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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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白と黒

 最近、夜中にふと目を覚ますと、暗い廊下の突き当たりに「白い光のような人影」がぼんやりと浮かんでいることがありました。


 気味が悪くなった私は、大学で視覚心理学を専攻している友人に相談しました。すると彼は、事もなげにこう言いました。


「それは典型的な『負の残像』だよ。目の錯覚の一種さ」


「残像? でも、何も見てないよ」


「いや、無意識に何かを見ているはずだ。例えば、明るい部屋で『真っ黒なもの』をじっと見つめた後に、急に暗い場所を見ると、その形の通りに色が反転して白い残像が浮かび上がることがあるんだ。廊下に白い影が出るなら、その直前にリビングかどこかで、同じ形をした黒いものを見ていたんじゃないかな?」


 私はその説明に深く納得し、胸をなでおろしました。


「なるほど、そういえばリビングのドアの横に、黒いロングコートをかけたハンガーラックがあるわ。形もそっくりだし、寝る前にいつもそれを見ていたからだ」


「だろう? 脳が勝手に作り出した幻影だよ。幽霊なんていないさ」


 友人と笑い合い、私は安心して家に帰りました。

 その夜、また廊下に「白い人影」が浮かび上がりました。


(なんだ、やっぱりただの残像か。私の脳ってば、律儀だなぁ)


 私は可笑しくなって、その白い影をじっと見つめました。


「……あれ? でも、おかしいな」


 残像なら、私が首を振れば視界に合わせて一緒に動くはずなのに。

 その「白い影」は、私が顔を背けても、廊下の突き当たりにじっと留まったまま……。


 そして、ゆっくりとこちらへ向かって歩き出してきました。

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