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サラリーマンの異世界奮闘記(仮)  作者: アリス工房(仮)
53/72

52.出発の時

いつもお世話になりますアリス工房(仮)です

新たな仲間と言うか………ちゃっかり冒険者登録まで済ませていた天使ルルベルを取り敢えず歓迎の意味も込めてホッペタうにょんの刑にした後、町へ戻ることにした。ユーリも魔力拳と銘々した必殺技が出来た事だし意気揚々と我らのアジトへ帰宅する。


「ただいま~」


それぞれが挨拶する中、今日の店番ミシェルさんが間延びした挨拶とともに中へ向かい入れてくれる。

「お帰りなさ~い。特訓の成果はどうだったの?」


「ミシェルさんただいまです。皆さん聞いてください………ついに必殺技を会得しました」

ドヤ顔全開のユーリちゃん。


「………本当?………ユーリお姉ちゃん凄い!」

声を聞きつけたうさぎっ娘がトテトテ愛くるしく駆け寄って来る。


「私は必殺技を会得したのです!」

両手を広げ高らかに宣言するお子さまは二回も同じ事を言う程嬉しかったのだろう。


「あらあら、それは素晴らしい事だわ。今日はお祝いしないといけないわね〜」


皆に喜ばれニコニコのお子さまはご機嫌だ。


「あっ、そう言えばミランダさんも人が悪いです」


唐突に言われきょとんとするおねいさん。

「どうしたのナツメ君?顔が怖いわよ」


「こいつの事です」

るるえもんの襟首を掴みおねいさんの前に差し出す。ピーピー何やら言っているが無視しておこう。


「何だ、もうバレちゃったの。せっかく驚かせようとしたのに…………残念だわ」


「あそこでご機嫌なお子さまがポロっと口を滑らせてましたよ」

ユーリを指さしながら答える。


「やっぱりユーリちゃんは隠し事が苦手の様ね」


「あの~ナツメ様。そろそろわたくしを解放しては頂けないでしょうか?」


「おい、るるえもん!その様付け何とかならないか?俺たちは仲間になったのだからもう少し呼び方があるだろう」


「はあ、ですがこればかりは私の癖の様な物ですし………」


「そうだ!こうしよう。これから様付けで呼んだらホッペタうにょんの刑な」


「はっ、それは困りますナツメさ……さん」

ホッペタを防衛しながら危うく間違えそうになりながら何とか答える。


「よろしい!皆もそれでいきましょう」


この場にいる全員が了承しルルベルは仕方なく受け入れるのであった。


三姉妹が夕食の後片付けをしている間、俺たち冒険者チームは今後の予定を決めるべく話のレベル合わせと方針を意見交換した。


「……と言うわけで今後はエルフ国を目指します。マリンさんの話によれば、ゲートと呼ばれる国境を越えなければならない事と、それに伴い提出する書類もあるのですがその辺は、今日ギルドでお願いしたので大丈夫です」


「はいっ!ナツメさ……さん」


「何だるるえもん。質問か?」


「王都に近い場所と、国境近くの町の側に転移の祠がありますのでそれを使用すれば時間短縮になると思います」


この大陸には転移の祠が何箇所かあり祠同士は繋がっている。ただし、祠の周囲には結界が張られていて普通に探しても先ず見つからない。解除コードは天界人のルルベルしか使えないらしい。


「ほう、それは良い事を聞いた。たまには役に立つな」

頭を撫でてあげると嬉しそうにする天使さん。


「あーっ!ズルいです。私も誉められたいのです」

仕方がないので意味もなくお子さまの頭を撫でてあげる。………娘には甘々な保護者だと自覚する。


「こほん!」

「あーそれでは、先ずはその転移魔法陣がある祠を目指そう。案内役はルルベルに任せる」


「お任せください」


「転移魔法陣で国境付近の町へ移動した後は国境を越える為の馬車に乗り込みエルフ国へ入国する。その後は向こうの町にあるギルドへ赴き商売登録を済ませる」


皆が一様に頷くのを確認したのを見てから更に話を続ける。

「向こうである程度拠点となる場所を確保出来たら各で情報を集める。動き出すのはその後にしよう」


「拠点は国境付近の町にするの?」


「いえ、出来れば王都に拠点を構えたいですね。それだけ城に近ければ情報も集めやすいと思います」


「王都に行けばおいしい食べ物は沢山ありますか?」

一人だけ観光気分のユーリちゃん。


「そうだな、ユーリが頑張って働いてくれたらおいしい物を沢山食べに行けるぞ」


その一言に眼を輝かせながらコクコク頷く食いしん坊。


「じゃあ私も頑張って働くからおいしいお酒が飲みたいわ」


「もう、ミランダさんまで………遊びに行く訳じゃないのですよ」


「ぶー、私もお酒が飲みたいわ」

駄々こねまくりのおねいさん(二十六歳)


「分かりましたから拗ねないで下さい」


「フフフ、ありがと」

なんか、カラカわれている気がする。


そんなやり取りをニコニコしながら見つめる天使さん。

「皆さん相変わらず仲が良いのですね」


「ルルベルさんも町へ着いたらおいしい物を食べましょう」


「そうですね。ナツメさ……さんに奢って頂きましょう」


後半はかなり話が脱線したが大まかなプランは立てられた。明日以降は出発前の準備と買い出しをする事で話は収束し夜も遅くなったので就寝するのであった。




三姉妹は仕事に追われ、俺たちは準備やら特訓やらしているとあっという間に一週間が経過した!



店も軌道に乗り始め三姉妹は順調に商売をこなしている。アリエッタちゃんの特訓も如何にか形になり始め、今では火属性の魔法(初級)も使える様になった。



準備が整ったと連絡を受けた俺は、商業ギルドに赴きマリンさんを訪ねた。他のメンバーは買い出しに出掛けている。正直、女子三人の買い物に付き合ったら俺の精神がすり減ってしまう。


「お待ちして降りました。どうぞこちらへ」


いつもの会議室へ促され席に着くと話し始める。


「入国に関する手続きと書類は概ね完了しました。今回はこの町の名産品であるポッポ豆の輸入と言う事での入国手続きを致しましたので荷物になるでしょうが豆の輸送をお願いします」


ポッポ豆とは大豆に似た穀物でメレディス町の名産品になっている。エルフ国への輸入も盛んに取り引きされていてこの町の資源として有能な穀物の様だ。


「ありがとうございます。豆の輸送はアイテムウインドがあるので問題ないですよかなりの量は運べますので大丈夫です」


「それはありがたいのですが、収納魔法について入国審査で疑われる可能性があります。出来れば入国時は普通に運んだ方が良いですね」


「それもそうですね。何もない空間からいきなり輸入品を取り出したら疑われますね」


「輸送用の台車は準備出来ますが移動させる為の馬が生憎不足しているのですが………」


「その辺は問題無いです。一応アテもありますし、台車だけでも準備して頂ければ問題ないです」


「そう言って頂けると助かります。それから向こうのギルドには私から連絡しておきましたので何かありましたら何時でも通信システムでお呼び下さい」


「何から何まですみません。本当にありがとうございます」


「向こうへ行っても無茶だけはしないで下さい。これはギルド長の立場ではなく一人の友人としてのお願いです」


マリンさんと堅い握手を交わし決して無理をしないと約束させられた。本当にこの猫耳さんと出会えた事に感謝したい。



夕刻になり買い出しに出掛けていた面々も満足の行く買い物が出来たのか終始ご満悦な表情でご帰宅されている。


「良い買い物が出来ました」

両手に食べかけの串を持ちながらのお子さまはニコニコ顔だ。


「………ユーリお姉ちゃんおかえりなさい」


「アリエッタちゃんただいまです。お土産もありますので、後で一緒に食べましょう」


「…………」

コクコク頷くうさぎっ娘。


出発を明日に控えた本日の夕飯はささやかながらの激励会が催される為、三姉妹は準備に明け暮れている。後ほどマリンさんも合流して盛大に行われるらしい。



三姉妹が主催の激励会の開催である。皆がそれぞれに持ったコップを片手に飲めや歌への大盛り上がりを見せる。フードファイターユーリちゃんもその力を存分に発揮させ一人で鍋一杯のミネストローネ風リゾットを平らげていた。


おねいさん筆頭の飲み助チームもここぞとばかりにワインやらウイスキー等をちゃんぽん飲みしていらっしゃる。早々と戦線離脱したるるえもんは茹で蛸の様に真っ赤になりぐったりして横になっている。


俺はと言うと、ミシェルさんとおねいさんに挟まれながらマリンさんの愚痴を永遠と聞かされている。マリンさんって酔っぱらうとグチり酒になるのですね。


マリーさんは甲斐甲斐しくも空瓶の片づけやおつまみを作ったり、時には寝てしまったルルベルを寝室に運んだりと一人せっせと働いている。


アリエッタちゃんは最近漸く覚えられた火属性魔法が小さいながらも発動できたのが嬉しいらしく先輩魔女っ子ユーリちゃんにお披露目している。


「アリエッタちゃんはやれば出来る子なのです」

ニコニコしながら頭を撫でている。


「………ユーリお姉ちゃんありがと」


「ナツメ君も飲みなさいグラスが空だわ」

空いたグラスにドバドバお酒を注いでくる。


「わっ、そんなに飲めませんから……」


「だらしないですよ~……そんなんじゃ女子にモテませんよ~」

かなり出来上がっているミシェルさん。


「ねいさん飲み過ぎだ。ナツメも困っている」

慌てて止めに入るマリーさんだが、マリンさんにあっさり捕縛され経営理論という名の難しい話を永遠と聞かされる羽目になろうとは………合唱!


そんな激励会?は深夜遅くまで続き結局全員がその場で眠りに付くのであった。


翌朝!と言っても朝一に起きた面々は昨日のダメージから復活出来ず回復するまでにしばらくの時間が必要となった。昼前には何とか復活したそれぞれが出発の仕度をすませ重い足取りではあるが何とか覚醒させ町の入り口に歩を進める。


マリンさんだけはギルドに戻らなくては行けないので店の中でお別れを済ませ戻っていった。


俺は先にギルドへ赴きポッポ豆を台車ごと受け取るためにギルドに向かうことを仲間に伝え町の入り口で待ち合わせをする胸を伝えた。


「確かにお預かりします」


「宜しくお願いします。みなさんの旅の無事を心から祈ってます」


ポッポ豆を収納しマリンさんに別れを継げる。手を振りつつ別れを惜しむまもなく町の入り口に向かうと三姉妹と仲間の姿が見えてくる。


「お世話になりました。お店の事お願いします」


「任せてくれ。何かあったら連絡もするし、通信システムで打ち合わせも出来るから大丈夫だ」


「そうですね。今生の別れと言う訳でも無いですし気楽に構えましょう」


「必殺技の拾得!楽しみにしています」


「…………うん。私いっぱい頑張ってユーリお姉ちゃんみたいに強くなるね」


「その意気です。アリエッタちゃんは絶対に強くなれます!」

抱き合う二人のお子さま達にほのぼのさせられながらお互いが旅立ちの挨拶を済ませると俺たち仲間は町を出発するのであった。


町を出発して暫く歩いていると気丈に振る舞っていたお子さまが心配になり声を掛ける。

「今日は泣かなかったな。偉いぞユーリ!」

頭をグシグシ撫でてあげるとユーリちゃんは眼に涙を溜ながら答える。


「お姉ちゃんは妹の前では泣かないのです」


「偉いぞ!」

腰にしがみつくユーリを介抱しながら歩を進める。そんなユーリの姿を仲間も優しい笑顔で見つめている。



最初に目指すは国境付近の町ルーチェ!そこへ行くには転移魔法陣のある祠を探す必要がある。目的は決まっているが今後何が待ち受けているか解らない。正直不安もあるが、この頼もしい仲間達がいれば何とかなるのでは無いかと思えてくる。期待と不安に駆られるが、上手くやっていけそうな気がする。


大陸は本日も快晴に恵まれ俺たちの旅路を祝福してくれているかの様だ!











エルフ国を目指し出発するサラリーマン!果たして待ち受けるのは………!






皆様の暇つぶしに少しでもなれれば幸いです

それではまた次回

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