第14話 とある冒険者パーティーの夢喰 その2
とある冒険者パーティの夢喰 その2
【フェルレトの街 ミリュテの冒険者パーティの拠点 昼刻】
女性魔法使いミリュテさんの案内で、私とシャリアさんは、ミリュテさんの拠点を訪れている。
「セロツさん! 例の化け物退治の専門家、夢斬士の朝陽さんをお連れしました」
「おお! ミリュテ、お帰り。その人が? あれ? 僕は、男の夢斬士がいると聞いたけど…………女の子? 朝陽?」
――ま、そうなるよね…………
私とシャリアさんは、ミリュテさんの冒険者パーティの仲間のセロツさんにエクスアルディアギルドの冒険者登録証を見せた。
「それは確かにエクスアルディアギルドの冒険者である事を示す証……すまない、疑ってしまって」
「いいえ、大丈夫ですよ。では早速ですが、ミリュテさんが依頼してきた、パーティメンバーの方の元へ案内してもらえますか?」
「いいけど、アイツは助かるのか?」
「その方を見た、次第です。セロツさん」
「分かった、ミリュテ。リクルがいる地下室へご案内して」
「はい、セロツさん」
セロツさんの指示で、ミリュテさんに案内された地下室へ行く途中、私はミリュテさんに話しかけた。
「ミリュテさん。隣の大陸から渡ってきたばかりで、よく分からないけど、エクスアリアに迷宮はあるの?」
「迷宮ですか? ありますよ。フェルレトの街から少し北に行った場所に迷宮がありますね」
「最近、迷宮を探索したりはした?」
「ええ、私達は冒険者ですよ。迷宮に潜ってギルドの討伐対象を討伐したり、迷宮の中に隠されている宝を持って帰って換金する。そうしないと生活できませんから」
「ありがとう。ちなみに迷宮の中で休憩もした?」
「勿論ですよ。適度に休憩しないと迷宮の中で倒れてしまいますからね……朝陽さん、それが今回のリクルの事と何か関係あるんですか?」
私の世界で、良く目にするファンタジー小説の迷宮の設定は、魔物の住処でお宝がある。
あとは奈落の迷宮の設定が有ったり、自動生成迷宮だったり色々な種類の迷宮の設定もあった。
ギルドの討伐対象が迷宮にいるというミリュテさんの説明から考えてみると、異世界であるエクスアリアの迷宮も魔物の住処であると判断できてしまう。
つまり…………魔物を倒したという快感の中で、迷宮の中で仮眠して夢を見てしまったら、魔物を倒した瞬間を夢喰がわざと再現して、殺意の邪想を遺す。
エクスアリアへ来て、シャリアさんやスライムさん、盗賊達の夢喰をこの目で見た事をずっと考えて、辿り着いた私の結論だ。
「つまり、リクルが魔物を倒す夢をその夢喰なる魔物が見せる? ということですか?」
「はい、その認識で合っています。夢喰がリクルさんの夢の中で、魔物に化けてリクルさんに倒される。そこに残る力の残滓、それが殺意の邪想です」
「なるほど、だからリクルの能力管理をした時、殺意の邪想という能力が追加されてたわけですね」
「はい、そんな感じです、ミリュテさん」
「私は大丈夫なのでしょうか? 朝陽さん」
――ユメキリ、ミリュテさんの解析をお願い。
『朝陽よ、了解した』
【ミリュテを解析中……夢喰反応はありません!】
「ミリュテさん、大丈夫。安心して」
「良かった……いつも私は、後方支援で眠る時は、聖なる力の源である女神エクスアリア様に祈りながら眠っていますので…………」
ミリュテさんから女神エクスアリアの名前を聞いたシャリアさんが私へ静かに語りかけてきた。
「朝陽様、聞きましたか? 女神エクスアリア様ですよ。女神エクスアリアの泉に納めたユメキリII型様が、ミリュテさんを守ってくださっています」
「うん、エクスアリアの聖なる想いの力とユメキリII型がちゃんと動いている事が確認できて良かったよ」
『朝陽よ、ユメキリII型は予想以上の働きをしている様だ。やはりあの場所へ納めて正解だったな』
「とりあえず安心だね……ミリュテさん、地下室はもう着きそう?」
「はい、ここです」
長い階段を降りた先の地下室で、私達が見たものは、四肢を鎖で繋がれ意識を失っている若いヒューマアリア人の男性だった。
「ミリュテさん、この人がリクルさん?」
「はい、今は眠りの聖なる力で、眠ってもらっています」
「そうなんだ。じゃあ簡単には起きないね」
「はい、おそらく」
『朝陽よ、夢喰の反応がある。リクルの夢の中へ入るか?』
リクルさんの夢に入って、どれぐらい夢喰が侵食しているのか確認する為には、リクルさんが魔法で眠られているこのタイミングしかない。
「そうだね…………初めてこの世界で夢の中へ入るけど……リクルさんを助ける為にやりますか! シャリアさん、ユメキリ、お願い」
『朝陽よ、了解した』
「はい、朝陽様!」
【夢宮朝陽がユメキリを装備しました!】
【シャリアがユメキリIV型を装備しました!】
「朝陽さん、シャリアさん。そのアーマーのお姿は?」
「あ、これ? 夢斬士の仕事をする時のアーマーかな」
「朝陽さん、あなたのその力はなんなのですか?」
「えーと、明日を迎える為の想いの力かな」
「明日を迎える為の想いの力…………朝陽さん、何かあったらすぐにギルドに連絡しますので、リクルを、リクルをお願いします!」
「うん! 分かりました! 万が一の時、ギルドへ連絡をお願いします、ミリュテさん」
「はい!」
今から私達がやろうとしている事。
リクルさんの夢の中へ入り、明日を奪う夢喰を討滅してゲートを閉じる。
【リクルの明日の夢領域へ接続中…………】
「じゃあ、行くよ! シャリアさん!」
明日を救う力を持つ者、力に溺れることなかれ。
それが私の救う力であり夢斬士、夢宮朝陽であることの証だ!
第14話 ある冒険者パーティの夢喰 その2 完
その3へつづく!
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回、とある冒険者パーティーの夢喰 その3です。




