プロローグ
初投稿となります。
暇潰し程度の作品ではありますが、読んで頂ければ幸いです。
俺の名前は花木啓志。世間一般からは不良のレッテルを貼られている。
こんなフレーズをどこかで聞いたことがあるかもしれないが、多分それは気のせいだろう。
しかし、不良と言っても人様から兎や角言われるような問題児ではないと俺は自負している。
ただ少し、ほんの少し人より学校へ登校するのが遅く、授業中に居眠りしてしまい、昼休みが終わる頃には学校を抜け出す。そして少し気の荒いお友達に絡まれるせいで殴り合いをしてしまい、定期的に警察の方々の御世話になることが多いというくらいだ。
そんな俺がどうしてこんな場所で目を覚ますに至ったか。
俺の記憶の整理も兼ねて、一度記憶を遡ってみようと思う。
その日、俺はいつものように愛すべき母校へ、いつものように人より少し遅れて登校してた。
教室のドアを開ければ、一限が終わったあとの休み時間で教室は賑わっていた。
「おう、花木!今日も社長出勤だな。」
そう声をかけてくるクラスメイト。
俺がこの時間に来るのはいつもの事であり、それに文句を言う奴は誰もいない。
「うるせーよ。放っとけ。」
そう答えて俺は席へと向かう。俺は周囲から不良と認識されている割には、クラスメイトとは仲良くやれているらしい。
俺の席は教室の左隅。窓際の一番後ろ。睡眠も早弁も自由自在の特等席だ。
席に着くと、ぐるりと教室を見回してみる。
教室はいつもと変わらない騒がしさを感じられたが、その騒がしい教室に似合わない表情をした一人の生徒が目に入る。
(あいつは確か佐々木だったか?いつもはうるさいくらいに元気なのに、今日は元気無さそうだな。ちょっと声かけてみるか。)
そう思い俺は席を立つ。そして佐々木の元へと歩み寄る。
「どうしたんだよ今日は、暗い顔なんかして。俺でよければ話くらい聞くぜ。」
「あ、花木君…。じ、実は昨日西高の奴らにお金を取られちゃって…。」
そう言って顔を下げる。その肩は少し震えていて、まるで自分の事を不甲斐ないと思い恥じているようだった。
目の前の男子生徒の肩をぽんぽんと軽く叩き、顔を上げさせると啓志は言った。
「俺が取り返してやるよ。安心してなって。」
俺はそう言うと男子生徒から詳しい話を聞き始めた。
数分後。俺は学校を飛び出していた。男子生徒によると、金を巻き上げていった生徒は三人組。一人は金髪のロングヘアー、一人は坊主頭、一人は今の時代滅多にお目にかかる事のできないリーゼント。彼らはよくゲームセンターに集まっているらしい。
この周辺にゲームセンターは三つ。俺はシラミつぶしに三人組を探して回った。
一時間後。最後の一件でようやく見つけた。
「あいつらか…。」
UFOキャッチャーのコーナーで歩いている三人組。話に聞いた特徴と一致している。
走り回ったせいで荒くなった呼吸を整えながらゆっくりと近づく。呼吸が落ち着いてきたところで声を掛ける。
「おい。」
声を掛けられたことで立ち止まり、三人組が振り返った瞬間。
ボゴッという音を立てながら、俺の右ストレートが一番手前の坊主頭の男の右頬に叩き込まれていた。
「うぉ?!」
そう叫びながら男はそのまま床に倒れる。
「なんだテメェ!」
「いきなり何しやがんだ?!」
そう言って残りの二人が俺に近づいてくる。
「何って、よく言うだろ、先手必勝ってな!」
そう言って俺は不敵な笑みを零した。
三人組から金を回収し、学校へ戻る頃には帰りのHRが終わる時刻になっていた。
「結局、今日授業受けてねーな…。」
と独り言を漏らしながら教室へ向かい、男子生徒へ回収した金を渡す。お礼と言って回収した金の何割かを手渡そうとしてくる男子生徒にひらひら手を振っていらないと促すと、そそくさと学校を後にする。
家へと帰る途中、俺はふと考える。今日も自分は誰かの役に立てたのだろうかと。
だからなのだろう。自身を呼び止める声に気がつかなかった。気づいていれば俺の運命は変わっていたのかもしれない。
結果俺は死んだ。
金を回収するため、彼が殴った三人組の一人に背後からナイフで刺されて。
これが俺、花木啓志のこの世界での最後の記憶である。




