80話 大公会議①
「ここで、大公会議が行われてるのか…」
「そうらしいです。では早速入りましょうか?」
「ちょ、ちょっと待って!」
ここまで走り続けてきて、呼吸も服装もみだれている。
さすがにこの状態で大公会議の場に突入するのは気が引ける。
まずは深呼吸をして呼吸を整える。
普段のトレーニングのおかげもあり、すぐに落ち着いた。
そのまま服装を直し、準備万端だ。
ちなみにカレンは呼吸も服装も一切乱れていない。
さすがだ。
「では今度こそ、入りましょうか?」
「ああ、お願い」
カレンが魔力で扉を開ける。
中にいる人間に見せつけるように、わざと仰々しく頭を下げながら。
「ソラ殿下、ご入場です」
わざわざそんなことまで言ってくれた。
カレンなりにそれらしい雰囲気を出してくれようとしているのだろうか。
だったら俺も、それに答えよう。
「失礼するよ」
呼ばれもしていないくせに堂々と
正式な参加者だとしても完全に遅刻
なのに一切悪びれもせずに偉そうに
大公会議へと、皇帝の兄が足を踏み入れた瞬間だ。
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部屋の中にいたのは四人。
「これはこれは殿下。このような場所までいかがされましたか?」
一人目は、俺を満面の笑みで出迎えた男。
威厳が形をしたような外見は相変わらずだ。
エトナ大公家当主、アルヴィス・エトナ
「…」
二人目の男は、俺の方を一瞥するがすぐ目線を逸らす。
あいかわらず無気力で、口先だけの挨拶すらしようとしない。
アテネ大公家当主、ダイン・アテネ
「これは殿下。ようこそいらっしゃいました」
三人目の青年は爽やかな笑顔で出迎えてくれた。
顔は知っているが、直接言葉をかわすのは初めてだ。
クリマ大公家代表、セティ・クリマ
「来てくれると信じてたよ、親友」
そうやって薄笑いをしているのが四人目。
親友という言葉にアクセントを込めるのか嫌味か?
ガイア大公家当主、ノヴァ・ガイア
世界の頂点に立つ四人の大魔法使い。
皇帝に次ぐ実力を持つ、最強の魔法使いたちが勢揃い。
これぞ大公会議。
俺など場違いにもほどがある。
だが、怯んでなどはいられない。
笑顔で手を差し出すセティの手を精一杯の笑顔で握り返し、アルヴィスへと向き直る。
「臨時の大公会議、その中で俺の友人が議題になっていると聞いてね。気になって来てしまったんだよ。別に、皇帝の兄が参加しちゃダメなんていうルールはないだろ?」
俺の言葉に、アルヴィスは笑顔のままで答えてくる。
「もちろんですとも。大公会議に皇帝陛下のご臨席を賜った前例はございます。ただ言うまでもございませんが、その際決定された事項に関し当時の皇帝陛下が異議を唱えられることはありませんでしたが」
皇帝は参加できるから、それに準ずる立場のお前も参加はできる。
だが、大公会議の議決権を持つのは大公だけ。
皇帝ですら覆すことはなかったのに、お前ごときが口を挟めると思うなよ?
言葉から余計な装飾を抜いたらこんな感じかな。
まったく、本当に正直なやつだ。
「ありがとう。それじゃあ、拝聴させていただくよ」
どこからともなく現れたメイド達によって俺の席も準備される。
そこに座り、大公たちを睥睨する。
俺を嫌う者
俺に興味がない者
俺に敬意を向ける者
俺をニヤニヤ笑いながら見つめる者
俺への感情は四者四様
ではこの会議の行く末は、どうなるのだろうかね?
区切り良かったので更新いたします。できれば週末より前に次も更新できればと思います。




