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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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壁のシミ

 私は古いアパートに住んでいますが、最近の悩みは隣室のカップルの騒音です。


 毎晩のように激しい口論が聞こえてきます。どうやら、女性が浮気をしたか何かで揉めているらしい。

 たしかに、数週間前、彼女が彼氏とは別の見慣れない男性を部屋に連れ込んでいるのを見たことがあります。


 壁はそこそこ分厚いのですが音を通す素材のため、口論の内容まで鮮明に聞こえてきます。


「裏切り者!」


「出て行け!」


 聞いているだけで、こちらも気分が悪くなります。


 ところが、ある日を境に、突然ピタリと騒音がなくなりました。元の彼氏の姿を見なくなったので、二人は別れたのでしょう。


 静寂は心地よかったのですが、別の悩みが浮上しました。


 なぜか、隣室との境界になっている僕の部屋の壁に、妙なシミができ始めたのです。最初は薄かったのですが、日を追うごとに色が濃く、範囲も少しずつ広がり、壁紙を湿らせるような、気持ちの悪いシミでした。


 しばらくすると、今度は例の浮気相手だった男性が、女性の部屋に出入りするようになりました。どうやら、二人は正式に付き合い始めたようです。


 結果、またしても騒音問題に逆戻りです。


 最初は楽しそうな笑い声や話し声が聞こえていましたが、それも長くは続きませんでした。

 数週間後には、またしても激しい口論が聞こえてくるようになりました。


 そして、またある日を境に、浮気相手の男の姿も見なくなりました。


 やっと静かになったと安堵しましたが、壁のシミの悩みは解消されません。それどころか、以前あったシミのすぐ横に、また一つ、新しいシミができ始めたのです。


 私は壁に触れてみました。シミの部分だけが、わずかに冷たく、そして柔らかいような気がしました。


 私は壁に手を当てたまま、思うようにはいかないものだと思いました。

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