52 マサル峠を越えて_13
* *
思わず、ホッと一息。
さすがは、シルファー団長だね。
私の能力を考慮した上で実行されたのは、ホンと凄いっ!
団長は、既に指揮車内に待機していたアントン騎士長、女占い師、……。
それと、連絡を受けて指揮車までやってきた中年の一級剣士の4人で、打ち合わせを始められた。
「……」
ホンと、団長は女傑だな。
まだ、若干13歳とお若いのに、……。その辺の古参兵顔負けの機転と度胸で、一癖も二癖もある大人達と渡り合っているんだからね。
客室内部では、きたる戦端に備えて、ミラから刺股の使い方を教わるステラ殿下、……。それと、熱心に教えるミラの様子も窺えた。
「……」
皆、一生懸命だな、……。
なら、私も、……。
深く息を吸って吐き出して、さっそく気持ちを切り替えるよ。
現在の私の役割は、シルファー団長の後衛を担うこと。
とにかく、団長やステラ殿下、ミラの溌溂とした笑顔を、絶対曇らせたくないからね。
だから、1000人の旅団員の誰も死なせない。決してケガひとつ負わせない。
それこそが、私が団長から言い渡された、最大にして唯一の目標なんだ。
さて、……。向こうの現場はどうかな?
私は元女盗賊の意識に潜り込み、視覚と聴覚を共有させた。
すると、「半次郎」が小声で何事か訴えているのが聞こえてくる。
『ねぇ、元女盗賊ぅ~っ。これって、ウチからの提案なんだけどさぁ~~っ』
『何でやすか?』
『野盗達の、あれくらいの人数と武装なら、……さ。ウチらだけで、蹴散らせるんじゃない?』
『……』
すると、一瞬、元女盗賊の体温が上がり、心拍数が跳ね上がった。
『ハルコンにさぁ、……。いいところ、見せたくない?』
まるで異性を口説くような艶めかしい表情で、元女盗賊に迫ってくる。
こちらまで、元女盗賊の心音が響いてくる、……。
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