11話 解体
ケルベロスの解体はそれから1時間ほどで終わった。やり方はお互いに知らなかったので上手くいかない所もあったが、それでも何とか最低限の品質は維持することが出来たんじゃないかと思う。
「こんな感じでいいですかね?」
「ああ、クロエは上手いな。俺でもどうしていいか分からなかったのに。解体したことあるのか?」
「そんなことないですよ。私も初めてです」
「本当か? 信じられない」
「そんなことよりも先に進みませんか?」
「そうだな。よし。行こう」
それから解体したケルベロスをフリッツさんが担いで歩き出した。私もそれについていくが、あれだけの大荷物なのに歩く速度は最初と変わらない。
「本当に私は持たなくてもいいんですか?」
「何度も言わせるな。それくらいは俺がやる」
「その。ありがとうございます」
なんだか調子が狂う。今までは解体も全部やっておけ、持っていくのも当然私、みたいな状況だったのでこの感じは非常に気になってしまう。
「それだけの物を持っているのに凄いですね」
「ん? まぁ、鍛えているからな。もし怪我をしたら背負ってやるぞ?」
「大丈夫です!」
こう見えて健康には自信がある。だからそんなことにはならないと言いたい。
そんな事を話しながら歩いたが、ケルベロス以降新たに出てくる魔物は避けて進み、一泊出来る場所に着いた。
その場所はフリッツさんが時々使っている場所らしく、かなり綺麗にされていた。大きな木の上の窪みみたいな所で、上からは葉っぱが下からは大きな幹が私たちを隠してくれる。
「こんな所で寝泊りしているって凄いですね。考えもつきませんでした」
「見た目はというか雰囲気はいいが使い勝手はなかなか不便だからな。水浴びをするには近くの池に行かなければならないし、水汲みとかも大変だ」
「そうですけど。こういう所ってちょっと憧れます」
「まぁな。俺もその憧れる気持ちがあるから作った訳だし」
「こうやってるといいですよね」
辺りは真っ暗だけど、窪みでする焚き木の光が周囲を照らしてくれる。そこに寝転がっているのは何とも言えない気持ちにさせられる。
「分かるか。俺も意味もなくこうやりたいがためにここに来ることがあるよ」
「ふふ、フリッツさんって面白いですね」
「そうか? お前ほどでもねえよ。こんなに理解してくれる人はいなかったからよ」
彼は頬をかきながら横を向いていたので、最後の方の声が聞こえなかった。
「すいません。何て言いましたか?」
「気にすんな」
「そうですか。そう言えば、ケルベロスの肉って食べられるんですかね?」
「確か食えたはずだ。っていっても下処理とかをしっかりしないと食えないはずだが」
「私がやってもいいですか?」
「いいのか?」
「任せてください! ただ、ちょっと調理器具を貸していただきたいなとは思うんですが」
「いいぞ、あんまり数はねえから期待するなよ?」
「ありがとうございます!」
私はこれまでの恩を返すように料理を作り始める。命の恩人に対する料理だ。頑張らねば!
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