第22話 終章
第22話 朝陽達、エルタティアへ
【フェルレトの街 ギルドフェルレト支部 二階 夢斬士の部屋 14回目の朝昼刻】
『朝陽よ、14日目の夢覚めの時だ、起きるが良い』
――もうそんな時間? 起きなきゃ……。
「おはよう、夢鬼理」
「ふあわわぁ……おはようございます! 朝陽様!」
「おはよう、シャリアさん」
『朝陽、シャリアよ、おはよう』
――昨日まではこれがいつもの朝……、弥乃葉がいなかった昨日までは!
《「よしよしー『正義のサバイバリスト夢斬士のユメツキヤノハはー、夢羅鬼理の――――ックスに、朝から色々詰め込んだぜー!』うんうん! そろそろ朝陽とシャリアさんは、起きたかなー!」》
――ん? サバイバリスト夢斬士? なんか勢いよく階段を上がってきてる?
《ガチャ! 「朝陽、シャリアさん、ユメキリさん!」》
「この『新たなる世界の素晴らしき朝に皆の者起きよ! 正義の目覚まし夢斬士の夢月弥乃葉が参上したぜ!』ってことでー、おはようございます!」
――もー、朝から本当にキンキン声で……、昨日も夜遅かったのに……朝からどれだけテンションが高いのよ!
「はぁ……おはよう、弥乃葉」
「おはよー! 朝陽!」
「おはようございます、弥乃葉さん」
「おはよー! シャリアさん!」
――そうだった……、弥乃葉は二時間ぐらい寝たらハイ! 回復しちゃうんだった……。
「二人共、朝から元気なさすぎ! そんな顔をしていたらさー『おいおいアイツら見ろよー、どうしちまったんだろうな……、はぁ、暗過ぎるだろぉーー!』って、言われちゃうよ!」
「はいはい、分かった……分かったからさ」
「あのー、弥乃葉さんはいつから起きていたのですか?」
「いつから? それはねー、『シークレットなのさ、分かったかいエクスアリア族の嬢ちゃん……』でも、五時間ぐらい前かな」
「しーくれーと? しーくれーととはなんでしょうか?」
「シャリアさん、気にしなくていいよ」
「えっ? はい……分かりました」
――全く弥乃葉はすぐに! 意味不明な事をシャリアさんに言うんだから!
「でっ? 五時間前から起きて、アンタは何をしてたの?」
「それはねー……明日を救う長旅になりそうだし、旅に必要な物を朝陽が貸してくれたお金で色々買ってきたんだ」
――はっ? 荷物を一つも持っていないじゃない、何を言っているのかしら。
「アンタ、荷物はどこにやったの?」
「とりあえずー食材やお皿とか? 野営する時もご飯は食べなきゃ、いざという時に戦えないからさー」
「話聞いてた? アンタ、荷物はどうしたの?」
「荷物をどうしたのかって? ……答えはこれだぁー!」
――答えはこれって……、昨日持っていた夢羅鬼理って書いてある夢斬ガジェット……まさか!
「そのガジェット、もしかして……」
『夢羅鬼理、ブレードモード移行なり!』
「ちょっ、ちょっと弥乃葉! こんな所で……刀をしまいなさい!」
「あわわ! 空気が振るえる音が聞こえます!」
――はぁ、やっぱりね……。
『弥乃葉よ。それは我と朝陽が造りし、夢喰を斬り刻む震動刀である我の分体、IIIが核になっているな?』
『御意。俺の名は、ユラキリ。主人弥乃葉の相棒ナリ、夢鬼理と朝陽が昔造った高速震動刀だったIIIに夢宮陰楼の鬼理刻のカケラを武装練想して造られた刀ナリ』
「そうそう! わたしがこの世界に渡る時に心裡さんと夢斬参型さんが作ってくれた『正義のバリバリ月バリバリ葉シェバリバリ』バリバリ」
「ちょっと! 耳が痛くて、アンタが何を言っているか聞こえない! 早く刀状態を解除しなさい!」
「あっ、ごめんね」
――全く弥乃葉は弥乃葉なんだから! ていうか心裡も参型も別の分体がコンツェルンに有ったでしょうが!
「だからね、荷物を持っていないのは簡単に言えばー、『アイテムーボックスゥッー!』って事だからだよ」
――アイテムボックス? ……なるほどね、夢鬼理の分体なら武装以外も入れることができるからか。
「とりあえず私とシャリアさんは出発の準備をするから、少し待ってて」
「はいはいー!」
◇数刻分後◇
「髪留め良し! 夢斬士非戦闘服……良! ユメキリバトルスーツ……状態も良、各種武装……状態も良、金貨は……残二十八枚、シャリアさんは準備できた?」
「はい、身支度は終わっています、 朝陽様」
「じゃあ、行こうか。弥乃葉、お待たせ」
「はいはいー! ではでは行きましょー!」
【フェルレトの街 東門前 14回目の昼刻】
――あと……約一日ぐらい歩き続ければ、エルタティアに着けるぐらいかな……。
《「朝陽!」》
――ん? 陰楼さんの声? ……あっ! 門橋前にエリディアさんと居る。
「陰楼さん、エリディアさん。短い間でしたが、お世話になりました」
「いえいえ朝陽さん。エクスアルディアギルドの他支部には、朝陽さん達の情報は伝えてあるので、いつでも各支部を頼ってくださいね」
「はい、ありがとうございます」
――ギルドの他支部か……一体どれだけあるんだろう……。
「ふっ、朝陽」
「はい、なんでしょう?」
「明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ……、これからの旅路でこの言葉をお前が忘れぬ限り、この地の者達はお前達に理解を示してくれるはずだ、ただ安易にその力に溺れてはならぬぞ」
「はい、分かりました」
「この地での行末は、この地の者達を通じギルドの連中とエクスアルディア国の主人の耳に入る事を忘れるでないぞ」
「はい、悪い噂が耳に入らぬ様、気をつけて旅をして参ります」
「うむ。俺はこの街にいる、困り事があればいつでも帰ってくるが良い」
「はい、陰楼さん、エリディアさん、本当にありがとうございました!」
「うむ。シャリア、夢月! お前達は朝陽を護る盾となり、時には朝陽を護る剣となるのだぞ!」
「はい、陰楼様!」
「はいはいー! 陰楼様!」
「では行ってきます!」
――一週間過ごしたこの街と出会った人達と別れるのは、寂しいけど……、でも私の隣にはシャリアさんと弥乃葉がいる!
「朝陽、シャリアさん。いざ、エルタティアへ出発だー!」
――だから『明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ』、夢宮のこの掟が、明日を救う者の私達の明日へと繋がる道になると信じるだけ! ……って、なんで弥乃葉が言うのよ!
第22話 朝陽達、エルタティアへ 完。
第3章 エクスアルディアギルドの夢斬士 終章。
第4章 第23話へつづく!
*2026年9月19日(土) 一部内容の改訂を行いました。




