三十三話〜先輩の我儘(わがまま)〜
新年明けましておめでとう御座います
今年も宜しくお願い致しますm(_ _)m
「……もう夕方……」
先輩が時計を見てそう言った。
「本当だ。もう17時になるんですね」
「……うん……。……遥が心配するからもう帰った方が良いと思う……」
「ですね……。じゃあ先輩、お邪魔しました」
「……来てくれて有難う……。……また暇な時で良いから遊びに来てくれる……? 」
少し寂しそうな顔をする先輩。
「どう致しましてです。勿論良いですよ」
「……ん……嬉しい……。……このまま離れるのは嫌だから……少し待って……? 」
先輩はそう言うと僕の手を握った。
「せ……先輩? 」
「……本当は早く帰らせてあげたいけど……ごめん……。……翔の温もりを感じさせて……? 」
僕の掌を優しく撫でる。
少し擽ったい。
先輩は十秒程そうしていた。
「……有難う……。……またね……」
手を離した先輩の顔を見る。
僕は驚いた。何故なら先輩は泣いていたのだから。
「どうしたんですか? 」
「……っ……本当は……離れたくない……。……でも……翔に迷惑を掛けたくない……」
先輩の綺麗な瞳から涙が溢れ落ちる。
僕との別れがそれ程惜しいのだろう。
僕も同じだ。本当は時間の許す限り一緒に居てあげたい。
「先輩……。僕は迷惑だなんてこれっぽっちも思って無いですよ」
「……本当……? 」
「はい」
僕は先輩に微笑みかける。
「……良かった……」
そう言って笑顔に戻った先輩を見た僕は安心し、靴を履き玄関のドアを開け、自転車に乗って家へ帰った。




