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極悪美少女の初恋  作者: 美雪


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03 新たな決意



 後日、メロディはラブにプロポーズが駄目だったことを伝えた。


「やっぱり? まあ、当たり前よね。メロディは私から見てもお子様で、色気のある大人の女性には見えないもの」

「そうね」


 メロディも子供だと思われてしまう自分の現状を受け入れていた。


「だから、大人の女性に変身するわ」

「どうやって?」

「お化粧と服装を変えるわ。簡単でしょう?」

「安易過ぎるわ」

「いいのよ。簡単なことからで。難しいことから始めても大変だもの」


 メロディなりに考えた。


 自分の全てを大人の女性にするには時間が必要だ。


 年齢がそれなりに上がるということも要因の一つ。


 今の自分にできることから取り組むのがいいと考えた。


「私が大人になったと思うだけでは駄目だわ。周囲からも大人になったと思われないと」

「そうね」

「成長していることを示すには目に見えやすいものがいいわ。容姿だけじゃ駄目なのはわかっているから、中身をレベルアップさせないとね」


 メロディの特技はピアノだけに、ピアノで成長の結果を出す。


 これまでまったく興味がなかった領地運営、領主の妻に求められることについても勉強する。


「社交もするわ。ラブにも教えて欲しいの。よろしくね」

「それはいいけれど、第二王子派になるの?」

「ヴェリオール大公妃派になるわ」


 メロディはきっぱりと答えた。


「それならヴェリオール大公妃派のラブと親しくするのもおかしくないし、ヘンデル様とも親しくできるわ。ヴェリオール大公妃派の有能な女領主は使えるでしょう? つかず離れずのキープ要員にしようと思ってくれるかもしれないわ」


 キープする方じゃなくて、キープされる方を目指すとか!


 ラブは笑うのを必死にこらえた。


「実はウェストランド侯爵夫人に面会したの」


 ラブは仰天した。


「お母様に? いつの間に!」

「ラブの親友兼側近を目指すためにも、ヘンデル様を堕としたいって伝えたわ。大人の女性の色気について指南して欲しいと言ったの」


 ウェストランド侯爵夫人と言えば色気。


 これほどの講師はいないとメロディは思った。


「マルロー侯爵夫人ともお話したわ。裏の社交界は無理だし、表の方がいいと思うの。正直、表と裏の社交界の違いがよくわからないのよ」


 メロディにとって裏の社交界は夜中に行われる社交の世界というだけだった。


「お子様のくせに、ウェストランドの二大巨頭と話すなんて!」

「笑われたけれど、話しに来る度胸があるのは良いって言われたわ。褒められたのよ。凄いでしょう?」


 ラブは何とも言えない気分だった。


「もっと常識的な女性に指南を頼むべきだと思うわ。リーナ様とか」

「リーナ様に弟子入りしても断られると思うし、権力を握れないわ」

「権力を握りたいの?」

「社交界で目立つほど悪く言われるわ。自分で自分を守れるようになっていかないと」


 メロディは社交をする際、単に気持ちの問題だけでは解決しないことが多くあると考えた。


 仲良くしたくても、相手も同じとは限らない。初対面だというのに、悪意をぶつけて来る者さえいる。


 誰かに守って貰えば簡単かもしれないが、防御手段を整えるのも含めて、自分で立ち向かえる強さを磨いていきたい。


 女領主として領民を守る立場になることを考えれば、それができるようにならなければと思った。


「財力も有用なものの一つよね。でも、キュピエイル侯爵家も領地もイマイチだわ。だから、何か考えないといけないのよ。領の収入を上げる産業を興すとか」

「平凡な領地よね」

「私は音楽家としての名声は人よりも手に入れやすい方だと思うの。有名な国際コンクールで優勝すればいいでしょう? だから、ピアノの技能を磨きながら、音楽分野に関係したことで注目される取り組みをしてもいいと思うのよ」


 音楽家を育てる教育に力を入れる。


 音楽関係の産業を優遇して育てる。


 大掛かりな音楽大会やイベントをして、音楽愛好家が集まれる場所にするといった考えをメロディは説明した。


「メロディらしいわ。でも、芸術はお金がかかる方で、儲かる方ではないのよ?」

「そうね。基本的にはキュピエイルの領地を有名にする方法として活用して、儲けるのは別のことで手堅くしておきたいところね」

「いいわ。そういうの。リスク分散しないとね」

「音楽は人を幸せにする力があるの。キュピエイルを音楽と幸せで満たしたいわ。領主としてそれを目標にしたいの。どう思う?」

「素敵」


 お世辞なしでラブは良いことだと感じた。


 そして、そういう風に言えるメロディは少しだけ成長したと思った。


 ヘンデルのおかげだとも。


「アンダリアも平凡な領地だし、ラブが工夫していかないとでしょう? 一緒に頑張りましょう!」

「そうね!」


 ラブとメロディは頷きあった。


「友人として、同じ大学の学生として、ヴェリオール大公妃派として、女領主としても励まし合っていけるし、協力していけるわね!」

「そうね。最強のタッグを目指すわ。ウェストランド侯爵夫人とマルロー侯爵夫人のように!」


 目指す相手が……同意しにくいんだけど。


 ラブはため息をついた。


「たぶん、王太子殿下が新国王になったら宰相はヴァークレイ子爵でしょう? ヘンデル様は国王の筆頭補佐官になると思うわ」


 メロディなりにヘンデルのことを予想した。


「そうね」

「宰相夫人になるカミーラお姉様ともますます親しくしないとだわ。ベルお姉様はディーバレン子爵と結ばれたら財界への影響力があるわよね。お金の力はあなどれないわ!」


 ヘンデルの妹であるカミーラとベルについても同じ。


 ただ好きだからという理由以外にも、交流関係を深める理由ができたとメロディは思った。


「女当主らしくなってきた感じ?」


 好き嫌いだけで決めるのではなく、社会的立場や周囲の関係、将来を見据えて動こうとするところが。


「大学や社交場で親しくしておいた方がいい相手もピックアップしないと。忙しくなるばかりね! もう大変! でも、頑張るわ! ヘンデル様のために!」


 素直に喜べないわ……ヘンデルのせいで!


 ラブはまたしてもため息をつくしかない。


 だが、恋は人を変え、支え、強くする。前へ進んでいく力になる。


 どんな未来が待っているのかはわからないが、メロディが幸せを目指していることは確か。


「これからが楽しみね」

「そうね。私の人生はまだまだこれからだもの。楽しみながら頑張るわ!」


 やっぱりメロディは素敵な友人だとラブは思った。




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