34話 リフちゃん
「ふぅ。これで完成です。さ、見て下さい」
私はそっとフリッツさんに手鏡を渡す。
彼はそれを受け取って自分の顔をまじまじと見つめている。
「なぁ、クロエ」
「何でしょうか!」
私は自信の出来栄えに満足しつつも返事を返す。
「俺はなんでこんなにも可愛くされているんだ?」
「それは変装の為に決まっています!」
そう、私がやりたかったこと、いや、他の人にバレないようにする方とは、彼を変装させて商会に乗り込む事だったのだ!
彼を見た瞬間から心の中で思っていた。彼にはきっと似合うと。茶髪の髪は短くてもいい。見た目はちょっと男の子っぽいクールな感じといった所だろうか。男らしい顔だちではあるが、中性的とも言えるような部分もあったので強調し化粧で何とかする。高い身長もスレンダーに見えるようにしたから何とでもなった。なったと言えばなった。
「後はアクセサリーですね……」
「アクセサリー!? 今のままででいいだろう!?」
「ダメですよ。それじゃあフリッツさんだとバレちゃうじゃない。あ、名前もフリッツさんじゃダメだ。何て呼んで欲しいですか?」
「なんでそんなにぐいぐい来るんだ」
「可愛いから。それ以上の説明は要らないの。それで、何て呼んで欲しいですか?」
「任せる」
「うーん、じゃあリフちゃんですかね。逆から呼んだだけだけどいいです?」
「……いい」
「良かった、それじゃあ服はこれを着て!」
「買ってきたのか!?」
「さっき行ってきた時に。さ、早く早く」
「分かった……」
フリッツ、いや、リフちゃんはのそのそと着替え始める。そしてさっさと着替えるとそれはもう完璧に可愛い女の子だった。誰がどう見ても女の子。襲われないように守って上げなければ。
「屈辱だ……」
「リフちゃんダメ!」
「な、何がだ?」
「そんな声出しちゃダメ。もっと女らしい声を出さないと」
「そんなこと言われても出せないぞ」
「練習して」
「ここでか?」
「大声で叫ばなくていいから。ね?」
「……はぁ、こうなりゃ自棄だやってやるよ!」
「その意気よ!」
「但しクロエ」
「はい?」
「お前も着替えるんだよな?」
「え? 何でですか? 私はこのままでいいって言うか。交渉にはリフちゃんだけで行って欲しいって言うか……」
リフちゃんの顔がニコ~とするが、私にはその笑顔が不気味に感じで背筋が凍る。
「ま、待って、ね? 話せばわかりますって」
私は後ずさりをしながら彼を説得するが彼の意志は変わったようには見えない。
「クーローエー、一人だけじゃ寂しいだろ。一緒にやろう。な?」
トン
「あ」
私は下がっていたが背中に壁が当たり下がれなくなる。
ドン!
リフちゃんが片手を私の後ろの壁につき、逃げられなくなった。
「クロエ、しろよ。男装」
「分かりました……」
「よし。決まりだな」
私も修道服を脱いで男の服装をすることになった。
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