⭕ 少年陰陽師★平安幻想異聞録 5
マオ
「 資料室に着いたけど、何をする所なんだ? 」
画面には〔 読む 〕〔 物色 〕〔 拝借 〕の3択が出ている。
〔 読む 〕は文字通りの意味だろうから分かるけど、〔 物色 〕ってのは厭らしい言葉だと思う。
資料の保管場所なんだろうから、〔 探す 〕で良くないか?
気になるのが〔 拝借 〕だ。
これは……もしかしなくても、“ 窃盗 ” を正当化してるんじゃないか??
〔 拝借 〕って言葉を使って、オブラートに包んでるけど “ 盗む ” って事だろぉ!!
マオ
「 セロ──、犯罪臭がプンプンするんだけど! 」
セロフィート
「 気の所為です。
〔 読む 〕は保管されている資料,書物を選択して読みます。
〔 読む 〕と知識が身に付き、読解力,理解力,智力が上がります。
〔 物色 〕は資料室の中で “ お宝的な何か ” を故意に探します 」
マオ
「 故意に探す??
やっぱり犯罪臭がするぅ!! 」
セロフィート
「 〔 拝借 〕は一時的に資料,書物を借ります。
あくまでも “ 一時的に ” です。
資料室から持ち出しても “ 盗む ” 事にはなりません。
勘違いしないでください 」
マオ
「 資料室から持ち出す時点でアウトだろぉ!! 」
セロフィート
「 マオ、“ たかがゲーム ” です。
目くじらを立てないでください 」
マオ
「 “ 然れどゲーム ” とも言うじゃんか 」
セロフィート
「 ゲームの存在を快く思わず、敵視する者達の妄言を真に受けないでください 」
マオ
「 妄言って……。
良いよ、もう…。
ゲームに突っ込んでも虚しいだけだしな。
折角のゲームなんだから、楽しまないと損だよな! 」
セロフィート
「 娯楽は童心に返り、心から楽しむものです。
分かって来ましたね 」
マオ
「 何を言っても “ 無駄なんだ ” って悟ったんだよ!!
取り敢えず、〔 読む 〕を選んで片っ端から資料と書物を読み漁ってみるよ 」
オレは〔 読む 〕を選んで、画面に出て来た資料,書物を全部チェックした。
〔 読む 〕が終った後、試しに〔 拝借 〕を選んでみたけど、「 〔 物色 〕をしていません。〔 拝借 〕は出来ません 」って文字が出た。
「 だったら始めから〔 拝借 〕を出してんな! 」って文句を言いたい。
〔 物色 〕を選ぶと、画面がドット絵に切り替わった。
シュンシュンを動かして「 好きなだけ〔 物色 〕しやがれ! 」って事なんだな?
気の済むまで隅々に資料室の中を〔 物色 〕すると貴重な資料,書物を見付ける事が出来た。
何で資料室にあるのか不明な “ 際どい大人の写真集 ” なんかも見付けたし、誰かが隠していた “ こっ恥ずかしいラブレター ” なんかも見付けた。
誰かの “ ヘソクリ ” も見付けた。
血痕の付いたタロットカードも見付けた。
マオ
「 何か怖ぁ~~。
血痕の付いたタロットカードなんて要らないんだけどな… 」
セロフィート
「 そう言わず、〔 拝借 〕を選んでください。
〔 物色 〕した物を全て持ち出せます 」
マオ
「 ………………これは “ ゲーム ” だから!
ファンタジー要素の濃いゲームだからぁ!!
オレは犯罪者予備軍じゃないから!! 」
オレは自分に強く言い聞かせてから、後ろめたい気持ちで〔 拝借 〕を選ぶ。
〔 物色 〕した全てのアイテムがシュンシュンのアイテム欄に追加された。
セロフィート
「 資料室での用事は済みました。
出ましょう 」
マオ
「 う、うん……。
出たら今度は何処に行くんだろう? 」
資料室を出ると、シュンシュンから「 お腹が空いたな。食堂へ行こう 」って台詞が出る。
マオ
「 今度は食堂かよ… 」
オレは地図を見ながらドット絵のシュンシュンを動かして食堂を目指す。
マオ
「 食堂か……。
今度は “ 盗み食い ” でもするのか? 」
セロフィート
「 ワタシに聞かないでください。
ゲーム開発には携わってません 」
マオ
「 攻略本の意味ぃ~~!! 」
セロフィート
「 マオ、食堂に着きました。
入ってください 」
マオ
「 はいはい──と 」
オレはシュンシュンを動かして食堂へ入る。
画面に食堂のイラストが出る。
〔 出る 〕〔 食事 〕〔 食堂のオバちゃん 〕の3択が出た。
マオ
「 〔 食堂のオバちゃん 〕って何だ??
イベントでも始まるのかな?
取り敢えず〔 食事 〕だよな 」
オレは〔 食事 〕を選んだ──つもりだったけど、手違いで〔 出る 〕を選んでしまったみたいだ。
シュンシュンから「 未だ食事をしてないぞ。腹拵えをしないとな 」って台詞が出る。
ごもっともだ。
次は間違えずに〔 食事 〕を選んだ。
シュンシュンが歩いているのか、コツコツコツと足音だけが聞こえる。
椅子を引いて座る音がする。
どうやらシュンシュンの食事タイムが始まるみたいだ。
画面がシュンシュンらしい人物の手元とテーブルのイラストに切り替わる。
画面には読み易い早さで文字が出て来る。
此処は台詞じゃないからノンボイスなんだな~~。
料理が運ばれて来たのか、イラストも変わる。
ゲームのシュンシュンは洋食派みたいだ。
美味しそうなオムライスハンバーグのホワイトソース掛けのイラストだ。
オレも食べたくなって来た。
シュンシュン視点で食堂の様子が語られ続ける。
どうやら現代の陰陽院では全員が全員、陰陽師の衣装を着て過ごしている訳では無いらしい。
陰陽師の衣装を着られるのは、式神を使役しているエリートだけらしい。
ゲームのシュンシュンはエリートなんだな~~。
マオ
「 8体もの式神を使役しているシュンシュンって、かなり上位のエリートって事かな?
8体共属性が違うし、どの式神もLV10だしさ 」
セロフィート
「 そうですね。
現代に於いては強い陰陽師として、5本の指に入ります。
あくまでも “ 現代では ” の場合です。
平安時代では主人公の強さは通用しません。
式神のLV上げをしないと平安時代の戦闘では苦労します 」
マオ
「 えっ?!
マジで??
LV10の式神じゃ駄目なのか? 」
セロフィート
「 最低でもLV30は必要です 」
マオ
「 さ…30ぅ?!
そんなに上げるのか??
最低でも20も上げないと駄目……。
出来るのかよ?? 」
セロフィート
「 可能です。
何の為に攻略本があると思ってます? 」
マオ
「 攻略本!
そっ、そうだよな!
ゲームの強い味方、攻略本があれば鬼に鉄棒だよな! 」
セロと話してる間にシュンシュンの食事は終ったみたいだ。
画面のイラストが食堂のイラストに戻っている。
画面には[ 食堂のオバチャン ]〔 会話 〕〔 雑談 〕〔 悩みを聞く 〕〔 手伝う 〕〔 購入 〕の5択が出ている。
ごっ……5択?!
多いな!
マオ
「 〔 出る 〕が消えてる。
5つを終わらせないと食堂から出られないって事か──。
先ずは[ セーブ ]をしてからだな 」
ステータス画面に切り替えて[ セーブ ]をした後、〔 会話 〕〔 雑談 〕〔 悩みを聞く 〕の順番に進めた。
次は〔 手伝う 〕を選ぶ。
何を手伝えば良いのか分からないけど、〔 手伝う 〕を選んだら食堂のオバちゃんが喜んでくれる。
食堂のオバちゃんから「 皿洗いをしてくれるかい。確りたのむよ! 」って頼まれる。
画面が厨房のイラストに切り替わって、「 方向キーとBボタンをリズミカルに押して、皿洗いをしよう 」って文字が出た。
マオ
「 はぁ?!
またボタンかよ!
次は方向キーも使うの?
もぉ~~~~、鬼畜ぅ!!
“ リズミカル ” にって何だよぉ!! 」
セロフィート
「 音ゲーの一種です。
画面に出るマークと同じ矢印を押して、タイミング良くBボタンを押します。
頑張ってください 」
マオ
「 何が音ゲーだよ!
勝手にハードルを上げるなよぉ!! 」
オレの右隣に座って画面を見ているセロに文句を言いながら、コントローラーを握っている両手の指を必死に動かす。
ミニゲームなんか大ッッッ嫌いだ!!
何とかリズミカルに方向キーを押しながら、Bボタンをタイミング良く押せた。
洗えた皿は13枚。
初めてにしては上出来かも?
セロフィート
「 マオ、頑張れましたね。
初めてで13枚は凄いです。
15枚なら稀少なアイテムが入手出来ましたけど、残念ですね 」
マオ
「 は?
15枚でアイテムが貰えるのか?
15枚…………後、2枚じゃんか!
オレ、やり直す!!
[ ロード ]して、皿洗いをやり直す! 」
セロフィート
「 頑張ってください 」
オレはステータス画面に切り替えたら、迷わず[ ロード ]を選ぶ。
[ セーブ ]データを選んで、再び皿洗いに挑戦した!
皿2枚の壁は高くて、オレは途中でマオキノの名前を叫びながら20回近く、皿洗いを繰り返した。
マオキノは来てくれず、結局は自分の力だけで皿洗いを16枚達成した。
2枚の壁を越えれた!!
オレ、めちゃくちゃ頑張った!!
ミニゲームなんか要らない!
滅んでしまえっ!!
──で、皿を16枚も洗ったシュンシュンに対して、食堂のオバちゃんは感激してくれた。
食堂のオバちゃんは「 御礼だよ! 」って言って、黄金の鍵をくれた。
黄金の鍵の真ん中には赤い宝石が嵌められていて綺麗だ。
勿論[ セーブ ]するのを忘れない!
[ セーブ ]前にデータが飛んだり、消えたりしたら──、きっとオレは本体を壁に投げ付けて台無しにしてしまうかも知れない。
それだけオレは “ 皿洗い ” に心血を注ぐくらい頑張ったんだ!
マオ
「 ふぅ──。
無事に[ セーブ ]も出来たし、稀少なアイテムも貰えたし、達成感と満足感があるよ!
でもさ、黄金の鍵って何に使うんだ? 」
セロフィート
「 マオ、今は黄金の鍵よりも〔 購入 〕を選びましょう 」
マオ
「 あっ、そっか。
最後の1つが残ってたよな 」
画面に出ている〔 購入 〕を選ぶと、〔 調味料 〕〔 香辛料 〕〔 食材 〕〔 料理 〕の4択が出た。
マオ
「 食堂で買えちゃうんだ?
何で?? 」
セロフィート
「 ゲームだからです 」
マオ
「 ………………そだな。
調味料,香辛料,食材が買えるって事はさ、自分で料理が作れちゃう──って事だよな?
調理器具とか調理道具は、どうするんだ?? 」
セロフィート
「 先ずは〔 購入 〕しましょう 」
マオ
「 そうだな 」
オレは先ず4択の中から〔 調味料 〕を選ぶ事にした。