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第一楽章 Grande Sonate pathetique Op.35
「へええ。駅から恵比須まで歩いてきたん? それもあの格好でぇ? 馬鹿? アホ? きゃははは」
京は悠人の話が進むにつれ笑いが止まらなくなる。
「何狙いぃ? 天然?」
悠人は顔を顰め否定するも
「で? そんで?」
「……で、港を出てあの岩場まで来てさ、それからずっと海を眺めてたんだよ。日が沈んできたので帰ろうとしてさ、あとちょっとのとこで足を滑らして」
「そっかぁ。あと二十分遅かったらぁ、顔まで水に浸かってたよん。ギリギリだったねえ」
「ホント、感謝しているよ。ありがとう」
「それもういいから」
「ところで京ちゃん、家の人は? おじいさんがいるんだっけ?」
悠人は着させられた作務衣を弄りながら京に尋ねる。すると京は急に暗い顔になり、
「いない」




