77話 新政策・上
「以上が、計画になります…。いかがでしょう…?」
「うん、いいんじゃないかな。実行に移してくれ」
「あ、ありがとうございます…!」
プラナ公爵領から帰ってきてから数日後。
今俺はセリスから新しい計画について報告を受けていた。
ちなみにあのあと、マーニャが消えてからはすぐに歓迎会に招待された。
酔っ払ったザウルに絡まれ、
「我が一族は殿下にお会いできるのを待ち続けていたのです!」
とか何とか言われて困った。
待ち望んでいたのは俺じゃなくてサラだと思う。
まあ、これはもう別に。
今はセリスの計画だ。
実に面白い。
一つ目はクスリのこと。
クスリには依存症があり、使いすぎたら精神も体も壊してしまう。
さらに調査の結果、一時スラムを壊滅させた流行病もこのクスリとは大きな関係があることもわかった。
粗悪な精製状態で作られたクスリを常用すること。
これがあの「流行病」の原因だったのである。
当然こんな危険なものを野放しにするわけにはいかない。
領主であるリゼルはすぐにでも全面禁止にしようとしていた。
だが、ここに待ったをかけたのがセリスだ。
当然みんな驚いた。
だがそこはセリス。
理由もちゃんと説明してくれる。
クスリの全面禁止。
法律でこれを制定するのは簡単だが、根絶するのは不可能に等しい。
売人を処刑しようと、栽培場所を焼き払おうと、必ず闇市場で取引されてしまう。
それを取り締まっても結局はさらに深い闇へと潜られ、いたちごっこになるのは目に見えている。
裏社会の資金源になり、今よりもっと広まってしまうかもしれない。
この話を聞いてリゼルも理解した。
だが、納得できないこともある。
「全面禁止が非現実的なのは理解できた。だが、それならどうしろというのだ?このまま野放しにしろとでも?」
当然の疑問。
これにセリスはいつものように自信なげに、でも真正面から答える。
「野放しにはいたしません…。それではもっと被害者が増えてしまいます…」
「じゃあどうするというのだ?」
「どうせ根絶できないのですから、いっそのこと公で管理してしまおうと考えております…」
それは発想の転換。
人々を蝕むクスリを、公営化するというとんでもない発想だ。
当然みんな驚いた。
リゼルなんて色をなして反対し始めた。
以前のセリスなら貴族に反対なんかされたらその瞬間に自分の意見なんて翻していただろう。
だが今のセリスは違う。
拙いながらも一生懸命、自分の言葉で説得を試みた。
「公営で質を高め、量産化で価格も抑えます…」
「そうすれば粗悪で法外な価格な闇市場のクスリは根絶できるでしょう…」
「クスリも量と頻度を管理できればそこまで悪いものではないのです…」
「悪いのは、クスリを悪用し人々を中毒にさせる者たちなのです…」
根気強い説明により、リゼルは何とかおさまった。
納得はしたくないようだったが理解はできたようだ。
試験的に導入することを承諾し、セリスは計画をつくることになった。
さっき報告してくれていたのはその計画だ。
まあ、俺に言われても内容はよくわからないのだが。
セリスが考えたものなんだからおかしいはずはないだろうとそのまま承認してしまった。
ちなみにセリスは下民と臣民の関係にも新しい制度を導入しようとしていた。
それは罪を犯した臣民を下民にし、逆に公共の利益のために活躍した下民は臣民にするというもの。
プラナ公爵領でも行われていた下民から臣民への昇格。
そこにさらに臣民が下民化する場合も追加し、階級の流動化を図ったのだ。
「自分も下民になる可能性があるとなれば、臣民の方々もそこまでご無体なことはなさらないかと…」
「自分は下民ではない」
この選民意識が臣民の下民に対する過酷な態度の原因の一つだろう。
それを緩和させるための試み。
まずはうちの領地から始めてみた。
これで全部がうまくいくとは思えない。
でも
「うまくいくといいな」
そんな俺の言葉に、セリスは答える。
「はい…!」
はにかんだ笑顔で、答えてくれた。
短くてすいません。このあとノヴァに会いに行くのですが、今日中に書き上げれれそうにないのでここで更新いたします。
後半は明日更新いたします。




