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妹は死んでも守りますっ!!  作者: ハク白
第一章 帰ってきたシスコン
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それぞれの道ですっ!!

「今思えば、どうしてあんな戦いをしたんだ、俺は・・・」

 元はと言えば、あの少年が攻撃したからであって、俺には何も非はない・・・はずだよな・・・。

 零は、大機が惚れているかえでにしつこく声をかけていたため、怒った、ということは思いもしなかった。

 その時―――

「前城くん・・・可哀想だよ・・・?」

 その声は、どこか聞いたことがある声で。

 零が前を向いた先には、愛しの妹、かえでが立っていた。

「い、いや、アレは不可抗力というか・・・」

「詳しいことは、家に帰ってから聞きますっ」

 両手を腰に当て、ぷー、と頬を膨らますかえで。だが、その行為がまたかえでを可愛くしているということに、気づいてはいない。

 そのまま、かえでは後ろを向き歩き出す。

 ほんと、変わったな・・・。

 夕陽に輝く、肩まである栗色の髪。可憐で整った顔立ちに、どこか儚さが備わっていて、いわゆる『守りたくなる系』の美少女だ。

 すると、かえでは零が止まっていることに気が付き――

「ほら、行くよっ・・・・・・お兄ちゃん・・・・・」

 零の方を向いて、呟く。とくに、後ろの方は、聞きいらないと、聞こえないくらいの声で。

 だが、零にはそんなのは関係なく。

 今、お兄ちゃんて、お兄ちゃんって・・・。

 かえでの頬が赤く染まっているのは夕陽のせいなのか、それとも違う何かなのか、零には分からなかった。

「あれ・・・あいつらはいいのか?」

「・・・私は、加也ちゃんの気持ちを優先するから・・・。そこまで空気読めなくないよ」

 まぁ、かえでがそう言うなら、それでいいんだけどね・・・。

 零と、かえでは、距離は離れながらも同じ道を帰りだした――・・・。



「これはまた、どエライ奴が来よったなぁ~・・・」

 野次馬の中である男子生徒が呟く。

 その関西弁を使う生徒の視線は、学院内でも可愛いと言われるかえでと、楽しそうに帰っている零一人に向けられていた。

「同じクラスとして、がんばりまへんとね・・・」

 男子生徒は、そう言い残して、野次馬の中に消えていった――・・・。



「とくに問題は無し。怪我は両拳のみ。ただし、魔力の残量に問題あり。これから一週間は授業でもなんでも、魔術を使うことを禁止とします・・・」

 それは、保健の先生に言われた言葉だった。

 野次馬の騒ぎを聞きつけ、駆けてきた先生により、保健室へと運ばれた。

 横では、その言葉を噛み殺すようにつぶやく加也が居た。

「・・・ったく、どうしたんだよ。お前らしくもない・・・」

 大機を見て、つらそうに顔を伏せている加也に明るく語りかける。

 だが、返事は返ってこなかった。

「一週間って、きついよな。どうすんだろう、俺って学校休んでも良いのかな?」

 苦笑しながら、大機はなおも語りかける。

「・・・知らないよ、バカ機」

 やっと、なんか言ってくれた。でも、なんでこいつこんなに元気がないんだ?

「おいおい、バカ機って、さすがに無理やりすぎだろっ」

「そうかもね・・・」

 ほんと元気ないな・・・。いつもなら「バカじゃないの、ムキになっちゃって」って高笑いしそうなのにな。

「・・・バカ機は、無茶、しすぎだよ・・・」

「無茶って、そんなこと―――」

「―――だって、魔力残量、結果で0なんだよっ!?・・・それが、どんな危険なことか、分かってないっ!!」

「そんなに怒鳴ることないだろ?・・・それくらい俺にだってわかって―――」

 大機は、静かな口調で加也を落ち着かせようと言の葉を紡ぐ。だが、その言葉はまたしても加也の怒声に遮られた。

「―――分かってないっ!!命に関わるかもしれないんだよっ!?」

 そう、魔力を空にすることは、魔術師で言う『禁忌タブー』だ。なぜなら、今加也が言ったように、下手したら、死ぬ可能性もあるからだ。

 今はもう大体の人間に個人の差はあるが、有限の魔力が宿っている。それは、使った分だけ、減り、休めば、それを元に戻すことが出来る。

 例えるなら『唾液』と同じで、身体の一部のようなものだ。それを、空にするということは、一部を失うということで、身体バランスが大きく崩れることを表す。

「・・・大丈夫だ、今こうして俺が此処にい・・・る―――」

 自分の好きな人が俺のようなことをしたらと思うと、加也の気持ちも分からないではない。大機は、なるべく優しく、明るく語りかけようとした。だが、それは、虚しく終わった。なぜなら―――

「加也・・・お前・・・」

 加也の目には、大粒の涙が溜まっていたからだ。

「大丈夫・・・なんかじゃないよ・・・。大機は、大機は私にとって、家族も同然なんだよ。その家族が危険な目にあって、全然大丈夫なんかじゃないよ・・・っ」

 その悲痛な声と、大粒の涙を見ていると、大機は急に切なくなって、申し訳なくなって、自分でも分からないまま―――

「・・・ごめん」

 ―――謝っていた。

「・・・こっちこそ、ごめん。あはっ、なんか私らしくないねっ」

 涙を袖で拭いて、無理矢理笑顔を見せる。

「私らしくない・・・ねぇ・・・」

「なにさ・・・?」

「い~や、昔のお前が今のお前を見たら、なんて言うかなって」

 大機は、気分転換、とでも言うように、笑顔を向ける。

「きっと『こんなの私じゃない』ってわんわん泣くよね」

 確かにな・・・。昔のお前はいっつも俺の後ろに隠れて「大機くん、置いてかないで」って言ってたくらいだから。

 そう言えば、こいつ、いつから性格が変わったんだっけ・・・。

 大機は、記憶をさかのぼる。そして―――

 あぁ、そっか・・・。伯父さんが死んだ時だ・・・。

 その時、大機の中で一つの可能性が浮かんだ。

 そっか・・・。こいつ、死ぬことに敏感になってんだ。だから、俺が無茶したから、怒って・・・。

「どうしたの?黙っちゃって」

「ん・・・?いや、なんでもない」

 ったく、お前は、お前でいろいろと、経験してんだな・・・。

 大機は、無意識のうちに加也の顔を見つめてしまっていた。

 あれ・・・。こいつってこんなに―――

「あれあれ?・・・私の顔なんか見詰めちゃって、恋でもしたかな?うん??」

 大機は、視線を天井に向ける。

「そ、そんなんじゃねぇよ・・・大体俺は―――」

「かえで、でしょ?」

「うっ・・・」

 くそ、正解だから言い返せねぇ・・・。でも、どうして俺はこいつのことを―――


 可愛いと思ってしまったんだろう・・・。



 保健室の前に一人の男子生徒が立っていた。身長は、中学生にも見えないだが、その制服は確かに高等部の物で、襟には「S」と書かれた銀色のバッチが付いていた。

「へぇ~・・・そんなすごかったんだ・・・。僕も見たかったなぁ・・・」

 その男子生徒は保健室のにある壁に手の平を当て―――


「『魔術解除ゲート・リセルト』・・・」


 その手の平には、あの青い魔法陣が描かれていた――・・・。

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