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お引き取りの話


いつも読んでくださりありがとうございます。



「――ナルを引き取ってくれませんか?」



ライスさんの口から発せられた言葉に、一瞬俺は反応できなかった。




「……うぇ?」




「ですからウント様にナルを引き取って欲しいのです。」



もう一度繰り返される言葉に、俺の思考がやっと追いついた。



「で、でもそれって……いいんですか?」



「私はウント様ならナルを大事にしてくれると確信しました。生憎ナルも懐いているようですしね。」



ニッコリと微笑むライスさん。こういう人がモテるんだろうなぁとつくづく思う。


俺は一応答えを出す為レイナに目で訴える。



「あたし? あたしは構わないわよ! てかむしろ、ナルちゃんと一緒に居たいしね!」



「レ、レイナ様……僕は」



ナルがまた感動で泣いてるようだ。ナルは涙もろいみたいだ。そういえばモルドもすぐ泣いてるよな。



――まぁこれで俺も答えは出た。



「ライスさん、俺は――いや、俺達はナルと一緒に冒険したいです!」




一瞬の沈黙の後ライスさんの口が開く。




「――そうですか。ありがとうございます。それでは契約の変更をしますね。」



「はい。ちなみに何ですが契約って何をするんですか? もしかしてお金かかります?」



もしかしたら引き取ってくれとか言って、多額の金を要求するのではないか? という俺の疑心が働いたのだった。


ここまで来て疑う俺かっこわりーな。



「ははは、大丈夫です。私の頼みなので金銭は取りませんよ。ただ奴隷契約ではウント様の血を頂きますけどね。」



とりあえず金はかからないみたいなので一安心だが、血を貰うって悪魔みたいな契約だな。



「よかったです。では俺はどうすればいいですか?」



その後ライスさんに言われた通りに、少し指を切り、流れる血をライスさんが用意した容器に移し、その血をナルが付けている首輪の差込口に血を入れた。



すると、ナルの首輪が一瞬赤く光った後、すぐ暗くなり元の首輪の色に戻った。



「はい。これで契約は完了です。ナルの所有権が私からウント様に移りました。」


「もうナルが私の命令を強制的に聞くことはありません。まぁ元々命令なんてしてませんでしたけどね。」



へぇー……って事は俺の命令をナルが強制的に聞いてしまうのか……いやダメだ! 今までそういう扱いを受けて来たのなら、俺ぐらいはちゃんと1人の人として、いや獣人として大切にしてあげないと!



「ライスさんありがとうございます! ナルの事大切にしますね。」



「本当にウント様に頼んでよかったです。ほら、ナルも新しいご主人に挨拶しなさい。」



ナルがライスさんの言う事を聞き、涙が溜まっている目を擦り、俺達に向き合った。



「ウント様、レイナ様、こんな何も出来ない駄目な僕ですがどうか……どうか捨てないでください!」



――正直驚いた。



普通挨拶といったら、「よろしくお願いします。」とかだろ。それが、「捨てないでください! 」って本当に心底この世界に腹が立った。



「捨てるわけないだろ! 俺達はもう仲間だ! なぁレイナ?」



レイナは首を縦に振る。



「その通りよ! 例えナルちゃんが奴隷でもあたし達の仲間よ! それを馬鹿にする奴がいたら、ただじゃおかないんだから!」




またしてもナルの目に涙が溜まる。




「うぅ……ありがとうございます。僕は一生お二人について行きます。」




ナルは尻尾と耳がピクピクしながら泣いている。




「うん、よろしくな。」


「よろしく。ナルちゃん!」





――こうして俺達はモルドが待ってるであろうギルドに向かったのだった。






この後あんな事になるとは知らずに……






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