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暴かれる神の真意
黒く染まった羽根を抱えながら、堕天した使者は地に跪いていた。
その眼差しはもはや絶対の冷酷さではなく、人の苦悩を映している。
「……神は決して、完全なる慈愛の存在ではない」
低く、しかし確かな声で彼は語り始めた。
「かつて、神は人を愛していた。
だが、人が互いに愛し合う姿を見て――己が愛を奪われたと感じたのだ。
その嫉妬こそが、巫女を呪う根源となった」
俺は息を呑む。
神が嫉妬を抱くなど、想像もしなかった。
「……つまり、私の呪いは」
彼女は唇を噛み、かすれた声で続ける。
「神の……独占欲」
堕天した使者は頷いた。
「愛する者を選べば、その愛を壊す。
神はそう仕組んだ。
――“神だけが愛されるため”にな」
空気が凍りつく。
神の嫉妬は人の愛を許さず、巫女を罰した。
だが今、その真実を知った俺たちの前に、新たな問いが立ちはだかる。
「神はすぐに次の使者を放つだろう。
私の堕天を知れば、裁きはさらに苛烈となる」
堕天した使者の目が、俺と彼女を射抜いた。
「問う。お前たちは、この愛を貫くのか――神を敵に回しても」




