第2話 朝陽、エクスアリアへ 後編
【エクスアリアへの転移、完了しました!】
【エクスアリア大陸 ヴェルハラの森】
静かな森……私が住む世界と同じ様に見える森なのに静寂な森……
本当にここがエクスアリアという異世界なのだろうか……瞳が映す情景を信じられずにいる私がいる。
「ユメキリ、ここがエクスアリア?」
『そうだ、エクスアリア大陸、ヴェルハラの森だ』
ユメキリの説明は信じられないけど、今、私が足をつけている場所はエクスアリアの地らしい。
本当に異世界に来てしまった……
この今の状況に困惑しつつ、状況を整理しながら森の中を歩いていると、心裡から通信が入った。
『朝陽? 聞こえる?』
「心裡? うん聞こえるよ」
『朝陽が今いる場所は、夢の世界じゃない』
「うん、さっきユメキリから聞いたよ。あと夢鬼理ガジェットが映している、私が見ている情報も更新されたから……ユメギリ貮型はどこにあるの?」
『……ジャミ……ング……?』
『朝陽……これ……支……で……』
【夢宮心裡との通信が遮断されました】
「ユメキリ? どういうこと?」
『我々が本来いるべき世界から我々がいない世界へと渡ったのだ。要するに時間のズレだ……ん? 朝陽、あれを見ろ!』
ジリジリジリジリ――スパーン!
【夢鬼理ネットワークが遮断されました】
任務をすぐに終わらせて、タケミツとユメギリ貮型と夢覚市へ帰るつもりだったのに……転移ゲートが消失してしまった……
「これ……かなり不味くない?」
『腑抜けるのか? 朝陽、幼き日々のあの時の様に……』
「なに言ってんのユメキリ!」
「夢斬士は……夢斬士になった時点で、夢を見ることができない、それが夢喰から明日を守る夢斬士の理……でも私は、ユメキリのおかげで、夢を見ることができる夢斬士になれたし、だからあの日から今日まで頑張ってきた! 腑抜けだった私はもういないよ! ユメキリが一番、分かってるでしょ?」
『左様、あの日から側で朝陽を見ていたからな』
「そうそう……にしても、広いね、この森は……はっ!」
シュッ――ズバァァァァ――!
何、あの光の矢みたいな攻撃……危なかった……
あんなのアニメでしか見たことない……
『朝陽よ、こちらに高速で接近中してくる者がいる……朝陽よ、予想が的中したな』
「勘弁してよ……でもやるしかない! よし!」
森の奥から高速でこちら向かってくる人影……
その人影は、私達が住む世界では存在するはずのない特徴を持っている人影だった。
髪が長く、スタイルも良くて、そして耳の長い綺麗な女の子……ファンタジー世界の定番、エルフだ!
「――――? ――――――? ――――――!」
「何言ってるの? 全然分かんないけど、これ何語?」
『異世界語か、任せろ! 翻訳開始……』
【ユメキリが言語解析中……】
【ユメキリがエクスアリア語を翻訳しました】
翻訳されたエクスアリア語を聴いた私は、エクスアリアが、夢喰の力により殺意のファンタジー世界と化してしまった事を改めて、実感させられてしまった……
「あなた殺めていい? あなたなら殺めれそう! あなたを殺める!」
やっぱりか……いとも簡単に夢喰を倒しちゃったんだ……このエルフは!
『対象……解析中……シャリア・エクス・ア・ロッテ。このヴェルハラの森の守護騎士シャリアとして、この森を管理している様だ……どうする? 朝陽、我がやるか?』
「ありがとうユメキリ、でも大丈夫! 私がやるから」
【夢宮朝陽と夢喰エグゼクショナー型が交戦開始しました!】
「あなた、あの異物と違う、あなた、何者? あなた、殺めていい?」
「チッ! あの異物? 私が何者? 殺める?」
「そんな剣捌きで何言ってんの!」
仮にも守護騎士ね……でも遅すぎる!
「はい! はい! ほら! ほら! そんな剣捌きじゃ私は倒せないよ! 夢喰エグゼクショナー型のシャリアさん!」
ん? 反応が一瞬だけ鈍った、これならいけるはず!
「あなた、なんなの? あなたはもしかして……エクスアリアの救世……」
「残念、私は救世主ではない! 私は明日を護る夢斬士だ! ユメキリ! お願い!」
『了解!』
【夢宮朝陽が夢鬼理一文字を装備しました!】
【夢鬼理カウンター上昇中……】
幼き日々の私は、ユメキリに頼ることしかできなかった……でも今の私は、自分の手でユメキリを持っている……だから!
「私は夢斬士! シャリアさん、ごめん! …………のせいで、ハァァァァァァ!」
【夢宮朝陽が《夢殺ノ一文字斬》を発動……】
【夢喰エグゼクショナー型の討滅が完了しました!】
「あり……がと……う」
バタン!
シャリアさんの夢喰は討滅できた。
夢殺ノ一文字斬はその名通り、夢、夢喰だけ斬る技……この技で斬られた者と夢喰のゲートは自動的に閉じられる。
プシュー!
【夢鬼理ガジェットに夢鬼理一文字を格納しました!】
これが夢斬士である私の戦い方……
夢の中で現れる夢喰に喰われた人は、原因不明の昏睡状態となり明日を奪われる。
でも明日を奪われた人にも当然、大切な人達がいる。
その大切な人達の最後の砦が、夢鬼理ネットワークというSNS。
大切な人達が夢鬼理ネットワークを通じて夢斬士へ対価を払い契約する事で、夢斬士である私達が夢鬼理ネットワークのゲートを利用し、明日を奪われた人の中に棲む夢喰を討滅することで、明日を奪われた人を救うことができる。
夢喰を自分で討滅しまった結果、夢喰の力に呑みこまれてしまう人も夢覚市にはいた。
でも今回のシャリアさんの様に夢喰の力を殺意の力へと変えたケースは無かった……
想いの力と魔法の力が似ているのだとしたら……想いの力で討滅する夢喰を倒せたとしても不思議ではない。
殺意のファンタジー世界と化したエクスアリアを夢喰から救う、それが私の任務。
なぜなら私は……
明日を迎える為、夢に棲む鬼を斬る者!
夢斬士、夢宮朝陽だから!
朝陽、エクスアリアへ 後編 完
3話へつづく!
最後までお読みいただきありがとうございました!




