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86話 大公会議・その後

 その後一悶着あったが、無事大公会議は終わった。

 それで俺とカレンは家に帰ったわけだが


「ソラ、カレン!?無事でよかったですわ!!」


 ずいぶん心配してくれたのだろう。

 ミネルバが飛びかかるような勢いで抱きしめてくれた。


「ソラ!その様子だと大丈夫そうだな?本当によかった…。さすがにソラに手を出すようなことはないと思ったが、心配したぞ。カレンも、無事でよかった。ほら、ミネルバ、それくらいにしておけ」


 俺たちを離そうとしないミネルバをエメラルドがなんとか引き剥がしてくれる。

 服装もめちゃくちゃになってしまったが、嫌な気分ではない。

 むしろ嬉しいぐらいだ。


「心配してくれてありがとう、みんな」


 もちろん待ってくれていたのはこのミネルバとエメラルドだけではない。


「おかえりなさいませ、ソラ様。ご無事で何よりです」

「殿下、おかえりなさいませ!心配いたしました!」


 ビスケッタさんにユキ。

 他にもメイドのみんなも待っててくれていた。


 みんなをずいぶん心配させてしまったようだ。

 大公会議に乗り込むというのはそれほどの大事だったのだと、今更ながら実感する。


「なんかずいぶんスッキリした顔をしてるけど、何があったんだ?」


 さすがエメラルド。

 俺の雰囲気で何かがあったと悟ったらしい。


「まあ、色々あってね…」


 そして俺は説明を始める。

 それに対するみんなの反応は様々だった。


「ままままマーニャさん、たたたたた大公閣下だったんですか!?」

「クリマ大公が大公会議に参加されないのは深い理由があると思っておりましたが、まさか単にめんどくさかっただけだったとは…」


 まあ、驚いて当然だろう。

 まさか大公が下民の街で半裸で踊ってるなんて普通は想像できない。

 卒倒しそうなユキをビスケッタさんが優しく支えてあげている。


「ただ者でないと思っていたが、まさか大公ご本人とはな…」

「…私、失礼ないこと言ってませんでしたでしょうか?」


 エメラルドは見破れなかったことを悔しがっている。

 ミネルバの顔は若干青い。

 たぶん大丈夫だよ。

 失礼なことしてても気にしてないと思うし。


「クリマ大公のおかげで二対二か。これでガイア大公が失脚することもなくなったというわけかな?」


 エメラルドの意見はもっともだ。

 だが実際は違う。

 三対一でアルヴィスが孤立し、俺達の完勝だ。


「アテネ大公が、ソラ様に寝返ったのですか?」

「あれほどエトナ大公に忠実でいらっしゃったのに…」


 ビスケッタさんとミネルバが不思議そうにしている。

 これに対しては、俺ではなくカレンが答えてくれた。


「私がアテネ大公になりました。だから先輩に賛成するのは当然のことです」


「「「「は?」」」」


 全員でハモっていた。

 ちょっとおもしろい。



 ---



「まさか、アテネ大公家のご令嬢だったとは…」

「ようやく少し追いつけたと思ったのにな…。ここまで引き離されると、逆に晴れ晴れしいぞ」

「か、カレン?いえ、カレン閣下?様?こ、心よりお祝い申し上げますわ!」


 反応は三者三様。

 ちなみにユキはすでに卒倒している。


 これに対し、カレンは明らかに嫌な顔をした。


「やめてください。私は私のままです。ミネルバ先輩は友達にそんな態度とるんですか?」


 その言葉を聞いて、真っ青だったミネルバの顔に生気が戻る。

 そして自重するようにちょっと笑って、口を開いた。


「そうですわね。私達はお友達ですもの。ごめんなさい、カレン。ちょっと戸惑ってしまいましたけど、これからも仲良くしてくださるかしら?」


 カレンの表情ももとに戻った。

 いや、少し嬉しそうか。


「もちろんです」


 そのままビスケッタさんとエメラルドとも話をした。

 二人もちょっと戸惑ったようだが、すでにいつもどおりの対応だ。


「これで四大公家のうち、ガイア、クリマ、アテネの三家がソラの味方というわけか…。大公会議の半数どころか四分の三。圧倒的だな」


 エメラルドが圧倒されている。

 実際はそこまで単純ではないが、外からはそう見えるのだろう。


「祝勝会をしないといけませんわね!それにカレンの大公就任祝いも!」

「もちろんです。直ちに準備を開始しましょう」


 ビスケッタさんがそう宣言して部屋を出る。

 すると一気に家の中が慌ただしくなってきた。


 ユキも目を覚まし、「カレンちゃん、おめでとうございます!」と伝えてからすぐ準備を開始した。

 意外と切り替えが早い。


 カレンは身内みたいな感じだったせいか、みんなお祝いに気合が入ってる。

 今から楽しみだ。


 そんな中、ミネルバがぼそっと呟いた。


「スラムで生まれ育ったのに、その正体は大公家のご落胤。皇帝陛下の兄君を暗殺するために派遣されたのに、逆にそのご本人に見いだされ、一気に大公にまで上り詰める…」


 そして若干興奮しながら、俺の方に向き直る。


「ものすごく、ロマンチックじゃありませんこと!?」


 そ、そうなのかな?



次から新章の予定です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 下民大公 ~親が大公だったせいで下民から大公家当主に成り上がってしまった少女、超階級社会で革命起こす下民貴族のお供します~
[一言] 何にも興味を持てなくただ1人以外は雑魚と見下していた男の子が1人の友人との出会いによって世界に興味を持っていくのもロマンチックじゃありませんこと!?
[一言] >ものすごく、ロマンチックじゃありませんこと!? 問題は皇帝陛下もそう思ってそうなところなんだよなあ・・・・
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