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第42話

 

 第42話 地然街エルタティアの巫女:前編



【エクスアリア・東 地然街(チネンガイ)エルタティア 18回目の夜刻】



【バレディナ夢領域(ムリョウイキ)からの帰還が完了しました!】



 バレディナを滅し、メリディさんを救出した私達は、無事にエルタティアに帰還できた。




 ――えっ? 夜になってる?! でもさすがは地然街と言う名前だけある。所々の街灯の近くで湯けむり?みたいなものが見えるし、やっぱりエルタティアは温泉街なのかな。




 《ガヤガヤ(あれ? 我々は一体……何をしていたんだ?)ガヤガヤ》

 《ガヤガヤ(聖なる力使い修行の旅に出ていたバレディナが……突然帰ってきたところまでは……覚えているけど……あれ?何刻日経ったのかしら……)ガヤガヤ》



 ――そうか! バレディナを無醒殺滅(ムササツメツ)した事で、バレディナが管理していたエルタティアの民の邪想ネットワークから、エルタティアの民が解放されたんだ。



朝陽(アサヒ)、本当にありがとうですわ」



 エルタティアの巫女のメリディさんは、そう言いながら私の左腕に手で触れた。



「救世の左腕を一度は失い、それでも鍛治職人バニングを信じ、朝陽の新しい救世の左腕でスレイアアリアの民であったバレディナを解放してくれた事、感謝致しますわ」

「メリディさん……いいえ、私が夢斬士(ユメギリシ)夢宮朝陽として、明日を救う力を持つ者の誇りと夢宮の言葉を大事に生きてきたからこそ、私の本当の左腕ではない左腕でもう一度、明日を救う力を持つ者として刀を握る事ができたのです」

「明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ、でしたわよね。その言葉がバレディナとエルタティアの民の明日を救った事には変わりはありませんわ、ありがとう朝陽」



 《ガヤガヤ(あっメリディ様だ!)ガヤガヤ》



 一人のエルタティアの民がメリディさんに気づいた事で、人々が集まり始めた。



「こ、これはまずいですわね……」

「えっ? 巫女さんなら喜ぶところでは?」

「朝陽、民達は意識を支配された刻以降の記憶が――」



 《ガヤガヤガヤガヤ(メリディ様! 早く今刻年のエルタティアを代表する巫女の衣を選んでくださいなー!)》ガヤガヤガヤガヤ》

 《ガヤガヤガヤガヤ(今刻年はウチの工房の巫女の衣がエルタティアの――)》ガヤガヤガヤガヤ》

 《ガヤガヤガヤガヤ(今刻年のエルタティア巫女の衣はシャーメイ工房で決まりだわ!!)》ガヤガヤガヤガヤ》



 ――巫女の衣を選ぶ? ……もしかしてエルタティアを代表する巫女服披露大会中だった?


「朝陽。……こういうことですわ、わたくし達は――」



 《「エルタティアの民よ! 巫女メリディ様はお疲れのご様子、本刻年(ホンコクネン)の巫女の衣の宴は中止だ!」》



 群衆が一斉に集まり始めた時、地下避難壕から戻ってきていたエギリスさんの声がエルタティアの街に響いた。



「メリディ様、朝陽殿達。ひとまず巫女の塔へ! エイアス、案内を頼むぞ」

「分かった、エギリス」


 私達はエイアスさんの案内の元、巫女の塔へ向かった。



【巫女の塔 最上階 夜刻】



「はあー、やっとわたくしの本来の居場所に帰ることができましたわー!」

「そ……それはよかった、メリディさん」



 ――巫女の塔……夜のエルタティアの街を一望できる高さの塔……高すぎる!



「では皆さん、メリディはこの汚れた布服を替えてきますわ」



 私達はメリディさんが着替え終わるのを待つ事になった。




 約数十刻分後……



「ふっふ〜ん、はい! やっぱりこの巫女の衣が一番落ち着きますわねー!」



 ――えっ? メリディさんの髪色もエイアスさんと同じ蒼白色(そうはくしょく)……それに真っ白な白衣(びゃくえ)緋袴(ひばかま)と白い足袋(たび)……この組み合わせはどこからどう見ても! ファンタジー世界にいる巫女! あれ? 右手に何か持ってる……あれは魔術師の杖?




「朝陽、本来ならば最初からこの姿でお会いしたかったですわ…………あらためまして、わたくしの名は『メリディ・レユチナ・スレイアアリア』、このエルタティアの地を治めているスレイアアリアの民の当代の長です」



 ――やっぱりアイリアさんの友であるエルタティアの長は、メリディさんだったか……。



「こちらこそあらためまして、エクスアルディアギルド所属夢斬士の夢宮朝陽です、それと……」

霊峰樹海(レイホウジュカイ)ヴェルハラの森、ヴェルレストの村の守護騎士であり、エクスアリアのユメギリ士のシャリア・エクス・ア・ロッテです、よろしくお願いします!」

「わたしは朝陽と同じ世界、同じ街に住む朝陽と同じ夢斬士である夢月弥乃葉(ユメツキ ヤノハ)です、『綺麗に纏められた蒼白色の巫女は二度拝めないなー!』……よろしくお願いします!」

「夢宮朝陽、シャリア・エクス・ア・ロッテ、夢月弥乃葉、エルタティアの明日を救いし、夢斬士達。その名前、エルタティアの歴史に刻まれる事でしょう」



 ――やっぱりそうなるよね……。



「シャリアさんの生まれ故郷のヴェルレストの村には、わたくしの友であるアイリアとの記憶が甦りますわね……」



 ――やっと、この手紙を渡す事ができるよ、本当に長かった……。



 私はアイリアさんから預かっていた、メリディさんへの手紙を渡した。



「ふむふむ……エクスアリアに巣喰い始めた、邪なるオーガたる夢喰(ユメグイ)の元凶は……別の世界から来た一人の十六刻年(じゅうろくこくねん)(トキ)を紡いできたヒューマアリア人のタケミツなるもの……ふむふむ、この書物をわたくしが読む刻、それはタケミツなるものと同じ世界から来たエクスアリアの明日を救う救世主、夢宮朝陽と会いし刻……ふむふむ、その刻は夢宮朝陽様のお力に……なるほどですわ」



 ――えっ! 読むの早くない?



「朝陽、あの忌々しい明日を巣食う夢喰の王と成り果てたタケミツなるものから、このエクスアリアの世界を護るための仕組みを造る旅……あなたと弥乃葉、それとあなたの祖先たる夢宮陰楼(ユメミヤカゲロウ)は、別の世界から来たヒューマアリア人……なぜ自分達の世界ではない、このエクスアリアを救いたいと考えておられるのでしょう?」



 夢覚市(ムザメシ)でタケミツと夢斬貮型(ユメギリニガタ)と通信した時、このエクスアリアの地で、アイツらが何をしでかしたのかすら、あの時の私は知る由も無かった。

 夢宮朝陽である私自身が、想いを叶える存在:刻想器(コクソウキ)だった夢鬼理(ユメキリ)と繋がる事で創られた夢鬼理ネットワークシステム。

 しかしタケミツに夢鬼理ネットワークシステムの脆弱性を突かれてしまい、それがエクスアリアの明日を奪ってしまった。

 私自身の想いから生まれた夢鬼理ネットワークシステムが原因なのだから、私もエクスアリアの明日を奪った事に変わりはない!



 ――だから……



「夢宮朝陽である私は、エクスアリアで生きるあなた達と手を取り合い、共に明日を迎えたい! 明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ! これが私の信じる夢鬼理ネットワークVer.エクスアリアという想いの繋がりです!」



 第42話 地然街エルタティアの巫女:前編 完。

 第43話へつづく!

お読みいただきありがとうございました。

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