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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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意味が分かると怖い話

 私は「意味が分かると怖い話」の熱狂的なコレクターです。

 ネット掲示板やSNS、古本屋で見つけた怪談集など、ありとあらゆる「不可解な話」を読み漁っては、その裏に隠された絶望的な真実を解き明かすのが至福の時間でした。


 ある日、ネットの深い階層にある匿名掲示板で、一つの書き込みを見つけました。


『今から、世界で一番短い「意味が分かると怖い話」を投稿します。ただし、この話には「解説」を付けません。意味が分かった人だけが私の仲間になれるのです』


 期待に胸を膨らませてページをスクロールすると、そこにはたった一行、こう書かれていました。


「あなたの家の鏡、昨日は右側に傷なんてなかったよね?」


 私は拍子抜けしました。


「なんだ、よくある怪談の使い回しか」


 私の部屋の洗面台にある鏡には、確かに小さな引っかき傷があります。でも、それは引っ越してきた当初からあったものです。昨日ついたものではありません。


「駄作だな」


 私はそう呟いてパソコンを閉じ、寝支度をするために洗面所へ向かいました。

 鏡の前に立ち、歯を磨きながら、さっきのつまらない話を思い出します。


「右側に傷……。フフ、左側にだって傷はないよ」


 私は鏡の表面を指でなぞりました。ツルリとした感触。

 そう。私の鏡には右側にも左側にも、傷なんて一つもありません。


 私は眠りにつきました。

 翌朝、目が覚めると枕元に一通の封筒が置かれていました。

 中には昨日の掲示板の書き込みをプリントアウトした紙が入っています。


 その紙の余白に、真っ赤なインクでこう書き足されていました。


『おめでとう。意味が分からなかった君は、まだ「こちら側」だね』

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