17話 ギルド会館?
家の案内は直ぐに終わったため、次は村の案内をしてもらうことになった。
「ここが冒険者ギルドだ」
「ここが例の」
そう言って見るとそこは掘っ立て小屋と言ってもいい大きさしかなく。所々に穴も開いているのに修理された様子もない。扉からは看板が吊るされていてそこには『御用の方は裏の畑まで』と書かれている。
「裏の畑ですか」
「文字が読めるのか」
「ええ、院では文字も教えていますから」
普通の孤児院ならそんなことは教えないのだろうが、魔法の素養を持ち、院に入れられる子は別だ。そこには多くの聖女候補も存在したため、どこに出しても恥ずかしくないようにかなりの教育が施された。
「そういう素晴らしい場所もあるのだな」
「そうですね……ですけど、今の私には戻れませんから。それよりも挨拶をしたいのですが」
「ああ、それは悪かった。裏へ行こう」
私は話を逸らして彼とともに畑へと回る。
そこには長身の茶色いベストを着た男性がクワを振るって畑を耕していた。
「おーい! ちょっといいかー!」
「あーはいはい。フリッツさんね。どうしまし……」
振っていたクワを降ろしこちらを振り向いた彼の表情は固まっていた。年は中年位で、普段は優し気であろう顔をポカンとさせてこちらを見ている。その視線の先にはフリッツさんの持つ解体されたケルベロスの素材に向けられていた。
「そ、そそそそ、それは一体どうしたんですか!? あっ」
彼は慌てて走り出した土に足を取られて転んでいた。それはもう見事に耕した土に埋まっている。あ、ちょっと頭が薄いかもしれない。ってそんなことを言っている場合じゃない。
「あの、大丈夫ですか?」
「いてててて、あ、はい。ありがとうございます。大丈夫です」
そう言って彼は服についた土を払って立ち上がった。
「それで大丈夫かギルのおっさん」
「全く、年上を呼び捨てにするとは何事ですか。ちゃんと呼びなさいと言っているでしょう?」
「あーはいはい。分かったよギルさん」
「わかればいいのです。それで、その素材はまさか……」
「ああ、これはケルベロスの物だぜ」
「そんな、あのAランクの魔物を倒したというのですか? これは一度街に帰ってランク申請をしてこなければいけないかもしれなせんね」
彼はそう言って考え込みぶつぶつ言っている。やはり凄い事を為したと私も思う。
「いや、その申請は要らない。俺はランクが上げたい訳じゃないからな。だからしないでくれ。それにこれは俺一人で狩ったわけじゃない」
「え?」
二人は私の方を見る。
「彼女が助けてくれたから倒せたようなもんなんだ。だからランクの話はしなくていい」
「だからって2人でケルベロスを狩れる物ではないんですよ? 確かに防御力は低かったりしますがその分素早さだったり攻撃力は高いです。それを二人で討伐したってだけでもBランクは確定であるんですが」
「そういうのはいいから。これの素材の査定価格が知りたいんだ。もし街に行った方が高く売れるんなら、商人を待つよりかは待っておいてどっかのタイミングで行った方がいいからな。それを頼みたかったんだ」
「そう言うことでしたら別に構いませんが……。しかしランクは上げなくていいのですか? かなりメリットが出てきますよ?」
「ああ、気にしないでいい」
「そうですか、でもそろそろパーティ位は組んでくださいね? そのレベルまでずっとソロの方なんてそうそういないんですから」
「心配性だな。だけど大丈夫だ」
「はぁ、まぁいいでしょう。解体は終わっているんですよね? 今すぐに査定しますね」
「ああ、頼むよ」
「それではギルド会館の中に入っていてください。私は後から行きますから」
「分かった」
「ギルド会館ってどこですか?」
私は黙って二人の会話を聞いていたがいきなり話が大きくなったのでついていけなくなった。ギルド会館とはギルドが運営する場所の事でかなり大きな建物になってしまう。しかし、ここから見える範囲に大きな建物なんて一切存在しない。
「そんなのそこにあるだろ」
「そこ?」
フリッツさんが指したのはさっき看板がかかっていた掘っ立て小屋だった。
「あれがギルド会館?」
「そうだろ? 何言ってるんだ?」
「いえ、私の中でギルド会館ってもっとこう、おっきなイメージだったので」
「あーダラスの奴を考えればそうか」
「はい。私はそっちの方を想像してました」
「なるほどな。だが、ああいうのもあるんだ。中に入るぞ」
「はい」
私たちは中に入る。中は狭くて大人が入ったら10人もいればかなり窮屈に感じるだろう。それがカウンターで半分に仕切られている。カウンターのあちら側には書類やら荷物やらが置かれているのに、きちんと整理されていて几帳面な印象を受ける。こちら側には小さな椅子が3つ置いてあり、私とフリッツさんはそこに座ってギルさんが帰ってくるのを待った。
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