25 勇者の苦難 ※勇者視点です。
勇者視点です。
俺は勇者ササキ。
勇者だから他のものとは違う『力』を持っている。
誰かが叶えようとして、できなかった事を実現できる力がある。
この剣と共に、幾つもの事柄を解決していった。
今回の魔王軍殲滅パーティは、俺と女三人だ。
俺、勇者Lv600。女達は、魔法使いLv250、賢者Lv340、戦士Lv270だ。
ドルフォース王国一番の精鋭らしい。
特に賢者はLv340と飛びぬけている。
その賢者、実は国王の第二王女だ。
国王に押し付けられたとはいえ、この国一番の魔法使いだ。
俺は、こいつらをなんとも思っていない。
それは、俺がこの者達を、魔王軍を倒す為の道具だと思ってるからだ。
魔法使いと戦士が、賢者を盛り上げる。
「流石でございますわ!」
そして女賢者が、俺を褒める。
俺は、女子会に似た感じを好まない。
嫌気がさす。
精鋭に選ばれる前も、魔法使いと戦士は賢者の護衛らしい。
いくら精鋭と選ばれて、こうも同じ場所に高レベルが集中しているとどうもきな臭い。
他所から見たら、賢者は俺にぞっこんの様に感じる。
何か下心が見え隠れする。
立場的に、この国の第二王女と言うのがあるような気がする。
聞きたくないし、知りたくもない。
この先、思いやられる気持ちを整理しようと、憂さ晴らしに俺は剣を振って気分転換がしたくなった。
女共に言い訳をして、隠れて街の外に出た。
さて……剣が振れるような場所を探して辺りを見てみる。
そうしたら、珍しい蝶が飛んでいた。
「見た事無い蝶だな、俺の記憶にはないな」
蝶に対する好奇心が勝ち、俺は蝶を追っかけていきます。
すると人影が見えます。
そう思っていたら、お嬢さんと少女が、モンスターに襲われそうになっているではないか!?
(それ以上はいけない!)
俺はそう思った同時に、物凄い速度で駆け出した。
「待てぇー! ザザザ! 勇者ササキ参上! 美しいお嬢さん方! 私が必ず貴女達を、守って見せます!!」
俺はお嬢さん達に言った後、同時に驚いた。
「何故ここに……魔王軍四天王の、オーガマスターがいるんだ!?」
俺は叫びます。
(何故!? ここに四天王の一人オーガマスター(Lv400)がいるのだ……!? まぁいい、どっちにしろ魔王軍討伐に行く手間が省けたもんだ)
俺はそう思い攻撃を始めます。
始めは俺が優勢だったがオーガマスターが不利だと悟ると、スキル『狂人化』を惜しげもなく使った。
(目の色が変わった……! スキル狂人化……? あれは理性を失う代わりに、攻撃ステータスを3倍程に、跳ね上げるスキルか!?)
勇者側の優勢が、一気に劣勢に変わります。
物理攻撃型の俺とは、力と力のぶつかり合いで相性が悪い。
(くそ……あれを使うか……)
「勇者スキル……英雄化ッ……!!!」
俺は少し悩んだ後、スキルを唱えます。
(勇者スキルで、全ステータスを2倍に跳ね上げる!! これで!!)
俺はオーガマスターに再度、攻撃を仕掛ける。
ステータスを上げた勇者とオーガマスターの戦いは、ほぼ互角と言った状態です。
これは長くなる戦いになるかもしれない……そう思っていた。
しかしその時、先ほど追いかけていた蝶が目に留まってしまった。
「しまっ……!」
俺は強烈なスタン攻撃を食らってしまい、吹っ飛ぶような形で倒れます。
意識があるが、体の痺れで思うように身体が動かない。
気合で、オーガマスターに視線を送ります。
目の前の敵を見失い辺りを見渡すオーガマスターは、動いてる少女に目を付け、一目散に攻撃を加えようとします。
己の不注意とは言え、俺の振っていた剣は一体何だったのか。
俺が何度も解決してきた力で、オーガマスターを止めることができなかった。
(少女を助けれなかった)
そう思った時……目を疑った。
「カチン……」という、剣を鞘にしまう音がします。
オーガマスター「!?」
気づいた時にはもう手遅れ。
ドサドサ……という音と共にオーガマスターの肉片が地面に落ちます。
あのお嬢さんがなんと、俺が苦戦していたオーガマスターを、目にも止まらぬ速さでみじん切りにしたのだ。
その場に落ちた肉片をなんでもないものを見るような目で、お嬢さん方はその場を離れようとします。
なんなんだ……今の剣技は!? 思うように動けない身体で、俺は直ぐに決断し叫びます。
「貴女の、剣の腕に感服いたしました!! どうぞ私目を、弟子にして下さい!! お願いします!! なんでもしますから!!」
俺はお嬢さんに向けて叫びます。
しかしお嬢さんは興味無いと、少女を連れてその場を離れようとします。
「私の名はササキ! せめて! お名前だけでも!!」
お嬢さんはそれに答えようとする気配を見せず、歩みを止めない。
「あの人名前聞いてるよ~?」
少女がお嬢さんに、声を掛けています。
その言葉を聞いて、お嬢さんは歩みを止めます。
「私はアキラ様に『ヴァル』と呼ばれている」
お嬢さんは俺にそう言った。
『ヴァル』と名乗るお嬢さんは、少女と共に街に歩みを進める。
「ヴァル……ヴァル……」
何度もその言葉を、俺は繰り返し、意識を失うのだった。
ストック無いです。




