きそこに手を付ける
「ご主人様一体何を?」
「まあ、見ててよ」
玄武を驚かせる為に曖昧に答えておく貰った知識通りに山全体を魔力で見通す(所謂スキャンみたいな感じ)、そして欲しい物だけをこちらにたぐり寄せる
ゴゴゴ……
「むっ!地震ですか!?」
山が鳴動する、崩れない様にしっかりと制御しながら目的の物を取り出す、私の前には小山程の鉱物が出てきた
「ご主人様、これは何ですか!?」
「これはこの山にある銀を含んだ鉱物だよ」
玄武に答えながら小山の鉱物をアイテムボックスに入れる
「ご主人様が先程の地震を起こしたのですか?」
玄武が訪ねてくる
「そうだよ、間接的に起こした事になるね」
「なんと……あんな凄まじい力を容易く使うとは!?」
玄武が驚く
ザワ……
それと同時に他のみんなも驚きザワついている