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夢鬼理(ユメキリ)ネットワーク  作者: 魔与音・庵
第1章 夢鬼理ネットワークと異世界
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第1話 朝陽、エクスアリアへ 前編

第1章 夢鬼理ネットワークと異世界


【202X 8月8日 夕刻】

【夢覚市 夢宮コンツェルンビル 屋上】



 私は今、超高層ビル、夢宮コンツェルンビルの屋上で、異世界エクスアリアの地へ渡るための準備をしながら、目の前の仮想モニターに映る腑抜けたち二人を呆れながら見ている。



 腑抜け達の一人である少年は、ゲームやアニメに出てくる様なファンタジー世界に執着している16歳の男の子……名前は夢宮タケミツ。

 腑抜けたちの一体は、意志を持つ武具……

 人々を救う為の私が持つ想いの力の1つでもある。



 腑抜け達がいるのは、異世界エクスアリア。

 ファンタジーの物語に登場する世界ではない。

 私たちが絶対に行く事が不可能な世界であり、今も私たちの世界と同様に時を紡いでいる世界……それがエクスアリアだ。



「二人で仲良くやってな! じゃーね」



【ユメギリ貳型との通信を終了しました】



「殺意のファンタジー世界……どこに繋げんてんのよ! アイツ!」

『だな……我の分身を用意しておいて良かったな、朝陽よ』

「そうだね、ユメキリに用意してもらった甲斐があったよ。ありがとね! ユメキリ」

『なーに。お前と想いの契約をした約束の日から我は、朝陽の想いの力に1つとなると決めたのだ、礼には及ばん』


 私が住む夢覚(むざめ)市は、40万人の人々が住み、夢覚市を裏から管理している夢宮一族で成り立つ少し変わった街。

 私、夢宮朝陽も夢覚市在住の20歳の市民の一人。

 私は夢宮一族の本家の人間で、腑抜けの少年のタケミツは、夢宮の分家の人間だ。


 夢覚市には人の夢に現れて、夢を見た者の明日を奪う鬼、夢喰(ゆめぐい)が脅威として存在する。

 夢喰を討滅して、人の明日を護る者達の事を夢斬士と呼ぶが、私も夢斬士の一人として、ユメキリと約束したあの日から明日を護る為、夢斬士として活動してきた。


 私とユメキリ……

 かつて想いを叶える刻想器だったユメキリは、幼き頃の私の夢に現れた両親の夢喰に私が喰われる直前、私の想いに引き寄せられた。

 ユメキリは、戸惑っていた幼き私へ、夢喰に喰われる明日を見せ、喰われる続ける明日かそれとも夢喰から人々を護る明日を選ぶかを聞いてきた。

 力もなかった幼き頃の私は、夢喰から人々を護ることを選び、ユメキリと明日を迎える想いの力の契約をした。

 だからこそ私は今、夢斬士(ゆめぎりし)の一員として活動する事ができるのだ。



 ――ユメキリは……夢喰から私を救ってくれた、命の恩人だ。


 

 私がビルの屋上に今いるのも、ユメキリとエクスアリアに渡るための準備をしているからで、その理由は――


「あーさひ!」

「うわ! びっくりした……心裡(しんり)、脅かさないでよ!」

「ごめん、ごめん。総帥から聞いたよー、あの腑抜ケミツが夢鬼理ネットワークを勝手に使って、異世界? エクスアリア? に繋いだらしいじゃない……それで今から朝陽は行くの?」

「うん。しゃあーない! ユメギリ貮型を持ち出された責任は、ユメキリの契約者である私が取らないとね」

「ちょっと待ってね、朝陽……腑抜ケミツとユメギリ貮型ちゃんがいるポイントを調べてみるから」

「お願い、心裡」


 夢鬼理ネットワーク。

 私たち夢斬士達が、夢喰から人々を守り、人々を救うために欠かせない大事なシステム。

 人の夢に入って、夢喰を斬って、人と夢喰を繋ぐゲートを閉じる……簡単に言えば、そんな感じ。


 夢宮コンツェルンの技術者で科学者の夢宮 心裡。

 ユメキリが用意した分身の1つである、ユメギリ参型を夢宮コンツェルンが技術解析をした結果。

 夢鬼理ネットワークや夢斬士のサポートツール、夢斬ガジェットの開発に成功して、夢喰を事前に討滅できる新しい夢斬士の仕組みを作り出したのだ。

 つまりタケミツの両親が怒っている本当の理由は、ユメギリ貮型を運用することで、夢覚市以外で活動していた夢宮分家の夢斬士達が、タケミツの暴走によって活動停止状態になってしまったからである。

 だから私は、元はユメキリだったユメギリ貮型とタケミツがしてしまった暴走の後処理をするべく、本家総帥から私は命を受け、エクスアリア行きを決めたのである。


 

「朝陽! タケミツとユメギリ貮型ちゃんを捕捉……ん?……でも待って! タケミツとユメギリ貮型ちゃんは別行動してる……」

「心理、どういうこと?」

「待って、朝陽……えっ?タケミツのマーカー消失……追跡できなくなった」

「ふぅ……たく! タケミツめ! ユメキリ、転移ゲートの準備はできた?」


『ああ……準備完了だ、行くか? 朝陽よ』

「勿論! 心裡、すぐに帰ってくるから!」

「気をつけてね! 朝陽!」

「ありがとね、心裡! 行ってきます!」

「行ってらっしゃい!」



【夢宮朝陽がユメキリを装備しました!】



 ユメキリを介して、夢鬼理ガジェット内に格納されたヘッドギア付き夢斬士の戦闘スーツを装備した私は、夢鬼理ネットワークの転移ゲートへ飛び込んだ!



【夢鬼理ネットワーク、転移ゲート起動!】

【転移ゲート通過中…………エクスアリアに転送中…………】



 異世界なんて存在しないし、私は信じない、異世界エルフなんて存在しないし、私は信じない……

 でも夢鬼理ネットワークが、エクスアリアの地へ繋がってしまったという事は、つまりエクスアリアの人々も夢を見るということ。



 エクスアリアの殺意ファンタジーと化してしまった原因の1つは、本来エクスアリアの地にいるはずのない異物のタケミツとユメギリ貮型が、夢喰が一緒についてきてたことも気づかずに夢鬼理ネットワークのゲートを使用して、転移してしまったことなのかもしれない……



 そして、夢の中に現れた夢喰をエクスアリアの人々は、自分達の手で討滅したものの、ゲートを閉じる術が無いから、逆に力の糧としてエクスアリアの人達は、夢喰の力を吸収してしまったのだろう……

 だからエクスアリアの地が殺意のファンタジー世界となってしまった……と私は予想している。



『朝陽よ、我がついているから心配するな!』



 うん! 頼りにしてるよ、相棒!



 『朝陽よ、もうそろそろエクスアリアに着きそうだ』



 さてと、じゃあ行きますか!

 殺意のファンタジー世界へ!



【エクスアリア大陸 ヴェルハラの森に到着しました!】


 後編に続く!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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