67話 子供たちとの食事
食事を始めてから私はフェリさんの所へ行き、子供たちと食事を始めた。フリッツさんも来ようとはしてくれたけど、私はそれを止める。フェリさんが怖がっているようだからと言ったら渋々だが納得してくれた。
「皆、聞いたと思うけどもう一回言うね。私はクロエ、よろしくね」
「よろしくー」
「よろー」
「……」
「……」
何人かは返事をしてくれるが、ほとんどは食事に夢中だ。フェリさんは小さい子達が食事を溢したりしているのを拭いたり、零れないように助けたりしている。
ずっとそんなことをしているからか、彼女の食事はほとんど進んでいない。
このテーブルだけでも20以上の子供がいて、その皆が好き勝手に食べている子供もいる。勿論その介助をするシスターは他にもいるが、圧倒的に手が足りていないように見える。
私は急いでシチューをかき込んでいる子供の男の子につく。
「はーい、ちゃんとたべようねー手伝おうかー?」
「えーいいよーじぶんでたべるからー」
「そうだねー大きくなって自分で食べれるようになって偉いねー」
「えへへーでしょー?」
「うんうん。頑張ってるねー。でもよく見てみて?」
「なに?」
私は彼が溢した所を見せる。
「これはちょっと零れちゃったみたいなんだ。だけど、君がちょっとお兄さんになれば溢さずに食べれるんだよ」
「あーこぼれてる……。ほんとにこぼれない?」
「ほんとほんと。だから、ちょっと落ちついて食べてみて? お兄さんなら出来る?」
「うん! できるー!」
「いい子ね。流石お兄さん」
その子は少し落ち着いたようになり、ほとんど溢さなくなっていた。
私はそう言って頭を撫でて、次の子の面倒を見始める。
そうしてほとんどの子が食事を終えるころには、私の服はかなり飛び散った食事で汚れてしまっていた。何度も注意した子も居たり、最初は聞いてくれても食べているうちに忘れてしまう子も居てずっとついていなければならなかった。なので自分で食べる時間がなかったのだ。
「あの、ありがとうございました」
後ろから声をかけられて振り返ると、そこにはフェリさんがいた。彼女も私同様に服は汚れている。
彼女の服がよれよれな事の納得がいった。きっと何度も洗い直しているのだろう。
私はそんな彼女に好感を高め、笑顔で返す。
「いえ、子供たちの世話は昔にやっていたことがありまして。今回も上手くやれているといいのですけど」
「とっても良かったです! 今まではもっと溢している子がいたり、私たちも汚れていたりしちゃったので……」
「そう言って頂けると嬉しいです。この後はどうしますか? 子供たちは行っちゃいましたけど」
そうなのだ。子供達の世話は食事を上げて終わりではない。これから外に遊びに行った子達の面倒も見なければならない。
「それは先に食事を終わらせたシスターや、冒険者の方々が行ってくださってるので大丈夫です。えっと、貴方のお仲間の方も先に行っていたと思います」
「フリッツさんがですか。確かに居ませんね」
「はい、ですので、今は私たちが食事を急いでして、服を着替えます。……それで外に向かったり、洗い物をしたりとしていただきたいんですが……いいですか?」
「はい、勿論大丈夫ですよ」
私がそう言うと、彼女はほっと一安心したかのように一息ついて、自分の分の食事を食べ始めた。
といってもその食事はいたずらっ子に少し持っていかれていたり、子供が手を伸ばしした拍子に零れたりしていたから量は減っている。
「私も持ってきますね」
そう言って私も自分の分を持ってくるが、それも彼女と同じような状態だった。
「「……」」
「ふふ」
「はは」
私は彼女と笑い合い、少しだけ通じ合えた気がした。
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