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第四話 「E級依頼」

「……嫌な予感しかしない」


レインはギルドからの封筒を見ながらため息を吐いた。


とはいえ、無視するわけにもいかない。


冒険者ギルドからの正式な呼び出しは、基本的に拒否不可だ。


最悪、登録停止になる。


今のレインにそれは痛すぎる。


「ちょっとギルド行ってくる」


そう言うと、ベッドの上のシエルが不安そうに顔を上げた。


「……戻ってくる?」


レインは少しだけ驚く。


その問い方が、妙に子供っぽかったからだ。


「戻るよ」


「ほんと……?」


「宿代払ってるし」


そう言うと、シエルは少しだけ安心したような顔をした。


その瞬間。



信頼度:3 → 5



「また増えた……」


「え?」


「いや、なんでもない」


レインは慌てて部屋を出た。



冒険者ギルドは昼間から騒がしかった。


酒臭い冒険者。


受付嬢へ絡む男。


依頼ボードの前で騒ぐ新人。


いつも通りの光景。


だが、レインが入った瞬間。


空気が少し変わった。


「お、追放された雑用係じゃん」


「まだ冒険者続ける気なのか?」


「次の寄生先見つかった?」


クスクスと笑い声が聞こえる。


レインは無視した。


慣れている。


三年間、《黎明の剣》の雑用係として有名だったからだ。


その時。


視界にログが浮かぶ。



【敵意】

【軽蔑】

【嘲笑】



「……便利だけど嫌な機能だな」


小さく呟きながら受付へ向かう。


受付嬢のエマは、レインを見ると少し困った顔をした。


「レイン君、来たのね」


「呼び出しって何ですか?」


「えっと……実はね」


エマが言いづらそうに視線を逸らす。


すると背後から、聞き慣れた声がした。


「よう、雑用係」


レインは振り返る。


そこにはクラウスたち《黎明の剣》が立っていた。


リリカ。


ミリア。


全員いる。


クラウスはニヤニヤ笑いながら近づいてくる。


「お前さ、俺たちの共有倉庫からポーション持ち出しただろ」


「……は?」


レインは眉をひそめた。


「持ち出してない」


「でも在庫減ってたんだよなぁ」


クラウスは肩をすくめる。


周囲の冒険者たちがざわつき始めた。


「マジかよ」


「追放された腹いせか?」


「最低だな」


レインは静かにクラウスを見る。


その瞬間。


ログが浮かんだ。



【嘘】


成功率:91%



「……成功率?」


思わず呟く。


クラウスが眉をひそめた。


「何ブツブツ言ってんだ?」


レインは視線を細める。


91%。


つまり。


このままだと相手の嘘が通る確率?


その時。


新しいログが表示された。



【選択可能】


対象:


クラウス


発言成功率:


91% → 37%


変更しますか?



「……は?」


レインは固まる。


変更?


これ、変えられるのか?


「おい、黙ってないでなんとか言えよ」


クラウスが苛立ったように言う。


ギルド内の空気も完全にレイン疑惑へ傾いていた。


受付嬢のエマまで困った顔をしている。


レインはゆっくり息を吐いた。


試すか?


意味は分からない。


でも。


このログは、今まで嘘をつかなかった。


レインは小さく呟く。


「……変更」


瞬間。


視界のログが変化する。



発言成功率:


91% → 37%


変更完了



次の瞬間だった。


クラウスが口を開く。


「だいたいコイツ前から――」


だが。


急に言葉が止まった。


「……あ?」


クラウスが困惑した顔になる。


周囲の冒険者たちも首を傾げた。


「いや、待て……そもそも証拠は?」


「え?」


「ポーション管理、お前がやってたよな?」


空気が変わる。


クラウスの表情が引きつった。


「そ、それは……」


今度はクラウスの頭上へ文字が浮かぶ。



発言成功率:34%



レインは目を見開いた。


本当に変わった。


しかも。


リリカが怪訝そうにクラウスを見る。


「……あんた、ちゃんと確認したの?」


「いや、でも減ってたのは事実で……」


「勘違いじゃないの?」


空気が完全に逆転していく。


レインの心臓が大きく跳ねた。


(これ……ヤバくないか……?)

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