124/434
第二楽章 Valkyrie Op.42
茂みに近づくと、大型犬程の猪が倒れている。
その額に銃痕がくっきりと残され、猪はピクリとも動かない。
悠人は言葉を失い、呆然と猪と信太を眺めている。
あの距離からこの小さな生き物を一撃で仕留めた。
信太に対して、恐怖よりも畏敬の念を感じ、
「凄い、流石です。自衛隊仕込みですね」
信太は無表情で悠人を振り返り、
「コイツは撃ち返さないから。楽なもんさ」
その言葉の裏に、悠人は恐怖を思える。
この人は、撃ち返す相手を撃ったことがある? まさか、今の日本でそんなことが有り得る筈はない、これは何か言葉のあやなのだろう。いやそれでもこの人のこの眼力。普通の人のものとは明らかに違う。やはり過去に何か……




