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磯に香る君のそばに海神  作者: 悠鬼由宇
第1章
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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.37


 急に目に怒りの色を滲ませながら、


「ババアは、その後アタシとじーちゃん置いて、出てった。多分、今横浜かどっか」


 唖然。


 では、今この子は……


「そ。去年からここで一人暮らし」



 悠人はゆっくりと部屋を見渡す。急に部屋が広く感じられる。


 何という事なのか、この若さで一人きりなんて……



「ま、村のみんなが良くしてくれるから。全然平気だし」


 この子はその鼻筋が示す通り、勝気で強がりを言う子だ。悠人はそう感じた。寂しくない筈が無い、こんな鄙《ひな》びた小さな漁村で、両親も祖父母もおらず一人きりだなんて。



 韓流も真っ青な京の現状に、悠人は深い同情の念を禁じ得なかった。



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