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魂の継承者〜導く力は百万の前世〜  作者: 末野ユウ
第四章 古き縁と新たな出会い
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『最高位魔法 極炎鳥降臨』

「……お前たち。まさか、焼き菓子にハマって入り浸ってたのか?」


 精霊族を束ねる王たちを、ナミラが仁王立ちで見下ろす。


「い、いやぁ〜我々はただ、ナミラ様のお側にと」

「そうよぉ、ナミくん。お料理の試食とか、とっても助かったんだから!」

「あ、ちょっとファラさん……」


 援護のつもりだったファラの一言は、むしろ王たちの首を絞める結果になった。


「……まぁ、いい。そのおかげで手間が省けた。いかがでしょう? 四大精霊王、ここに揃っておりますが」


 話を振られ、ガルフとブルボノがハッと意識を取り戻した。


「い、いやはや……伝説の存在にこうして会えようとは」

「と、というかナミラ・タキメノ! せ、精霊王にそんな偉そうなお前は、何者であーる!」


 二人を見つめながら、ナミラは不敵に微笑んだ。


「村の人間は知っていますが、他言無用でお願いします」


 そして、自分に贈られたギフトについて説明をした。


「ギフト・ホルダー、初めて見たであーる……って、こんなの誰かに言ったってまた笑われるだけであーる!」

「なるほどのぅ……もちろん、約束は守る。じゃが、王には報告させてもらうぞ?」


 ガルフは目は、もうナミラをただの子どもとして見てはいなかった。


「はい、それはもちろん」


 王に知られれば、必ず国防や政治に利用されるだろう。

 しかし、多くの前世を集めるためにはむしろ都合が良い。賢者が来たのは想定外だったが、ここまでの流れはナミラの思惑通りとなっていた。


「さて、精霊王よ。今、妖精たちにこっそり聞いたら、お前たちが揃って現れたことで各地で天変地異が起きてるらしいな? さっさと鎮めてこい」


 ギクッと体を跳ねさせて、ガルダたちは「はい……」と沈んだ声を返した。


「終わったら、また来てくださいね。焼き立て用意して、待ってますよぉ〜」


 ファラの優しさに、高位の存在たちはパァッと明るい笑顔を浮かべた。


「では、ナミラ様。行って参ります!」


 やる気を昂らせた精霊王たちは、各元素の災害を止めに空へ散った。


「……一番強いのは奥方かもしれんの」


 ガルフは感心しながら「いってらっしゃ~い」と手を振るファラを見ていた。


「とと、さま。ととさま!」


 そのとき、ローブの中からモモが飛び出した。


「ん? どうした?」

「わ、わたし、も……魔法、見せる!」


 モモは、まっすぐナミラを見ていた。

 前世の話を聞いたからだろうか、なにか期待を込めた表情をしている。ナミラは、懐き始めた子犬のようだと感じた。


「おぉ、そうか! お前が人前で頑張るなんて珍しい。皆、ぜひ見てやってくれ。この子はいずれ、儂を超える大賢者となる子なんじゃ!」


 完全な親バカの顔で、ガルフは村人の注目を集めた。

 多くが子どもの成長を見守る視線を送る中、ナミラだけは鋭い眼差しを向けていた。この少女が驚異となるか、見極めるつもりだった。


「さぁ、好きな魔法を見せておやり」

「う、うん!」


 モモはガルフのあとにナミラを見て、魔法の袋から取り出した長い杖を握った。


「えっと……派手なのがいいよね……あんまり見たことのないやつだと嬉しいかな……」


 独り言を呟く小さな背中に、村人たちから「がんばれー!」と声援が飛んだ。


「……うん、よしっ!」


 披露する魔法が決まり、気合いを入れたモモは大きく息を吸い込んだ。


「『永久とわに消えぬ炎の化身よ 夕焼けに棲む美しき翼よ 我が声に応えよ 燃える燃える紅き鳥 孤高の王者に力を乞う』」


 人が変わったように淡々と呪文を唱え始めたモモの体は、紅い詠唱障壁に包まれた。


「……は?」


 隣で笑っていたガルフは、血の気が引いた顔で固まった。


「み、みんな! 隠れろー!」


 ナミラが叫んだが、村人たちは危機感を感じずキョトンとしていた。


「どうしたの、ナミラ。これなんの魔法なの?」


 アニが近づいて聞いた。


「火の最高位魔法だ!」


 人々は慌てて逃げ出したが、畑が広がる周囲に隠れられるところなどない。


「モ、モモや! それはちょっとやめ熱う!」


 ガルフも止めに入るが、モモは詠唱に集中して声が届かない。

 さらに、熱射のような障壁が妨害すら許さなかった。


「ガルフ様! どうにかできませんであーるか!」

「ぬ、ぬぅ……」


 ガルフは頭をフル回転させ、対抗策を考えた。

 一番手っ取り早いのは相反となる水の最高位魔法をぶつけることだが、今からでは詠唱が間に合わない。かといって、愛娘を傷つける決断など出来ない。


「俺に任せて!」


 混乱が広がる中、ナミラの声が空に響いた。


「ガルフ様、みんな! 俺が最高位魔法を相殺するから、防御魔法で周りを守って! あ、ダンは闘気で!」

「う、うむ!」

「おっしゃあ! 任せとけ!」

「魔法できる人は全員協力してー!」


 集まった人々に、一致団結の輪が広がったとき。


 晴天の空が茜色に染まった。


「え、なんで夕焼けに……」


 アニが空を見上げると、真上から強烈な光を放つなにかが墜ちてくるのが見えた。

 

「『極炎鳥降臨バーン・フェニクス』」

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