第25話 見た目は普通、重さが異常な少女 その3
見た目は普通、重さが異常な少女 その3
【東エクスアリア草原 エルタティア周辺】
【野営ポイント 14回目の夜刻】
私達は、夢喰エルタティア兵士型だった、ファンタジー世界によく出て来る様な兵士の鎧を纏う男性をシャリアさんが待つ、野営ポイントまで運んだ。
「あっ! 朝陽様、ご無事で何よりです、でも……」
「どうしたの、シャリアさん?」
「弥乃葉さんが作ったカレーが、私達が食べるはずの弥乃葉さんが作ったカレーが…………」
「シャリアさん、弥乃葉のカレーがどうしたの?」
「朝陽様、あの方を見れば分かります」
慌てた様子のシャリアさんが、カレーの鍋がある焚き火に視線を向けた。
シャリアさんの視界の先には、ボロボロの服を着る見た目は普通、重さが異常な少女が、幸せそうな満面の笑みを浮かべながら、ひたすらカレーを食べている姿があった。
「ふー、美味しかったですー! こんな美味しい料理は久しぶりですわ」
――ま、まずい…………弥乃葉がこっちに来てる……
「カレー、カレー、うふふ……あっ! 『夢月弥乃葉シェフの……絶品エクスアリアカレーが無くなってる? どうしてだよぉぉー!』……なんで無いのよ!」
ボロボロの服を来ていた見た目は普通、重さが異常な少女の口元には、弥乃葉が作ったカレーがついており、カレーが入っていた鍋は空っぽだった。
「シャリアさん、この子が全部カレーを食べたの?」
「はい……先程のあの大きな声がした方角へ、朝陽様達が向かってすぐに、この子が目覚めまして……」
「分かったよ、シャリアさん。説明してくれて、ありがとう」
「止めれなくて、すみません、朝陽様!」
「いいよ、シャリアさん。ほら弥乃葉もさ、しょうがないじゃない……あっ! ちょっと、あんた、何食べてるのよ!」
私達に隠す様に弥乃葉が食べていた物は、弥乃葉が作ったカレーだった。
「あっ、バレたかー。『正義の料理人である夢斬士、夢月弥乃葉シェフは、ちゃーんとおかわり用のカレーを夢羅鬼理ガジェットに入れてたんだせ!』……だからその子が食べちゃった分とおかわり用のカレーは別にしてあるからさ、もう一度温め直すよ」
グツグツ! グツグツ! グツグツ!
「えーと、ごめんさない! あまりにも何も食べて無くて……つい、美味しそうな料理の匂いが、森の中を逃げている時に漂っていたから、つい…………」
――お腹が空いてる状態で、あれだけ良い香りがするカレーの匂いを嗅いが漂ってたら普通に来るよね。
「大丈夫、大丈夫だよ。料理はまだあるから…………あなたの名前は、メリディさんで合っていますか?」
「はい、私の名前は…………えっ? あなたと炎の前にいるヒューマアリア人とあなたの隣にいるエクスアリア人が、スレイアアリアの言葉をなぜ話せるのでしょうか?」
――エクスアリア語とスレイアアリア語は違うみたい。
『メリディとやらよ。それは我達、夢鬼理と夢羅鬼理が、其方達が使うスレイアアリアの言葉を朝陽達が、理解できる様に支援したからだ』
ユメキリがメリディさんへ説明すると、メリディさんが、私の側に置いてあるユメキリを見て頷いた後、私達を見た。
「あっ、白き聖なる光を放つ刀を携し、黒く美麗な長髪の女性戦士! ……なるほどですわ」
「白き聖なる光を放つ? 黒く美麗な長髪の女性戦士? もしかして私のことですか?」
「そうですわ。あなたがエルタティア山の頂に突き刺さりし聖なる力を失った剣の持ち主の朝陽ですね?」
――エルタティアの山の頂に突き刺さった聖なる力を失った剣? もしかして………夢斬貮型のこと?
「なぜ、その力を失った剣の持ち主が、私だとメリディさんは分かったのですか?」
「なぜ? ふふ、夢斬貮型と名乗っていたあの剣は、数年の刻に渡るエルタティアの巫女修行の心の支えなっておりました」
――やっぱり、夢斬貮型だったみたいね。
「夢斬貮型は、時々あなたの名前を呟いていた。
突き刺さる夢斬貮型を一度抜こうとした私に対して、『腑抜け度50の腑抜け巫女擬きが、気安く我に触るな!』と罵ってきた事は、今でも鮮明に覚えていますわ」
「あの、その……夢斬貮型は、今どうなっているのですか?」
「今も尚、エルタティアの山の頂に…………今の状態の夢斬貮型に話しかけても、反応すら返ってきません」
私が見た、夢斬貮型の夢の時点で、一体どれぐらいの時間が経っていたのだろうか?
私と夢斬貮型との間にどれだけの時間がズレているのかすら、私には分からなかった。
第25話
見た目は普通、重さが異常な少女 その3 完。
第26話へつづく!
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