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1.召還聖女は三年間でざまぁする~裸の王子様なんて御免です~

9作目の次の8作目です。


よろしくお願いします。

「公爵令嬢!貴様との婚約を破棄しここにいる聖女と新たに婚約を結ぶこととする!」




 毎度毎度の卒業パーティーでの婚約破棄である。王太子の後ろには聖女、周辺を固めるのは宰相令息、宮廷魔術師令息、騎士団長令息、公爵令嬢の兄。ちなみに王立学園の卒業は16歳である。


「なぜですの?私に何か至らぬ点でもございましたでしょうか?この10年間王妃教育もまじめに受けて、4か国語をマスターし、社交など人脈作りも欠かさず行ってきたと思いますが。」


 公爵令嬢ちゃんもご苦労様です。毎度のようになろう作家のせいで苦労を掛けます。


「4か国語など大したことはないな。聖女には言語理解のスキルがあるから世界中のあらゆる言語を話すことが出来る。社交に外交にと国母としてこれ以上ふさわしい方はいません。」


 とは宰相令息。チートに勝てるはずありませんからね。というかあなた3か国語しか話せませんよね。


「しかも彼女のおかげで国の結界を維持することが出来ているうえに、彼女の魔法の技術もここ3年で一段と磨かれている。素晴らしい才能と努力だ。」


 宮廷魔術師令息の発言ですが、3年前に召喚されてからそれはもう技術を磨きましたから当然ですね。なんと言っても頼れる者は己のみという状況ですから。ちなみに結界というのは聖女のオリジナルスキルで魔物の侵入を防ぐことが出来る。悪意を持った人間の侵入や攻撃も防ぐことが出来るスキルで、防御特化とはいえ万能なスキルです。この国ではそんな理由で定期的に聖女を拉致るのだとか。


「そのうえ騎士団の傷をいやしてくれる上に、護身術やサバイバルの知識まで身に着けている。我々も自然と頭が下がる思いだ。」


 と騎士団長令息。聖女のユニークスキルから生えた光魔法で人々をいやすことが出来るのだがぶっちゃけこれだけでもチート。まあ訓練にもなるし、いろいろと教えていただく立場でしたから、ある程度の便宜は図りますよね。


「しかも彼女は健気で美しい。普段から高慢な態度のお前とは違うのだ。」


 上から目線の公爵令息が妹に向かって何か言っておられる。


「し、しかし彼女と王太子殿下では身分に差があります。国内のバランスが崩れると思いますが・・・」


 公爵令嬢さんも必死ですね。兄があの様子だと公爵家にも居場所がなくなりそうですし。


「聖女召喚により王国に迎え入れてより3年。国への貢献はみなが認めるところだ。家柄などは公爵家へ養子に迎えてから王家に嫁げば問題はない。他国の影もないと出自ははっきりしているわけだしな。これは決定事項である。」


 決め顔の王太子。


「そっそんな・・・」


 うなだれる公爵令嬢。


 茶番劇が繰り広げられているけどそろそろ私の出番かな?


「盛り上がっているところ申し訳ありませんが、私は王太子と結婚する気は全くありませんよ。」


「「「「「「え?」」」」」」


 呆ける6人。


「そりゃそうでしょう。なんで誘拐犯と結婚しなきゃいけないんですか?どこかの中東系のテロ国家ですか?まっぴらごめんですよ。あとこの格好はコルセットがきついし。」


「聖女は国の王子と結婚するのがかねてよりの習わしだぞ!なんだ?第二王子か第三王子に懸想でもしているのか?」


 慌てる王太子。


「そりゃそっちの都合でしょ。というかコルセットきついのに王子と結婚したら逃れられないでしょ。」


 コルセットのことは大事だから二度言っておく。


「まあ確かに・・・」


 公爵令嬢が頷いている。長年の習慣になっている彼女がそういうのだから皆コルセットには苦労しているのだろう。


「では私と結婚を。」


 宰相令息が言ってくる。


「誘拐を主導した家の人間が何言ってるの?」


 聖女召喚は王家と宰相家で共謀したと調べはついている。


「やはり私が選ばれるのですね。魔力の相性もぴったりですし。」


「魔法バカと筋肉ダルマは帰れよ!」


 騎士団長令息には発言さえ許されない。筋肉モリモリマッチョマンは暑苦しいのよね。


「でっでは公爵家に。」


「妹も大事にできない男が嫁を大事にできるの?」


 公爵令嬢が頷いている。


「というか私がこの国に協力する意味も必要もないんだけど。」


「なっ、民がどうなってもよいと申すのか。薄情にもほどがあろう。」


 王太子が何か言っている。


「民を守るのは国の仕事で国民でもない私には関係ない話。というか私は誘拐された被害者。他国の人間に自国の民を人質に使うって頭悪すぎじゃないですかね?」


「きっ貴様!それが貴様の本性か!3年間も世話になっておきながら何て言い草だ!」


 宰相令息がなんか言っている。


「3年間も拉致監禁して働かせておいて世話もくそもないでしょうに。“訓練”の助けにはなりましたからそこは感謝しておりますけどね。まあそういうわけで私は出ていきます。私は元の世界では旅行ガイドだったんですよ。こんなところに缶詰めなんてまっぴらごめんです。」


 この世界では16歳だがもとの世界では28歳。仕事も恋も充実していたのに無理やり連れてこられたのだ。そりゃ恨みもするし自立できる力が付いたら誘拐犯に協力などまっぴらごめんだ。


「この国のために精一杯頑張るといっていた君はどこへ行ったんだい?」


 公爵令息が説得に来ました。


「確かにこの国と民のために頑張りますって言いましたね。あれは嘘です。」


 あんな状況下で、正直者である必要はありません。


「くそっ。むざむざ出て行かせると思っているのか。取り押さえろ!」


 そう言って王太子が衛兵を呼びました。

 ついにやっちゃいましたか・・・・。ではこちらも実力行使と行きましょう。


「アイテムボックス・収納!」


「え?」


 なんということでしょう。そこにはすっぽんぽんの男が5人出来上がったではありませんか!裸の王子様完成!ご令嬢方は、好きにお持ち帰りしてよろしいのよ?


 慌てて股間を押さえる5人組。周囲の女性は顔を赤くして顔を手で押さえながら指の間から覗いていますね。


「慰謝料代わりにもらっていきますね。服の生地や宝飾品の材料はよさそうですから多少のお金にはなるでしょう。」


 転移時に神からもらった三つのスキル。言語理解・聖女スキル・そしてアイテムボックス。異世界物の基本ですね。アイテムボックスは認識しているものしか収納できませんが。


「衛兵!えいへーい!」


 衛生兵みたいに呼んでますね。


「殿下!」


 衛兵がこちらにやってきますが、来る端からマッパにしていきます。素手で私の結界は壊せませんからね。それぞれの財布もゲット出来ていい感じ。


「こうなれば多少傷つけても構わん!遠距離攻撃で弱らせろ!」


 王太子が股間に手を当てながら叫んでも説得力がありませんね。


 魔術兵団が近づいてきました。アイテムボックスの射程は3mほどですからこちらからも近づき、結界で防ぎながらローブと靴以外を収納していきます。


「何か思ったよりも変質者っぽいのが出来上がりましたね。」


 フルチンの上にローブ一枚。お巡りさんこいつらです。


「うおおおお!何てことをするんだ!」


 魔術師たちはローブを体に巻き付け見えないように頑張っています。裸マントならぬ裸ローブなので少しはましですが、この機会に怪しいプレイにはまらないといいですね。


 さて魔法の発動体である杖なども収納してしまえば魔術師なんて案山子です。無力化したといっていいでしょう。


 魔術兵団の相手をしている間に近衛騎士もやってきました。ついでにメイドに服を持ってこさせています。遠距離攻撃もなくなったので結界を解いて少し煽ってやりますか。


「王太子殿下は近衛騎士団の後ろにお隠れになって随分と情けない格好ですね。尻丸出しですよ。」


「何だと!」


 適当に拝借した扇で口元を覆いながら追撃します。


「そんなに私が怖いんですか?怖いんでしょう。そんなに前も縮こまらせて情けないとは思わないんですか?」


「てっ、てめぇなんざ怖かねぇ。」


 見栄を張っています。あと一押しですね。


「来いよ王太子!粗チンなんて隠してないでかかってこい!」


「てめえぶっ殺してやああああるうう!」


 とうとう両手を広げて突進してきました。粗びきホ〇ークヒ〇ッツが丸見えです。


「「「「きゃあああああああああああ!」」」」


 女性陣の悲鳴が上がります。とりあえず裸で婦女子に襲い掛かる変質者のレッテルは張り付いて剥がれないんじゃないかな?


 私は足をかけて転がすと、電撃魔法を見舞います。


「あばばばばばば」


 その後すべてお毛毛を収納しました。すぐ放出しましたが・・・・。じっくり観察しなければならないのがアイテムボックススキルの玉に瑕なところです。いえ玉に瑕はつけてませんが・・・。


「これでつるつる王子の出来上がりですね。これからは心も体も頭もお玉も輝くような人生を送れることを祈っておくわ。」


 毛根ごと収納したので当分生えないんじゃないかな?


 もちろん怪しいお毛毛はすぐに取り出して捨てておきますよ。直接手で触れなくていいって素晴らしい。


 ちなみに残り4人もつるつる。むしり取るように抜くべし!抜くべし!


 髪まで含めて全身脱毛コース。しかも初回特典無料。我ながらサービスしすぎじゃないかな?エステ代と美容室の代金を請求したいわ。


 近衛騎士団は戦意喪失。近づけば武器は収納。結界を破壊できない以上勝ち目ないしね。




 *




「聖女よ。待つのだ!」


 さて行くかと思っていたところに、ここで国王夫妻登場ですか。


「悪の親玉の登場ですか。」


「悪の親玉はないだろう。そなたをこの世界に呼んだのはすまなかった。謝罪する。しかしこちらも窮余の策であったのだ。そなたにはできる限りの便宜を図るからどうかこれからもこの国を助けてほしい。」


 そう言って頭を下げます。


「嫌です。」


「何だと!」


「だから嫌です。耳まで遠くなったんですか?それとも老人性痴ほう症?」


 にっこり笑って答えます。


「誘拐なんてやらかす国が一度逆らったものを放置するとも思えませんしね。『信用しろ』なんて土台無理な話。そうそう向こうの世界では頑張って働いて1000万ほど貯金があったんですがそれもパァになりました。慰謝料も込めて出ていく前に国王にざまあしようと思っていたんです。」


 そう言って近づくと


「来るな!来るんじゃない!」


 まあでっぷりした体では走って逃げることもできないでしょう。


「収納!いや~王冠とかっていい値段になりそうよね。宝石とかばらして売ってもいいし儲かったわ。しかしこれが裸の王様ってやつね。伝説になるかしら?」


 そう言って喜んでいる私の前に腹の出たマッパの中年オヤジが転がっていた。王家の男性はみなイケメンといわれていますが20年経てばこんなものよね。頭は頭頂部だけでいいかな?ついでに尻の毛まで抜いておきますか。悪女の定番ですしね。当然すぐ放出しますが・・・。


 となりの王妃を見ると冷めた目で国王を見下ろしていた。公爵令嬢も様子を見に来ている。


「公爵令嬢さんもごめんなさい。未来の旦那を玉までつるつるにしてしまったわ。」


 そう言って気遣うと


「いえいえ私は婚約破棄されてますから今は元婚約者。モーマンタイです。むしろあちらが変態いえ傷物、社会的に死んだので私は傷なし。兄も廃嫡でしょうから私は次期女公爵です。婿探しにいそしみますわ。」


 そう言って笑顔の公爵令嬢。


「旦那がこれで、未来の嫁に逃げられ、息子は廃嫡。今日はとんだ厄日ですわね。でも身から出た錆かしら?」


 王妃はまともな人なのでこの国は私がいなくても何とかなるでしょう。結局のところこの国の首脳部は聖女の拉致という安易な方法で楽がしたかっただけなのだ。私が付き合ういわれはない。


「では私はこの辺で。今後出会うことがありましたらよろしくお願いしますね。聖女召喚は50年に一回しかできないそうですが、頑張ってください。それとも邪魔してみます?」


 そう言うと皆が一斉に首を横に振った。女近衛騎士とか近寄っても来ない。


 こうして私は無事に国を脱出した。収納した宝飾品や武器や服の類は売りに出したら結構いい値段になった。当面食うには困らないだろう。





 ちなみに後日聞いた話ではあの日のことは王国のマッパ祭りとして祝日になったらしい。猥褻物陳列罪とかあったからその赦免という意味があるらしい。王様も王子様もマッパじゃ仕方ないね。刑事罰はないけど社会的には虐殺に近いかもね。でもまあエイプリルフールみたいに世界に広がるといいんじゃないかな?


 あと会場周辺の部屋の隅にいろんなお毛毛が散乱していたらしい。お掃除のメイドさんごめんなさい。


 とりあえずこれで私は自由の身だ。ハッピーエンドといえるんじゃないかな?


 本日の収入

 王冠:評価額20億イエーン

 魔法兵団装備;20人分中古買取単価魔法杖50万イエーン、その他装備品10万イエーン

 合計1200万イエーン。

 王子他所持品:900万イエーン。

 その他:50万イエーン


CVイメージ:玄〇哲章

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[一言] 聖女「お前は死なないと言ったな」 毛根「そ、そうだ聖女様、た、助けて」 聖女「あれは嘘だ」 毛根「うわー」 毛が生え替わるのは毛根が残っているからで、毛根が完全に無くなると毛が生えて来なく…
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