第二章<~エピローグ1~>
「鳴海さん、終わったよ。」
俺はナリソコナイが消滅するのを確認すると、静かに目を閉じた。
そして後には言い知れない空虚な気持ちだけが支配していた。
斬妖剣[紅蓮]を鞘に納めると、緊張感が解放されたからか寿命を吸い取られたからか、猛烈な疲労感が俺を襲ってきた。
その疲労は凄まじく、俺は思わず片膝をついた。
「無理するわね、貴方って。
人間なんて最後は自分の身だけが可愛いんだって思ってたけど、藤田くんみたいに自分よりも他人の為に命をかける事が出来る人もいるなんて、正直思いもしなかった。」
次は貴様の番だ、美夜!
と言ってやろうとしたのに、すでにその声は遠くから聞こえていた。
「美夜!
貴様、これからどうするつもりなんだ。
今更、ブラッディマリアの元へ戻る事も出来まい?
ならば、大人しく俺に逮捕されろ!」
だが、次に美夜が発した言葉が俺を逆上させた。
「ナリソコナイの件で、一時的にあたしは責任をとって組織を抜けただけよ?
元々ナリソコナイの始末の為に動いていただけなんだから。
事の顛末が終わったら組織に復帰するだけ、それだけよ。」
なんだと?
それでは美夜は最初から俺や鳴海警部を利用しただけだというのか!
組織を抜けたと言いながら、俺達を散々利用しておいて、終わったら組織に復帰だと?
「ふざけるな!
そもそも今回の騒動はブラッディマリア及び、貴様が引き起こしたものだろうが。
俺は許さん、断じて貴様を逮捕してやる。
そして、ブラッディマリアも必ず壊滅させてやるぞ!」
「ふふっ。
うふふふふっ。
ふふふっ。
あははははははは。」
だが美夜は最早、俺の手の届かない遙か遠くで癇に障る笑い声をあげるばかりであった。
吸血姫 美夜。
悪は必ず断つ!
いつまでも悪がまかり通ると思うな。
地獄の果てまでも追い詰め、必ず改心させてみせる!
そして…、約束します。
鳴海警部、貴方の理想。
その実現に命がけで取り組む事を。
貴方の遺志を継いで、人類と吸血鬼との平和。
そして互いのより良き未来の為に…。




