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魔王と元カノと異世界と  作者: 土佐牛乳


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 ケンジのギルドをあっさりと倒した俺たち、金をかっぱらいにきびタウンを旅立った。

 そして4日を馬車で過ごし、ついに魔王城へとたどり着いたのであった。



 魔王城。周りの土地は荒れ果てており、生物が生存できるような環境ではない。

 草木は枯れ果てて、莫大な敷地。周辺には、マグマが顔を見せているせいか、妙に温度が高い。

 そびえ立つ魔王城の前には、道も橋もなく、断崖絶壁だ。

 一歩下を覗くと、紅の大地、下に落ちてしまうと、生きては帰れないだろう。


 マリオのクッパ城も、リアルになるとこんな感じだろうか。

 そんなことを思いながら、アメリア達と魔王城への行き方を考えていた。


「空を飛べるのは私だけですか…… そうだ! 馬車を私が持ち上げながら城まで行きましょう」

 アメリアが提案をする。しかし、いくらアメリアが力持ちでも、そんなことはさせたくないなあ……


「アメリア↑、テレポートあるから別にいいのよ? 先にタスク↑を送り出してから様子を見るってのはどうよ?」


「俺はモルモットじゃねえんだぞ」

 といいつつも、俺はウォーキング・ザ・シュライン(寺の模型)を着た。


「そういうところ↓、潔くて何よりだわ」


「危険なところに、女の子二人を先に行かせるのは男としてはな…… それよりも早く来いよ」

 いくら物理攻撃が食らわないとはいえ、単独で突入するのも怖いなあ……

 ユウが地面に魔方陣を書いていく。


「はい↓、ここの上に立って息を止めて」

 言われるがままに魔方陣の上に乗り、息を止めた。

 ユウは続ける。


「意識を魔王城の入り口↑に」

 正面の魔王城を見つめる。

 すると意識が加速していく。


「テレ↑ポォオオオオオット!!!」

 ユウの独自の訛りとネイティブな訛りにより、必殺技を打っているような感じだ。

 もちろんそんな必殺技は、この世界にはどこにもありませんけどね。



 気づくと魔王城の前にいた。



「うおお、魔王城でけええええええ!!」

 凄まじい存在感を放ち、目の前に立つ魔王城。夢の国のお城の5倍ぐらいの大きさだ。

 城ではあるが、ところどころ禍々しいオーラが漂っている。


「よいしょっと、これはおっきいですね」

 アメリアとユウが来た。


「これ↑は、でかい」


 目の前には石垣の大きな扉があり、相当な力が必要だ。


「じゃあ扉壊しますね!」

 アメリアが拳を撫でながら言う。


「おし↓、ばっこり頼むよ」


 バコーン! と大型トラック同士が衝突したような音が響いた。


 アメリアの打擲で石の扉は壊れ、3人は魔王城の中へと入っていった。

 中は以外にも綺麗で、外国にありそうなお城の中って感じだ。

 正面には階段があり、周りには廊下へ続く仕切りが沢山あった。


「アメリア様、久方ぶりです」

 こちらの登場を待っていたように、階段の一番上で、一人の男性が階段に腰を掛けていた。

 顔はこちらを見るやいなや、にやけている。右手に等身サイズの黒の十字架を肩にかけている。

 服は白のスーツのようなものを着ており、外見から騎士ではないのかと思ってしまうほどだ。


「誰だ!?」

 魔王城、最初の敵か。この容姿を見て、相手は魔王直属の四天王と言ったところだろうか。


「四天王直属…… いや今は、マイ様に与えられた、堕四星だしせいと呼ぶべきでしょう。

堕四星、二番星。アルル・マルセイユ35歳。ちなみに彼女はいない童貞です」

 すっと右手の人差し指を、口に当てながら言う。

 妙にカッコつけているところが似合っており、とりあえず腹がたった。

 堕四星…… なんだその中二臭い位は…… 

 とりあえず四天王ということは当たりらしい。だがその風貌で童貞っていうのがちょっとおかしい。


「アルル…… 本当にアルルなのですか? なんと言うか…… 変わりましたね」


「ウチ↓、チャラ男とかマジ↑で無理」


「お前ケンジのこと好きだったじゃん、あれって普通にチャr」

 おっと、顔の前を凄まじい勢いで拳が飛んできたぞ。


「アメリア様、前の私よりも、強くなった私を見てほしい。私と決闘をしましょう」

 このニヤけヅラ…… 腹立つわあ……


「いいでしょう…… あなたを倒さない限り、魔王の元へはたどり着けないようですし。その決闘を受諾します」

 かつてアメリアの部下であった相手……

 アメリアは腰からエクスカリバーを抜いた。


「アメリア…… できればでいい、無理はしないでくれ」

 仕草については腹が立つが、間違いなく今までとは違い、相当に強い相手だと、ピシピシと伝わってくる。


「佑、これは私がどうしても倒さなければならない相手なのです…… 私とサシでやらせてください」

 アメリアから決意をしたような表情を感じ取れる。

 これは無理をしてでも倒さなければならない相手なのだろう……


「わかった、絶対に勝ってくれ、そして魔王を倒そう」

 アメリアの性格上、何を言っても無駄とは分かっていた。


「はい!」

 澄み渡った笑顔で答える彼女。

 アメリア…… 頑張ってくれ。



「ではいきましょう! アルル!」


「「勝負!!」」

 初動、アルルという男は燕のごとく、凄まじい脚力で上空へ飛んだ。

 上空で十字架を上に構え、落下のエネルギーと彼本来の力で、アメリアに等身大の十字架を叩きつける。

 アメリアはそれを避けもせず、エクスカリバーで迎え打った。

 アメリアの立っていた床は、衝撃に耐えきれず壊れていく。


「強くなりましたね…… アルル」

 凄まじい一撃によろけもせず、アメリアは間合を開けるため、アルルに蹴りを入れる。


「あなたこそ…… 僕の一撃を耐えるだなんて、流石はアメリア様だ」

 アルルは体制を立て直す。

 彼女の部下だったためか、尊敬の眼差しでアメリアを見ている。


「何このヤムチャ視点、ドラゴンボールじゃないんだぞ」


「確か↓に、何言ってんのか↑わからないけど、同じ感覚だわ」

 今までとは違い、全く別次元の戦闘が繰り広げていた。


「これはどうでしょうか?」

 アルルが腰を下ろし、両手を地面につけ、今にでも突進しそうな格好をとった。

 瞬間、凄まじいパワーで地面を蹴る。地面に足を着ける度にアルルは加速していく。

 アメリアの懐までくると、凄まじい速さで十字架を振った。


「くっ!」

 反応が遅れてしまったのか、情態を後ろに倒し、間一髪で避けるアメリア。

 バック転をして、体制を立て直した。

 わずかに掠っていたのか、へその上から服が切れている。


「はぁっ!」

 今度はアメリアが切りかかった。

 体の横から振り切られるエクスカリバー。

 振ると大きな風が吹き荒れるほど、力は強い。アルルはそれを十字架で身を塞いだ。

 威力が凄まじいのか、アルルは攻撃を受けた15メートルぐらい離れたところにいる。

 地面にはアルルの衝撃痕があり、どれほど攻撃が凄まじかったかわかる。


「流石の威力…… ではこれはどうでしょうか?」

 一瞬にして、アルルがアメリアに近づく。十字架をふりかかった。

 一撃、二撃、三撃。凄まじい速さでアメリアに攻撃を仕掛ける。

 アメリアは全ての攻撃を防ぐ。アメリアの右手首、左腕、肩。すばめのような剣撃に掠り傷が増えていく。

 アメリアは現状を打破すべく、右腕を狙う攻撃に、カウンターを仕掛けた。

 上手く決まったのか、アルルが吹っ飛んだ。

 しかし致命傷には至らず、十字架にカウンターの後のような砂煙。


「このままだと埒が明きませんね」

 苦笑気味にアメリアが言う。


「僕とアメリア様は、同じパワータイプですからね」

 アルルは笑みを漏らす。アメリアと戦えて本当に嬉しいらしい。


「抜き打ちといきましょう」


「同じことを考えていました」


 アメリアとアルルはお互いの武器をしまい構える。

 一気に決着を決めるらしい。

 お互いから隠しもしない殺気が溢れ出る。


「ッはあっ!!」


「うおおお!!」


 同時にお互いが動き出した。

 その瞬間、凄まじい爆風が両者から噴き出した。


「ぐはっ! さ、流石はアメリア様……」

 アルルの右肩から左の脇腹にかけて切られた跡があった。

 十字架を投げ、アルルは仰向けに倒れる。

 俺の気づかないうちに決着がついていた。


「そこの佑と言ったな…… どうかアメリア様を幸せにしてあげてくれ」

 アルルは俺にそう言い終わると、口から血を吐いた。

 それから満足そうな笑みを浮かべている。


「アルル……」

 アメリアは彼の横で腰を下ろした。 

 アルルはアメリアの顔を見るとこう言った。


「私は戦うアメリア様が大好きでした…… でも今は別のもの、いや人ができたのでしょう……

私は生まれ持っての特異体質。所詮は戦うしかできなかった人生。

そんな私のわがままに付き合わせてもらいありがとうございます…… 彼と幸せに」

 彼の体が結晶となっていく……

 やがて彼は、散り散りに大気中へと帰っていった。


 消える瞬間まで見ていたアメリア。

 下を向き、両手を握りしめ、立ち上がった。


「では佑、魔王を倒しに行きましょう」

 決意を改めたように、彼女の表情は澄み渡っていた。


「おう!」


「おっけい↓1」



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