第三章<吸血鬼の犯罪思考>
どういう事かって?
うーん、どう言えばいいかなぁ。
つまりね?
犯罪を犯す吸血鬼って、それぞれカタルシスがあるのよ。
そして、快楽にも似た悦楽をこそ楽しむらしいの。
らしいっていうのは、私にはそういう感覚がわかんないから。
タイプは大別すると3つ。
被害者が恐怖と絶望で泣き叫ぶ[もしくは怒りの叫び]声を楽しみながら、吸血して命を奪う[またはその後、下僕にする]悪辣なタイプの吸血鬼。
こういうサディスティックな吸血鬼は主に男性に多い。
次に、自分自身の魅力に絶対の自信を持っている妖艶な吸血鬼。
こういうタイプは歪んだ自己愛や美意識が強く、滅多に魅了などは使わないのよ。
自分の魅力だけで被害者を惑わす事が出来ると思っているから。
そうして花に惑わされた哀れな蝶は、花の蜜に溺れて陶酔の世界へ閉じ込められてしまう。
あぁ、考えただけでも身の毛がよだつわ。
こういうナルシストな吸血鬼は主に女性に多いかな。
そして最後は情愛の果てに吸血という結論に行きつくタイプ。
人を愛して、愛しぬき、そして愛する人の永遠を求めて吸血鬼にしてしまう。
または、愛した人に裏切られ、その人を永遠に自分だけのものにしたい!などの理由で吸血して命を奪ってしまうタイプが挙げられる。
こういう情愛や痴情のもつれからくる犯罪って何も、吸血鬼だけに限った事ではないわよね。
ある意味、一番気持ちがわかっちゃう同情の余地がある吸血鬼だわ。
で、肝心なのはここから。
だって考えてもみて?
今の現状だけで判断するのもなんだけど、被害者の中里 瞬くんが吸血された今回の事件ってどう鑑みても私が先に述べたタイプとは違うのよ。
しかもクロロホルムなんて使って眠らせたりしてるしね。
これって犯罪者から見たら外道な手口よ?
それに、浅い咬み傷だって幾重にもついている。
で、私が思うにこれは予告?
もしくは恫喝などの理由で本来の桜庭 優に警告をしているんじゃないかって思うの。
そう。
いきなり本人を狙わずに、周りからじわりじわりと真綿で首を絞めるように…。
って考えたらゾクッとしちゃった。
もしそうだったら、それはそれで物凄く怖い。
だってそんな粘着質な吸血鬼に狙われるなんて、きっと凄く恨みが強いって事じゃない?
まぁ周りが吸血されて死んでたら、もっと怖いけどね。
でもそう考えると、意外と良識のある吸血鬼?って事かしら。
うーん、普段あんまり頭使わないから本当に知恵熱が出るかも。
「おい。
さっきから声をかけているのがわからんのか、アホぅ。」
え?
あ、春樹はギロリと睨んでる。
「あはは、ごめんなさい。」
私は思わず咄嗟に笑ってごまかした。
「頭から煙があがっているぞ。
だから言っただろう、ない知恵を絞ってもないものはないと!」
なぁぁんですってぇ?
「そんな事言うんなら、春樹には私の推理言わないから!」




