2.砂漠の国へ
は~るばる来たぜ!国境線。ちなみに鮭茶漬けはおいていないよ。
例のマッパ王国を抜け出した後、てくてくと10日かけて国を脱出しようと頑張ってきました。まあてくてくといっても途中で乗合馬車とか使いましたがなにか?
チートをいくつか持っているとはいえ騎乗スキルや乗馬術なんてないし、護身術程度の多少の体術と殺傷力の弱い魔法以外は攻撃手段もない。だから何でもできるってわけでは決してない。いろいろと不便はあるのだ。
あと私の結界は悪意のある者は防いでくれるけど、ないものは防げない。
具体的に言うと私を狙った罠は防げるけど不特定多数を想定した罠は防げない。まあ防御魔法も併用しているから余程のことがなければ致命傷や即死というのは考えにくいけどね。そんなことでダンジョンなんかには向いていない。
パーティーメンバーとしては有用なんだろうけど、お金もあるし、冒険者として活動するなどの無理をする必要も感じないしね。
マッパ王国の周囲には北に雪国、東は海、西は砂漠の国で南は温暖な南国。今は冬から春になろうかという気候だし、空調とかはある程度魔法で何とかなるけど雪中行軍なんて八甲田山みたいなことは勘弁してもらいたいので北はなし。東は海で、海を渡ると島国がいくつかあるらしいけど、船酔いする私はそれも無し。大型フェリーとかでも酔うのに中型の帆船で外洋なんてありえない。ということで南が西なんだけど南は2か国くらいで海にぶち当たるらしい。できればマッパからは早めにある程度離れたいので結局選択肢は西になる。
でなんでこんな説明をしているのかといえば半分は現実逃避。いえね。出たんですよ、奥さん。浅黒くてキラキラ、カサカサした例の奴が!
「誰がカサカサした例の奴だ。」
「あっ!声に出ていましたか。」
「聞こえるように言っておいて何を言う。だいたい奴を表現するのなら黒くてテカテ「細かい説明は結構です。」」
乙女を前にして、Gの説明とか気遣いが足りないんじゃないでしょうか?
「ん?そうか。」
「これだから量産型俺様王子は・・・・」
そう国境線で待っていたのはターバンかぶった砂漠の国の王子様とそのしもべ。王子を捨てると別の王子と遭遇するとか一匹見れば十匹はとか言われるけどまさか本当に遭遇するとは・・・。まさしくラヒ〇ュタは本当にあったんだという気分。登場人物の半分くらいが王子様とかもよく見かけるし、石を投げれば王子に当たるというのもあながち嘘ではなさそう。
「貴様!先ほどから失礼にもほどがあるだろうが。これから伴侶になるものに対する心構えがなっていないぞ。」
「誰が伴侶ですか。何を勝手に決めているんですか?というかあなたなんて御免です。」
そういうとさも不思議な顔をしている王子様。
「お前は隣国のコルセットが嫌で飛び出したのだろう。この国にはそんな風習はないからな。イケメンの俺が娶ってやるのに障害は何もないだろう。もちろん生活の面倒はすべて見るしそれなりにぜいたくな暮らしをさせてやるぞ。この俺の妃になれるのだ。こんなにうれしいことはないとむせび泣くがよい。」
俺様王子は嫌いだ。図々しいから・・・。というか何故上から目線?
「確かにコルセットは嫌でしたがコルセットだけが嫌で逃げだしたわけではありませんよ。というかあなたに囲われなくてもこっちは経済的に困っていないうえに自活できるスキルもあるのに、なんでわざわざ囲われて不自由な思いをしなければならないんですか?」
マンモスお世話もいいところだ。
「聖女の結界と伝説によると聖女は大地の恵みを増やし、水を齎すとされている。それだけやってくれれば後はある程度自由にしてくれて構わない。好条件だと思うのだが?」
「何が好条件ですか。そちらの利益だけで私にメリットが一つもないじゃないですか。」
ある程度の自由だとか贅沢だといっていますが、事実上の軟禁宣言です。聖女の結界は本人中心ですから、旅に出たりすれば効果もなくなります。引きこもりのインドア派ならそれもありかもしれませんが、私はアウトドア派ですし、おいしいものを探したりもしたい。現状で一つ所にとどまる選択などない。
「では仕方ないな。この国にある物はすべからく王家の物。それは人も変わらない。そなたを拘束してゆっくりと説得することにしよう。」
結局こうなります。人権とかの概念もないので仕方ないかもしれませんが・・・。
「私はこの国の臣民でもありませんし、あなたの自由にされる覚えはありません。常識的な通行料ならお支払いしますが?」
「そんなはした金のために王子自ら出向いてくると思っているのか?」
思ってませんけどね。ただもう少し交渉はしてみましょう。
「前の世界には囲繞地通行権というものがありましてね。望まぬ誘拐を受けて召喚されたわけですから自由に通行させてもらってもばちは当たらないと思うんですが。」
「召喚は我々の責任ではないし、この国の法は我々が決めるのだ。お前は不法入国者になったのだから我々の指示に従う必要がある。常識であろう。」
これは完全に交渉決裂ですね。というか向こうに話し合う気がありませんね。私は頑張った。反撃しても正当防衛が成り立つだろう。まあ私の中の気持ちの問題だけれども。
権力の根源というのは、所詮は暴力です。法や常識が権力によりもたらされるのであれば力なき法も常識も無意味。逆に言えばそんなものは力によって打破されるもの。あとは高町式交渉術あるのみ。ただ常識を問うというのなら私を拘束できる根拠があるのか聞いてみたいところです。
「では仕方ありません。」
そういって結界を張り戦闘態勢を整えます。
「ほう!それが聖女の結界か!初めて見るな。」
それはそうでしょう。前回の聖女ははるか西の国に召喚されたようですし、聖女は同時代に一人、50年に一度しか召喚されないようですからね。いろいろな伝承は残っているでしょうが初見で何とかできるものですかね。
「しかし、わが国には結界すら切り裂くという伝説の聖剣が伝わっている。攻撃手段の乏しい聖女が俺にかなうはずもない。大人しく投降するのだな。」
そういって聖剣とやらを抜く王子。なるほどそれが奥の手ですか。
「収納!」
「え?」
そこには手ぶらの王子がいた。いや前を押さえているのでマッパの前張り王子がいた。
「いや~王子があほで助かったわ。というか今回もいい金になりそうでありがたいわ。」
聖剣とみぐるみ一式収納したので大変満足である。
「きっ貴様!返せ!それは国の宝だぞ。この盗っ人が!」
「襲い掛かってきておいて何を言うかな。」
「くっ。者ども取り押さえろ!」
王子がおつきの人に命令しますが、こっちは戦利品が増える一方です。いや~ぼろ儲けで笑いが止まりませんな。あらかたマッパにした後でそろそろきめのセリフと行きましょう。
「国へ帰るんだな。お前にも家族がいるだろう!」
「ここは俺の国だよ!くっ。おのれぇこのままでは済まさんぞ!」
そういって量産型俺様王子が向かってきます。
「ぶっとべ!」
結界の範囲を拡大した先にはサイドワインダーと一緒にヘリに突っ込んだように吹っ飛んだモヒカン刈りの王子一行がいた。
側頭部には遺伝という文字の形で髪を残しあとつるつる。
ちなみに前回のマッパ王国の経験で、闇魔法で成長阻害ができることに気が付いたんですよ。
なので疑似永久脱毛。ベッ〇ムみたいにソフトモヒカンでお洒落さんになられても困りますからね。
光魔法は成長促進ができるので、見事なとさかの出来上がり。卍〇先輩もびっくりです。ブーメランでも仕込めばいいんじゃないかな?
いや~良い仕事したなぁ。
量産型俺様王子もプリカスデザートタイプくらいにはクラスチェンジができたと思います。
「早く町まで戻らないと水も服も無しではなかなかしんどいことになると思いますよ。この辺りは魔物の出現もあるみたいですし・・・。頑張ってたどり着いてくださいね。」
あとはとげとげショルダーでもつければ立派なヒャッハーさんになれるのでは?雑魚とは違うのだよ!雑魚とは!ってかんじです。
「そんなところで寝ていると砂漠の魔物に食われますよ。」
そういって気絶している連中にアイテムボックスから水を出してぶっかけて気付けしたあと、私は静かにその場を立ち去るのであった。
これ以上かかわっても面倒なだけですからね。
さて私も町を目指しますか?
本日の収入
聖剣:評価額100億イエーン
その他所持品500万イエーン
CVイメージ:玄〇哲章




