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暴食者は異世界を貪る  作者: 蒼和考雪
二十二章 冥精
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「いやあ、ワイバーンなんて普段は触れられるような存在じゃないし、ワイバーン部隊を持つトルメリリンでは軍事運用が主だから近づけないし、ワイバーンの谷は危険すぎ出てどうしようもないし……ここだとみんな大人しいね」

「メルシーネさんのおかげですね。私も多少影響はありますが、私の場合多少仲良くできるくらいで。ここまで従ってくれるのはあの人のおかげです」

「飼育員……というとあれだけど、ワイバーンたちの世話をしているんだったね。たしかオーガンだったかな?」

「はい」

「詳しくワイバーンたちの生態を聞きたいんだけどいいかな?」

「ええ。私も竜たちについて話せる相手は珍しいですし。こちらもあなたの知っている竜についての話を聞いても?」

「もちろん! まあ、今もっぱら興味のある竜といえば……メルシーネ君なんだけどね」

「メルシーネさんは……本人が簡単に気を許してはくれないので仕方ありませんよ」


 アルディーノは厳密にいえば竜好きというわけではなく魔物好き。いや、魔物研究者である。研究者の性として様々な魔物研究を行う結果、竜の研究も行っている。もっともそれは魔物研究という大枠、全体から見ればほんの一部。竜という存在はめったに出会うようなものではなく、簡単に調査できるほど楽に触れられる存在でもなく、亜竜ですら危険はかなりのものであるためなかなか簡単に研究できるものではない。しかしそれでも一部の大人しい種の亜竜や、人間にも身近なタイプで従えられる強さの亜竜、場合によっては多少人間やエルフに対し協力的な竜種との交流がないわけではないし、調査をするうえで生態以外のその種の生物的要素を調べるのであれば死体などでも構わないこともあって倒しその死体から調査を、ということもある。もちろん相手を殺すことはアルディーノにとっては望まない内容ではあるが、場合によってはそういうことが必要になることもある、という話である。

 しかし、彼らにとって一番興味のあるものは何かといえば……最も身近で最も謎に包まれている竜、まだ見かけ触れる機会のあるワイバーンなどの亜竜など目ではない本当の竜種。いや、厳密にいえば普通の竜ともまた違うのであるが、そんな竜である彼女、メルシーネである。とはいえ、メルシーネもなかなか触れさせてはくれない。メルシーネ自身はそもそもそういったことに興味はなく、調査という名目でも主である公也の許可なしではにべもなく断られるだけである。まあ公也は調査自体には協力的。公也もまた知ることに対する欲求は高いため、アルディーノの頼みで仕え魔である竜の生態調査の許可は出る。もっともメルシーネが女の子であることを加味しての調査であるため、なんでもかんでも、触れたり切り取ったり毛やら鱗やら、糞尿の調査とか唾液やら体液やらの調査とかそういう方面は流石にノーを言われるだろう。いや、まあ一応毛などでも髪の毛とか、鱗の一部とか、爪とか、そういう部分は多少は許容するが、やはり女の子であることを考えてやってほしいものである、ということになる。

 まあそれでも、普通なら見られない竜種ということ、魔物であることなのでとてもアルディーノとしては生き生きして調査したい、調査できるものである。ただ、アルディーノは本当に研究目的なのであれだが、オーガンの場合は単に竜好き、趣味というか、竜に対する好意、竜という種に対する好意、興味からのもの。ちょっと毛色が違うのである。


「僕は多少は調査を許されているんだけどね」

「うらやましい限りです。私もあの竜の体に……竜の姿に……もっと間近で、もっと触れ合いたいところですね」

「そういうところがダメなんだと思うけどなあ……」




「城魔……城そのものが魔物らしいけど、なんだろうね。普通に城としか思えない……魔法陣の機能は確かにあるけど、だから魔物と断言するには……本当にただの城にしか思えないなあ。君がいても信じきれない程度には、魔物とは思えない感じかな」

「それを私に言われても困る」

「そうだね……君も肉体的には人間と大差なさそうだからまた。特殊能力とかそういう方面の調査はまともにやろうとしても難しいからね。でも確かに君が城から出られない、というのは事実だ。それだけでも普通ではないというのは理解できる」


 城魔の調査は実質的に魔物の調査とは別で完全に建築物の調査となってしまったアルディーノ。魔物ではあるが城そのものであるという城魔は生物としての魔物とはまた違う独特なものだ。無機物であるのに生きているというわけのわからない魔物である。ただ、その城魔にはペティエットという城魔の意思存在がいる。そちらに関しては調査は容易だった。まあこちらもメルシーネと同じく女の子なので、という遠慮はある。城魔という城の中にしか存在しない、存在できない、そして外に出ることのできない意思存在は魔物としてもかなり独特なもの。調査も城魔の機能維持の関係もあってできればあまり傷つけずに調査する必要があることもあり大変である。そして外に出ることもいろいろ試したが駄目だった。やはりその点では魔物と言えるのかもしれない。


「少しは何かわかれば君の助けになったかもしれないけど、残念だね」

「別に構わない。それは特別期待していないし、私はマスターの役に立てるのならばそれでいい。マスターの帰ってくる場所、家として」

「…………そうかい。まあ、そういうのは僕が気にすることでもないしね」


 主として、所有者として、なのか。それとも彼女自身が好意を持っている結果の発言なのか。そんなふうにアルディーノは考えたが、彼には関係のない話である。調査に関しては特に何かわかるわけでもなく。そもそも城自体は単純にしろとしてしか機能しない。生きている状態の今ですら、魔力が巡り魔法陣が使える、くらいのことしかわからないくらいでよくわからないとしか言えないのである。




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