第三章<~プロローグ~>
「はぁ。
朝が来るのって、なんでこんな早いんだろ。
世界中の出勤時間が午後からなら、素敵なのに。」
私は朝が苦手なのよ。
なんでかって?
そりゃそうよ。
だって吸血鬼は本来、夜に活動を開始するものだもん。
まぁ、吸血鬼って言ったって私の家系は世間一般に知られている吸血鬼と違って、至って普通に日中に活動出来る一族なんだけどね。
因みに寿命だってあるし。
何よりアンデットじゃないもの。
生ける吸血鬼って所かしら。
でもね、だからといって朝が得意という訳でもない。
どちらかと言えば、やっぱり夜にこそ本領を発揮するのよ。
だから朝は苦手なの。
ぶっちゃけ吸血鬼だから低血圧だし、朝寝坊体質だし。
それに吸血鬼だから春眠、暁を覚えずって言うじゃない?
え?
朝寝坊と吸血鬼は関係ないって?
なんでもかんでも吸血鬼とこじつけるなって?
あぁ、嫌だ。
そんな細かい事を気にしちゃ、春樹みたいになっちゃうんだから。
ったく春樹のやつったら、いちいち細かい事でぐちぐち怒鳴りつけるんだから。
ほんっっとうに!
頭にきちゃう。
せっかく希有な美男子なのにね。
性格でマイナス120点よ。
どんな事で怒られるかって?
えっとね、聞いて?
ほんのちょっと、そうね。
たった一時間、朝寝坊しただけで物凄い剣幕で怒鳴りつけるの。
あと、吸血鬼の容疑者を確保する時に手錠を忘れたりとか!
捜査の際に、警察手帳を署に忘れたぁ!なんて些細な理由ですんごい怒るんだから!
ほんっっとうに!
肝っ玉の小さい男なんだから…。
あぁ、でもまるっきり悪い奴って訳でもないのよ?
そりゃあ、たまには優しい時もあるし。
意外と、ね?
それに、ドキッとするような仕草とか。
厳しさの中に、あったかいものを感じたり。
まぁ人間だもの、どっか良い所もなきゃ人間として男として魅力ないものね。
バキッ!
「あぁっ!
またやってしまった。」
私って寝像が悪いので、よく棺桶形ベッドを壊してしまうのよねぇ。
はぁ、まぁたイトリで買ってこなきゃ。
まぁ寝像が悪いのも吸血鬼だからしょうがないわよね。
え?
寝像と吸血鬼は関係ないって?
いいのよ、私って人生ケセラセラ。
アバウティー美紅って署内でも噂されてるもん。
アバウティー美紅。
なんか格好良い響きで好きだなぁ。
さて、と。
ふと時計を見ると、なんと一大事!
「きゃあぁぁぁぁ、ヤっバぁい!
もうお化粧は無人パトカーで済ませなきゃ。」
そして私は今日も朝からドタバタしていた。




